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第二十一章 命の代償
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私は封筒の中身はまだ見ていない。
いったい何が書いてあるのか。この書類を開けば、自分の世界の景色が変わってしまうのではないかと怖くて、由子は封筒を開けられないでいた。
何度も開けようとしては思いとどまり、明日こそは開こうと、何度も何度も考える。
封筒を開けると、今の私の「普通の日常」を嘲笑う異世界が開かれる気がした。まるで私の人生を馬鹿にするように。毎日過ごす職場や生徒との語らい、頑張って続けている婚活、毎晩持ち帰って家でする残業の努力。それらすべてを打ち消し、私を異世界へと連れて行ってしまうかもしれない。そして、私はその異世界で生きる術を知らない。
こんな事態になるとは考えてもいなかった。ただ母が亡くなり、帰る家がなくなっただけだと思っていた。そして、私は一人孤独に朽ちていくのだと思っていた。なのに。
母は死してもなお、私に小言を言い続けてくる。この書類がいい例だ。私にはこんなもの必要ないのに。私が必要なのは、父と母と笑い合って暮らしたあの日々。
まだ子供でいられた幸せな日々だけが、私の欲しいものだった。
父はなぜあの母と一緒になったのだろう。祖父に説得されて婿養子にまでなり、本当なら私の姓は西園寺ではなかったはずだ。そして、こんな生活はしていなかったのかもしれない。普通の結婚をして、普通の主婦になって、普通に子供がいて、普通に家族がいて、普通に歳を取る。やがて子供が巣立ち、孫ができて、人生を終えていく。そんな「普通の暮らし」が私にとっては何よりも憧れだった。でも、普通ってなんだろう。人の人生にはそれぞれの価値観があって、「普通」はそれぞれ違う。私の「普通」は私の価値観の中の普通、それは望めない普通なのだろうか。
父はやはり西園寺家の財力に惹かれたのだろうか。それとも社会的ステータス? 祖父の持つ権力?
私の「普通」への憧れを、死してなお母は崩しにやってくる。この茶色い封筒で。
「もしもし、加賀美さん、元気? 伊藤だけど。今、電話で話していい?」
伊藤刑事から電話がかかってくるなんて珍しい。
「はい。もしもし、あー、伊藤刑事、ご無沙汰しています。いいですよ。どうしたんですか?」
「前に亡くなった西園寺さんの猫に会いたいって言ったじゃない。近いうちにお邪魔したいなと思っていて」
「はい。いいですよ。いつでもお越しください。でも、どうしたんですか?」
「なんか、今、捜査に行き詰まっちゃってて、ストレスも溜まっててさあ。ちょっと、猫ちゃんに会いにいけば、少しは気も晴れるかと思って。うちにもタマはいるんだけど、捜査とは関係ないしね。捜査目的で加賀美さんのところに行っちゃおうかなと思って」
「そうなんですね。私は今、超絶暇なので、いつでも大丈夫ですよ。今、取りかかっている迷子案件ないんで」
「ありがとう。じゃあ、明日の午後3時くらいにお邪魔していいかな。人間と猫のおやつ持っていくから」
「いいですよ。お待ちしていますね」
「じゃあ、明日の3時にね。ありがとう。またね」
そう言うと、伊藤刑事は電話を切った。刑事さんも大変だな。行き詰まることもあるだろうし、糸口が見えないとストレスだろうな、と思った。
次の日の午後3時ちょうどに、伊藤刑事は我が家へやってきた。
ピンポーン、ピンポーン
「はい」
「伊藤です。来たよ。おやつも持ってきたよ」
「ちょっと待ってくださいね。今行きます」
玄関を開けると、いつもよりもカジュアルな格好の伊藤刑事が立っていた。手にお土産の紙袋を持って。
「こんにちは。今日はありがとうね。お邪魔します」
「どうぞどうぞ、汚いところですけど、こっちのリビングへどうぞ」
「加賀美さんって実家なのね。すっかり一人暮らしかと思ってた」
「ええ、一人暮らししようと思っているんですけど、先立つものがなくて。あと、父と母がいると何かと便利で、猫たちの世話をお願いしたり、私が動けない時に代わりに猫の世話に行ってもらったりもできるので、一人よりもいいかなって今は思っています」
「そうなの。確かに猫にとっては、誰もいないよりは、誰かがいた方がいいものね。あら、このソファにいる子は?」
「あ、この子はマリンです。うちの飼い猫で私の相棒です。女の子です。もう、姉妹みたいですけど」
