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変わる世界
まさか.......な
しおりを挟む武田と別れた遥斗は、先程事故をおこした?場所に戻って来ていた。
(やっぱり何も無い)
付近を探してみたが、やはり何も見つからなかった。
(でもなぁ、ここを探すのはなぁ)
そう思いながら遥斗が見ているのは、道から外れた草むらだ。
「はぁ.......」
それから遥斗は黙々と探した。だが、有るのは草や枝、捨てられた空き缶等のゴミばっかりだった。結構な時間探し続けて、もうそろそろ帰ろうかと思った頃。
「ん?」
足に何か当たった。拾い上げてみると
「これは.......骨?」
それは大きな骨だった。まるで人間のような.......
「帰ろう」
誰に言うでもなく、自然と呟いた遥斗だった。
─────────佐藤家
「ただいま」
「「おかえりー」」
家に帰ると遥斗の母親と健二がいた。
「あれ?雪は?」
「雪なら友達と一緒に服買いに行ったわよ」
「ふーん」
「それより遥斗、今日は始業式のはずなのに、帰ってくるの遅かったじゃない」
「うっ」
(しまった、言い訳考えてなかった。)
「それにどうしたの?制服汚れてるわよ、コケたの?」
「まぁ、そんなとこだよ、それより俺着替えてくるね」
母の疑問の連続に、そう言って遥斗はその場から逃げた。
──────自室
「はぁ.......」
(ずっと考えてるけど、朝の事故は何だったんだ?)
結果的に手がかりらしい物は無かった。
「そういえば、これはいつの間に拾ったんだろ?」
遥斗のポケットには、小さな石ころが入っていた。
その石ころは緑色の透明な石だった。何か掘った跡があるが、小さ過ぎてよく分からない。
(こんなもの持ってなかったはずだしな)
コンコン
そんなことを考えていると、誰かがノックしてきた。
「どうぞ」
ガチャッ
ドアを開けて入ってきたのは、健二だった。
「どうした?」
「ラノベ借りに来た」
「お前もう読み終えたのか!?」
「うん」
(えぇ.....マジかよ、先週10冊ぐらい纏めて貸したぞ)
「はぁ.......で?何をご所望ですか?」
「とりあえず異世界系」
「お前本当に異世界好きだな」
「とか言ってる兄さんも、ラノベの大半が異世界系じゃないか」
「..............」
「早く貸してよ」
「適当にとってけ」
「わーい」
(まさか健二に論破される日が来るとは.......)
「じゃあさ、これ良い?」
「だから適当に取っていけって.......」
(それは!?俺が1番気に入ってるラノベじゃないか!現代ファンタジーの中では珍しくダンジョンではなく、そのままモンスターが出現するやつじゃないか!?)
「お前それは.......」
「さっき適当にとってけって言ってたよね?」
健二は嫌味ったらしく笑みを浮かべていた。
「でもな、それは違うんじゃないのか」
「男に二言は無いよね?」
更に畳み掛ける健二。
(クソォォォ)
「わかったよぉ.......」
「やったぜ!」
こうして遥斗は、言い合いに負けたのだった。
「はぁ.....しばらく読めないな」
(しばらくって言っても健二の読書スピードなら直ぐだが、やっぱり自分の手元から無くなっているのは悲しく感じるな)
「えっと...俺何してたっけ?」
何をしていたのか忘れたので思い出すためにしばし考え込む。
「あっ!思い出した」
(まぁ、思い出したところで変わらないだろうけどな)
「あ~こんな事考えるよりもラノベ読みたい」
(ラノベ?待てよ、もしかしたら)
遥斗は、現実ではありえないだろうと思っていながらも日本男子なら言ってみたくなるあの言葉を呟いた。
「ステータスOPEN」
そう言うと、遥斗の目の前に透明な板が現れた。
「....................」
遥斗は自分の頬を思いっきり引っ張った。
「痛った!」
鈍い痛みが頬に伝わる。
(でも、これは夢じゃないんだよな)
「遥斗~いったいどうしたの~?」
リビングにいる母親があまりの様子に聞いてきた。
「何でもないよ!」
「そう?ならいいんだけど.......」
(心配かけてしまった)
「これって、いわゆるステータスプレートだよな?ラノベとかで見てたりするけど、すげぇ細かいな」
板にはこう書いていた
佐藤 遥斗
サトウ ハルト
Lv1
種族:人間
職業【 ⠀】
攻撃力28
防御力23
俊敏 19
器用 32
魔攻 1
魔防 1
MP 3/3
お知らせNEW
報酬 NEW
スキル【⠀ 】
装備:ジャージ
持ち物NEW
決定
「これはラノベと言うよりもゲームか?」
(色々とツッコミたいが後回しだな)
とりあえずその板に触れてみることにした。
まずは、Lvに触れてみた。
すると画面は切り替わり、スマホの残量バッテリーのようなものが表示された。
「これはレベルアップに必要な経験値かな?
細かくは見れないのか、」
種族も触れてみたが、特に反応は無かった。
「次は攻撃力だな」
触れてみたら握力やボール投げの記録、武器などが表示された。ちなみに武器は『素手』だった。
今度は防御力に触れてみる。すると上体起こしの記録、防具が表示された。防具は『ジャージ』だ。
次は俊敏に触れる。すると短距離走、長距離走、反復横跳び、シャトルラン等の記録が載っていた。
(これはそれぞれの種目の平均を反映してるってことか?)
「遥斗~ご飯よ~」
ここで1階にいる母親から声がかかった。
「はーい」
(まぁ、飯の後でも確認出来るよね?)
今日の晩御飯は普通の肉じゃがである。
「─────ここで、速報です。京都に野生の熊が人里まで降りてきています。熊は気性が荒く、近くにいる人を襲いました。現在は狩人の方が麻酔銃を打っていますが、なかなか当たらず、熊が逃走を始め、○○駅方向に向かっている様子です。」
とアナウンサーが淡々と伝える。
「京都か......危ないな」
「遥斗、健二、雪くれぐれも気をつけるんだぞ」
「「「はーい」」」
(まさか.......ね )
この話はフィクションです
キャラの名前、企業、団体は現実とは関係ありません
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