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第四章 行方不明のペットを探す仕事
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「ホームページを作って……それから、メールアドレスに携帯の番号っと」
ある日から猫と話せる不思議な能力を得てからというもの――
私は、ペットが行方不明になった不幸な飼い主や家出や迷子で困っている猫たちを救えば、私も仕事をすることができて、そして、それぞれの声をそれぞれに届けることができれば、みんな幸せになるのではと考えるようになっていた。
無職の私にだって、誰かの役に立てることがあるかもしれない。
そう思った私は、“猫探偵社”を立ち上げることにしたのだった。
――といっても、本格的な事務所を構えたわけではなくて。
自作のホームページとフリーメール、そして携帯番号を用意しただけの、ささやかな始まりだった。
幸い、私は実家暮らし。家賃も光熱費も食費も、すべて両親の庇護のもと。
生活に困窮することはないから、少し気軽に、けれど本気で始めてみようと思ったのだ。
あの三毛猫は、いつの間にかまた家に戻ってきて、すっかり我が家に居着いてしまった。
母は彼女に「マリン(海)」という名前をつけ、まるでソラの後任のように愛情を注いでいる。
マリンはリビングのソファが定位置。夜は母の枕元で眠るという。
たまに私に話しかけてくる。
「餌、まだ?」「お水がないよ」とか、ブラッシングしてとか。そんな我儘なお願いがほとんどだけど、たまにはっとするような鋭い意見をしてくるけれど、それが理解できるのは私だけなのだ。なんとなく、もったいない気もしている。
そんなこんなで、マリンは我が家の“新しい家族”となり、私は“猫探偵事務所”のオーナーになった。まだ仕事の依頼は1件もないけれど。
そんなある日、以前に迷子猫を保護して届けたあのマダムから電話があった。
「お知り合いの猫が行方不明になってしまってね。できれば、助けてあげてほしいの」と。
私は、今は“仕事”として請け負っていること、稼働日程費用と保護の成功報酬が発生することを丁寧に説明した。
マダムは「まあ、費用がかかるのね」というような反応だったけれど、最終的には納得してくださり、そのご友人を紹介していただいた。
その後、ご連絡をくださったご友人宅を訪ねて、猫の捜索を開始。
ほどなくして、無事に猫を見つけ出すことができた。
その子は、ふらっと外に出たらあまりにも気分が良くなってしまい、戻るタイミングを逸してしまったらしい。
仲間の猫たちから寄せられた目撃情報をもとに居場所を絞り込み、保護に成功した。
保健所に連れていかれたり、誰かに危害を加えられる前で、本当に良かったと思う。
猫たちの“ネットワーク”は、本当に頼りになる。
仲間の猫以外にも、犬や鳥などが目撃情報を伝えてくれることもある。
私は猫以外の彼らの言葉はわからないが、猫たちが“通訳”をしてくれる。これは、想像以上にありがたい。
でも、見知らぬ猫にいきなり私が話しかけても、当然ながら驚かせてしまうことが多い。
そんなときは、マリンに手伝ってもらう。助手として同行してもらって、現場での情報収集を助けてもらう。もちろん、報酬のチュールも欠かせない。
私の力のことは、誰にも話せない。
話せば、間違いなく“少し変わった人”か、“診察の必要な人”にされてしまうだろう。
なぜ私が猫たちの気持ちを理解できるのかと聞かれても、「観察力があるから」と、曖昧に笑っておくしかない。
道端で猫と話をしていると、奇妙な目で見られることもあるけれど――
周囲には、私がにゃあにゃあと鳴く猫に話しかけているようにしか見えないはず。
だから、あまり気にしないことにしている。
そんなふうにして仕事の依頼は少しずつ増え、“迷子のペットを探すプロのペット探偵がいる”という評判が人づてに広がりはじめた。
このままうまくいけばだけど。
いつか実家を出て、ひとりで暮らすこともできるかもしれない。そんな未来を、ぼんやりと描きはじめていた。