「かわいいわね。よろしくね、マリンちゃん。落ち着いてて全然逃げないわね。人馴れしているわ。で、マルコちゃんはどこなの?」
「マルコはたぶん、伊藤さんの座っているソファの下あたりに隠れているかと」
伊藤刑事と遥香がソファの下を覗き込むと、そこにマルコが大きな目で様子をうかがいながら隠れていた。
「君がマルコね。こんにちは。でも、大丈夫よ。何もしないから。君を一目見に来ただけだから。結構、大きい子なのね」
「そうですね。マルコは大きい方だと思います。よく食べるし、保護してから体重はすごく増えたと思います」
「加賀美さんの家の居心地がいいのね。私も居心地がいいもの。根が生えちゃいそう。これ、お土産。猫のはチュールとまたたびのガムね。それと、人間のおやつはドーナツ、最近話題になっている生ドーナツとかいうやつ、私も食べたいから買ってきちゃった」
「ありがとうございます。コーヒーがいいですか?それとも紅茶? 暑いので麦茶もありますよ。私はちなみに紅茶にしたいと思います。ドーナツに合いそうなので」
「じゃあ、私も紅茶をいただくわ。ポットなら1つでカップは2つに分けられるものね」
「私、アールグレイの紅茶が大好きなんです。伊藤さんはアールグレイはお好きですか? ダージリンもありますけど」
「私もアールグレイの紅茶は大好き。いい香りよね」
「香りと言えば、捜査はどんな状況なんですか? あの匂いや傷跡の件、何か分かりました?」
「捜査の内容は詳しくは言えないけど、その件はいろいろ調べてる。でも、進展はいまいちね。傷跡の件もいろいろと捜査中だけど、肝心のマルコに引っ掻かれたという証拠には程遠い状況」
珍しく、マルコは伊藤刑事のところへソファの下から顔を出した。
「あら、マルコちゃん、出てきてくれたのね。君はよかったわね。こんないい人に保護されて、綺麗にしてもらって、おいしいごはんももらえて」
伊藤刑事はマルコの頭から背中を撫でた。マルコはおとなしく伊藤刑事に撫でられていた。彼女が猫好きであり、家に猫を飼っていることがマルコにもわかるのかもしれない。気持ちよさそうに目を閉じて撫でられていた。
伊藤刑事がため息をついた。
「君が犯人と出会った証拠があればなあ。猫はしゃべれないし。証言もできないものね。残念だ、残念だ」
そう言いながら、伊藤刑事は疲れた様子でマルコを撫でていた。
マリンはすくっと立ち上がって、キッチンで紅茶を用意している遥香のところに近寄り、遥香に話しかけた。
「遥香、遥香、マルコの爪、どこやったにゃ。あれ、伊藤刑事に渡したらどうだにゃ」
「マリン、何? 今、話しかけないでよ。え、あ、あああああ、そうだ。忘れてた。私の机の中にある!」
伊藤刑事がマリンの方を見ると、マリンが遥香に向けてにゃあにゃあと鳴いているのが見えた。
「あら。マリンちゃん、加賀美さんに向かって何か言っているわ。おやつが欲しいのかしら。あるわよ。ほら、これ好きかな」
マリンは伊藤刑事の元に走ってきて、おやつのチュールを舐め始めた。
「うまいにゃ、うまいにゃ」
遥香は入れた紅茶をトレイに乗せてテーブルまで運んできた。
「紅茶どうぞ、伊藤さん。あの、実はマルコを保護した時に爪を切ってからお風呂に入れて洗ったんです」
「紅茶ありがとう。マリンちゃんはこのおやつ好きみたいね。すごい勢いで食べてるわ。その話は電話で前に聞いたよ。マルコちゃんとマリンちゃんをお風呂に入れて爪を切ってあげたんだよね。二匹ともよく手入れが行き届いていて、きれいだね。よかったねー、マルコちゃんもマリンちゃんも」
「あの、その時のマルコの爪なんですけど、お風呂に入れる前に切って、私がジップのついた袋に入れて持ってるんです」
「へえ、爪切って持ってるの。へえ、って、え? マルコの爪はお風呂に入れる前に切って持っているの? え? どうして?」
「すみません。お電話では保護してすぐの爪を切って持っていることを話そうと思ったら、伊藤さんが電話を切っちゃったので、すっかり忘れてました」
「それどこにあるの? すぐに私に渡してちょうだい。大変、すぐに署に戻らないと。その爪には犯人の証拠が残っているかもしれないから」
遥香は自分の机の引き出しを開けて、袋に入ったマルコの爪を伊藤刑事に手渡した。
「これがあれば捜査が進展するかもしれない。じゃあ、私はこれで署に戻るから。今日はありがとう。楽しかった。ドーナツは食べてね。あと、紅茶はごちそうさま。じゃあ、また連絡するね。よろしくね。じゃあね」
