猫のもの語り 〜宇宙編〜

猫田 薫

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第6章 飛翔

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ゼノンの宇宙船も月に向けて飛び立とうとしていた。

「何をしているんだ。早く出発しろ。早く脱出しないと崩壊するまえに暴徒が押し寄せてくる。」

「ゼノンさま、発射場が混みあっていて、出発できません。」

「この船には武器があるだろう。それを使え、前で飛べなくなっている宇宙船を破壊して、場所をあけて、飛び立てるようにしろ。」
「はいっ。そのように。」

ゼノンの宇宙船からミサイルが発射され、前に詰まっている宇宙船を破壊しながら前に進んでゆく。
次々と破壊されてゆく宇宙船の中には今、まさに飛び立とうとする宇宙船も含まれていた。撃ち落された宇宙船はゆっくりと落ちてゆく。
落ちながら、これから飛び立とうとする宇宙船に向けてミサイルを打った。
ゼノンの宇宙船が第三月に向けて飛び立ったが、後ろから来たミサイルがエンジン部分に当たった。

「後方より被弾、失速します。このままでは墜落してしまいます。ゼノンさま!ゼノンさま!」

振り返るとすでにそこに姿はなかった。ゼノンはすでに脱出用小型艇に乗り換えて宇宙船から飛び立っていった。
残されたゼノンの部下と宇宙船はゆっくりと高度を落とし、地上に激突して散っていった。

エルの宇宙船はゆっくりと発射台に移動してゆく。ここはテスト用の発射台、他の飛行船がすくなかったためか、まだ、被害は少ない。それでも、工場内の製造中の飛行船を出発させようと動かし始めている人達がいた。

「ここでノアをまとう。ミケ、発射準備だけは進めておこう。ノアはかならず来る。」

ノアとレオはやっとの思いで工場にたどりついた。

「エルの宇宙船はここに。あれ?どこへいった?ひょっとすると出発した?」

「ノア、あれを見ろ。エルの船はあれじゃないか?」

「レオ、あれだあれにエルが乗っている。俺たちも行くぞ。」

二人は発射場へ向けて走った。必死で走った。死に物狂いで走った。
工場の入口はすでに陥没し、大きな穴がなにもかもを飲み込もうとしていた。
その時、工場の向こう側から大きな黒い影が押し寄せてきた。津波だ。
巨大な津波が今にも工場を飲み込もうとしていた。
ノアとレオは必死に走って、エルの宇宙船へと飛び込んだ。

「すまない。エル、ミケ、すぐに出発を!早く!」

「ノア、待ってたぞ。ハッチを締める。すぐに出発だ。ミケ、エンジン始動!」

「了解、エンジン始動。エネルギー充填。発射まであと10秒、カウント開始」

「9、8、7、6、5、4、3、点火、発射。」

エルの宇宙船は大きく揺れながらゆっくりと宇宙に向けて浮かび上がり、大空へ登ってゆく。
地上では大きな津波が工場を飲み込み、発射場を飲みこみ、渦を巻いていた。
これから飛び立とうとしていた宇宙船が飲み込まれて消えていった。
船は振り返る事なく、宇宙の大海原へむかって飛んだ。
目指すは伝説の青い星。
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