このあと、まさか“事件”に巻き込まれていくことになるなど、微塵も想像していなかった。
ある日から猫と話せる不思議な能力を得てからというもの――
私は、ペットが行方不明になった不幸な飼い主や家出や迷子で困っている猫たちを救えば、私も仕事をすることができて、そして、それぞれの声をそれぞれに届けることができれば、みんな幸せになるのではと考えるようになっていた。
無職の私にだって、誰かの役に立てることがあるかもしれない。
そう思った私は、“猫探偵社”を立ち上げることにしたのだった。
――といっても、本格的な事務所を構えたわけではなくて。
自作のホームページとフリーメール、そして携帯番号を用意しただけの、ささやかな始まりだった。
幸い、私は実家暮らし。家賃も光熱費も食費も、すべて両親の庇護のもと。
生活に困窮することはないから、少し気軽に、けれど本気で始めてみようと思ったのだ。
あの三毛猫は、いつの間にかまた家に戻ってきて、すっかり我が家に居着いてしまった。
母は彼女に「マリン(海)」という名前をつけ、まるでソラの後任のように愛情を注いでいる。
マリンはリビングのソファが定位置。夜は母の枕元で眠るという。
たまに私に話しかけてくる。
「餌、まだ?」「お水がないよ」とか、ブラッシングしてとか。そんな我儘なお願いがほとんどだけど、たまにはっとするような鋭い意見をしてくるけれど、それが理解できるのは私だけなのだ。なんとなく、もったいない気もしている。
そんなこんなで、マリンは我が家の“新しい家族”となり、私は“猫探偵事務所”のオーナーになった。まだ仕事の依頼は1件もないけれど。
そんなある日、以前に迷子猫を保護して届けたあのマダムから電話があった。
「お知り合いの猫が行方不明になってしまってね。できれば、助けてあげてほしいの」と。
私は、今は“仕事”として請け負っていること、稼働日程費用と保護の成功報酬が発生することを丁寧に説明した。
マダムは「まあ、費用がかかるのね」というような反応だったけれど、最終的には納得してくださり、そのご友人を紹介していただいた。
その後、ご連絡をくださったご友人宅を訪ねて、猫の捜索を開始。
ほどなくして、無事に猫を見つけ出すことができた。
その子は、ふらっと外に出たらあまりにも気分が良くなってしまい、戻るタイミングを逸してしまったらしい。
仲間の猫たちから寄せられた目撃情報をもとに居場所を絞り込み、保護に成功した。
保健所に連れていかれたり、誰かに危害を加えられる前で、本当に良かったと思う。
猫たちの“ネットワーク”は、本当に頼りになる。
仲間の猫以外にも、犬や鳥などが目撃情報を伝えてくれることもある。
私は猫以外の彼らの言葉はわからないが、猫たちが“通訳”をしてくれる。これは、想像以上にありがたい。
でも、見知らぬ猫にいきなり私が話しかけても、当然ながら驚かせてしまうことが多い。
そんなときは、マリンに手伝ってもらう。助手として同行してもらって、現場での情報収集を助けてもらう。もちろん、報酬のチュールも欠かせない。
私の力のことは、誰にも話せない。
話せば、間違いなく“少し変わった人”か、“診察の必要な人”にされてしまうだろう。
なぜ私が猫たちの気持ちを理解できるのかと聞かれても、「観察力があるから」と、曖昧に笑っておくしかない。
道端で猫と話をしていると、奇妙な目で見られることもあるけれど――
周囲には、私がにゃあにゃあと鳴く猫に話しかけているようにしか見えないはず。
だから、あまり気にしないことにしている。
そんなふうにして仕事の依頼は少しずつ増え、“迷子のペットを探すプロのペット探偵がいる”という評判が人づてに広がりはじめた。
このままうまくいけばだけど。
いつか実家を出て、ひとりで暮らすこともできるかもしれない。そんな未来を、ぼんやりと描きはじめていた。
このあと、まさか“事件”に巻き込まれていくことになるなど、微塵も想像していなかった。
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