慌てた様子で伊藤刑事は帰っていった。おいしいドーナツとアールグレイの紅茶の香りを残して。
いったい何が書いてあるのか。この書類を開けば、自分の世界の景色が変わってしまうのではないかと怖くて、由子は封筒を開けられないでいた。
何度も開けようとしては思いとどまり、明日こそは開こうと、何度も何度も考える。
封筒を開けると、今の私の「普通の日常」を嘲笑う異世界が開かれる気がした。まるで私の人生を馬鹿にするように。毎日過ごす職場や生徒との語らい、頑張って続けている婚活、毎晩持ち帰って家でする残業の努力。それらすべてを打ち消し、私を異世界へと連れて行ってしまうかもしれない。そして、私はその異世界で生きる術を知らない。
こんな事態になるとは考えてもいなかった。ただ母が亡くなり、帰る家がなくなっただけだと思っていた。そして、私は一人孤独に朽ちていくのだと思っていた。なのに。
母は死してもなお、私に小言を言い続けてくる。この書類がいい例だ。私にはこんなもの必要ないのに。私が必要なのは、父と母と笑い合って暮らしたあの日々。
まだ子供でいられた幸せな日々だけが、私の欲しいものだった。
父はなぜあの母と一緒になったのだろう。祖父に説得されて婿養子にまでなり、本当なら私の姓は西園寺ではなかったはずだ。そして、こんな生活はしていなかったのかもしれない。普通の結婚をして、普通の主婦になって、普通に子供がいて、普通に家族がいて、普通に歳を取る。やがて子供が巣立ち、孫ができて、人生を終えていく。そんな「普通の暮らし」が私にとっては何よりも憧れだった。でも、普通ってなんだろう。人の人生にはそれぞれの価値観があって、「普通」はそれぞれ違う。私の「普通」は私の価値観の中の普通、それは望めない普通なのだろうか。
父はやはり西園寺家の財力に惹かれたのだろうか。それとも社会的ステータス? 祖父の持つ権力?
私の「普通」への憧れを、死してなお母は崩しにやってくる。この茶色い封筒で。
「もしもし、加賀美さん、元気? 伊藤だけど。今、電話で話していい?」
伊藤刑事から電話がかかってくるなんて珍しい。
「はい。もしもし、あー、伊藤刑事、ご無沙汰しています。いいですよ。どうしたんですか?」
「前に亡くなった西園寺さんの猫に会いたいって言ったじゃない。近いうちにお邪魔したいなと思っていて」
「はい。いいですよ。いつでもお越しください。でも、どうしたんですか?」
「なんか、今、捜査に行き詰まっちゃってて、ストレスも溜まっててさあ。ちょっと、猫ちゃんに会いにいけば、少しは気も晴れるかと思って。うちにもタマはいるんだけど、捜査とは関係ないしね。捜査目的で加賀美さんのところに行っちゃおうかなと思って」
「そうなんですね。私は今、超絶暇なので、いつでも大丈夫ですよ。今、取りかかっている迷子案件ないんで」
「ありがとう。じゃあ、明日の午後3時くらいにお邪魔していいかな。人間と猫のおやつ持っていくから」
「いいですよ。お待ちしていますね」
「じゃあ、明日の3時にね。ありがとう。またね」
そう言うと、伊藤刑事は電話を切った。刑事さんも大変だな。行き詰まることもあるだろうし、糸口が見えないとストレスだろうな、と思った。
次の日の午後3時ちょうどに、伊藤刑事は我が家へやってきた。
ピンポーン、ピンポーン
「はい」
「伊藤です。来たよ。おやつも持ってきたよ」
「ちょっと待ってくださいね。今行きます」
玄関を開けると、いつもよりもカジュアルな格好の伊藤刑事が立っていた。手にお土産の紙袋を持って。
「こんにちは。今日はありがとうね。お邪魔します」
「どうぞどうぞ、汚いところですけど、こっちのリビングへどうぞ」
「加賀美さんって実家なのね。すっかり一人暮らしかと思ってた」
「ええ、一人暮らししようと思っているんですけど、先立つものがなくて。あと、父と母がいると何かと便利で、猫たちの世話をお願いしたり、私が動けない時に代わりに猫の世話に行ってもらったりもできるので、一人よりもいいかなって今は思っています」
「そうなの。確かに猫にとっては、誰もいないよりは、誰かがいた方がいいものね。あら、このソファにいる子は?」
「あ、この子はマリンです。うちの飼い猫で私の相棒です。女の子です。もう、姉妹みたいですけど」
