都合の良いテンプレなんて存在しねぇ!

依存症🦃

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変わる世界

戦闘

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「兄さん止まって」

健二が落ち着いた声で言う。

「じゃあ、切り替えてみてくれ」

遥斗がそう言うと健二はその場に立ち止まった。

「OK出来たよ」

健二が黙り込み沈黙、少し経つと目を開けてそう言った。

「お、いけたか」

遥斗は満足そうに言葉を返す。

「で、どうだ?」

「えっと背丈は僕達の半分くらいで人型で頭に角?が生えてた。武器は棍棒かな?実物見た事ないから合ってるから分からないけど、たぶんファンタジーの定番のゴブリンだと思う。」

健二は見つけた生物の特徴を遥斗に伝えた。

健二がこんなにも詳しく話せるのは『空間把握』を使ったからだ。

ちなみに遥斗から意見を貰って使った『空間把握』は新しく『生命探知』と出きてた。

遥斗と健二はこの2つを見て『生命探知』で有無を確認し、『空間把握』で相手の特徴を調べるということを今回の偵察に利用した。

「数は?」

「1」

「とりあえず父さんに聞いてみよう」

そう遥斗が言うと2人は近くの空き家に入った。

そして遥斗は目を瞑り心を落ち着かせ念じる。

《父さん》

《遥斗か、どうした?》

遥斗が心の中でそう呼ぶと渡が返事を返した。

《モンスターがいた、数は一体でゴブリンだと思う》

《.......とりあえず戦ってくれるか?強さを知りたい。別に嫌なら強要はしない、撤退してくれ》

渡は結構ゲーム等が好きである。特にRPGをやっていた。はっきり言って渡は一瞬雑魚だと思ったが、しかし渡達はゴブリンと遭遇していなかった。

念の為と思って言った言葉だった。

それだけじゃなく遥斗自身の力を知りたかった、スキル等の半端な力じゃなく、実戦で魅せる力を知りたかったのだ。

そういう理由で渡は言った。

《分かった戦ってみる、負けそうになったらすぐに帰るよ》

遥斗はそう言って連絡を切った。

「兄さん戦うんだね?」

健二が若干興奮気味に聞いてきた。

「うん」

遥斗はそれに対して素っ気ない返事をした。

そして遥斗は持ち物の中から『手裏剣』と『クナイ』を取り出した。

そしてゴブリンと思わしき生物が空き家前の道を通り過ぎて角を曲がろうとしたところで遥斗は、扉を開け空き家を出た。







そして道に出ると扉を開けた音で気付いたのか肌の色が緑の二足歩行の生き物が振り返って遥斗を見ていた。

(しまった)

遥斗は焦って空き家の扉を思いっきり開けてしまった。

「もう、どうにでもなれ!」

遥斗はやけくそ気味に、手裏剣を投げつけた。
それと同時に走り出していた。

遥斗が投げた手裏剣は吸い込まれるように頭に行くことはなくゴブリンの右の鎖骨辺りに刺さった。

「ギャッ!?」

ゴブリンはいきなり人間が現れたことでフリーズしてしまった。それにより、遥斗の手裏剣に当たってしまったのだ。

固まるゴブリンに遥斗は肉薄する。そして距離が段々と縮まっていきゼロとなった瞬間

ギャリ
サクッ

遥斗が持っていたクナイをゴブリンの胸に刺した。

すると、クナイが骨に擦れるように鳴った音と同時に柔らかい肉を指す音が鳴る。

ゴブリンは項垂れるようにして動かなくなったが、しばらくして何事も無かったかのように存在が薄くなっていきやがて消えた。

すると遥斗は足に力が抜けたようで座り込んでしまった。

それと同時に遥斗には、なんとも言えないような感情が湧いてくる。後悔、安堵、罪悪感などが頭の中を埋め尽くす。

「兄さん」

遥斗がそんな状態の中、健二が歩み寄って来た。

「どうした?」

健二がそう聞いた。

「.....いや、何も無いよ」

遥斗が少し声のトーンを下げて、そう返した。

遥斗の違和感に気付きながらも健二は、かける言葉が見つからず黙ってしまった。

「帰ろうか」

そう遥斗が言った。

しかし、本当ならもう少し探索してから帰るつもりだったが、遥斗の今の状態を見ている健二はその言葉に賛成した。

「でも兄さん、父さんに連絡入れないと」

「あ、そうだったな」

遥斗は小さな声で弱々しくそう言った。

「帰りは僕が連絡するよ」

──────────────────

「よし!連絡出来たよ帰ろうか」

「そうだな」

そして2人は元来た道を引き返そうとする。

すると遥斗の足が止まる

「そういえば手裏剣まだ回収してなかったわ」

「あっ」

遥斗はゴブリンに向かって投げており倒した後は茫然自失だったため回収を忘れていたのだ。

「あれ?」

しかし遥斗がさっきいた場所には手裏剣が無い。代わりにあるのはゴブリンが所持していたと思われる棍棒だけだ。

その後も健二を加えてしばらく探すが、なかなか見つからない。

しかしここで遥斗は、ある結論に至る。

「もしかして使い捨て?」

もしそうならばかなり状況が悪化する。

そもそも武器なんてこの平和な時代の一般人が簡単に持てるはず無いのだ。

(母さんは『錬金術師』だけど『鍛冶屋』じゃない。おそらく刃物とかは作れない。)

遥斗は対抗手段が減るという考えが頭をよぎる中で少し安堵していた。

────もう、あんな気持ち悪い感覚を感じなくていい──────

遥斗が探すのを諦めて残りの武器を確認した時、驚愕の表情になった。

「なん...で、なんで手裏剣があるんだ!?」

















この話はフィクションです
キャラの名前、企業、団体は現実とは関係ありません





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