「かわいいわね。よろしくね、マリンちゃん。落ち着いてて全然逃げないわね。人馴れしているわ。で、マルコちゃんはどこなの?」
「マルコはたぶん、伊藤さんの座っているソファの下あたりに隠れているかと」
伊藤刑事と遥香がソファの下を覗き込むと、そこにマルコが大きな目で様子をうかがいながら隠れていた。
「君がマルコね。こんにちは。でも、大丈夫よ。何もしないから。君を一目見に来ただけだから。結構、大きい子なのね」
「そうですね。マルコは大きい方だと思います。よく食べるし、保護してから体重はすごく増えたと思います」
「加賀美さんの家の居心地がいいのね。私も居心地がいいもの。根が生えちゃいそう。これ、お土産。猫のはチュールとまたたびのガムね。それと、人間のおやつはドーナツ、最近話題になっている生ドーナツとかいうやつ、私も食べたいから買ってきちゃった」
「ありがとうございます。コーヒーがいいですか?それとも紅茶? 暑いので麦茶もありますよ。私はちなみに紅茶にしたいと思います。ドーナツに合いそうなので」
「じゃあ、私も紅茶をいただくわ。ポットなら1つでカップは2つに分けられるものね」
「私、アールグレイの紅茶が大好きなんです。伊藤さんはアールグレイはお好きですか? ダージリンもありますけど」
「私もアールグレイの紅茶は大好き。いい香りよね」
「香りと言えば、捜査はどんな状況なんですか? あの匂いや傷跡の件、何か分かりました?」
「捜査の内容は詳しくは言えないけど、その件はいろいろ調べてる。でも、進展はいまいちね。傷跡の件もいろいろと捜査中だけど、肝心のマルコに引っ掻かれたという証拠には程遠い状況」
珍しく、マルコは伊藤刑事のところへソファの下から顔を出した。
「あら、マルコちゃん、出てきてくれたのね。君はよかったわね。こんないい人に保護されて、綺麗にしてもらって、おいしいごはんももらえて」
伊藤刑事はマルコの頭から背中を撫でた。マルコはおとなしく伊藤刑事に撫でられていた。彼女が猫好きであり、家に猫を飼っていることがマルコにもわかるのかもしれない。気持ちよさそうに目を閉じて撫でられていた。
伊藤刑事がため息をついた。
「君が犯人と出会った証拠があればなあ。猫はしゃべれないし。証言もできないものね。残念だ、残念だ」
そう言いながら、伊藤刑事は疲れた様子でマルコを撫でていた。
マリンはすくっと立ち上がって、キッチンで紅茶を用意している遥香のところに近寄り、遥香に話しかけた。
「遥香、遥香、マルコの爪、どこやったにゃ。あれ、伊藤刑事に渡したらどうだにゃ」
「マリン、何? 今、話しかけないでよ。え、あ、あああああ、そうだ。忘れてた。私の机の中にある!」
伊藤刑事がマリンの方を見ると、マリンが遥香に向けてにゃあにゃあと鳴いているのが見えた。
「あら。マリンちゃん、加賀美さんに向かって何か言っているわ。おやつが欲しいのかしら。あるわよ。ほら、これ好きかな」
マリンは伊藤刑事の元に走ってきて、おやつのチュールを舐め始めた。
「うまいにゃ、うまいにゃ」
遥香は入れた紅茶をトレイに乗せてテーブルまで運んできた。
「紅茶どうぞ、伊藤さん。あの、実はマルコを保護した時に爪を切ってからお風呂に入れて洗ったんです」
「紅茶ありがとう。マリンちゃんはこのおやつ好きみたいね。すごい勢いで食べてるわ。その話は電話で前に聞いたよ。マルコちゃんとマリンちゃんをお風呂に入れて爪を切ってあげたんだよね。二匹ともよく手入れが行き届いていて、きれいだね。よかったねー、マルコちゃんもマリンちゃんも」
「あの、その時のマルコの爪なんですけど、お風呂に入れる前に切って、私がジップのついた袋に入れて持ってるんです」
「へえ、爪切って持ってるの。へえ、って、え? マルコの爪はお風呂に入れる前に切って持っているの? え? どうして?」
「すみません。お電話では保護してすぐの爪を切って持っていることを話そうと思ったら、伊藤さんが電話を切っちゃったので、すっかり忘れてました」
「それどこにあるの? すぐに私に渡してちょうだい。大変、すぐに署に戻らないと。その爪には犯人の証拠が残っているかもしれないから」
遥香は自分の机の引き出しを開けて、袋に入ったマルコの爪を伊藤刑事に手渡した。
「これがあれば捜査が進展するかもしれない。じゃあ、私はこれで署に戻るから。今日はありがとう。楽しかった。ドーナツは食べてね。あと、紅茶はごちそうさま。じゃあ、また連絡するね。よろしくね。じゃあね」
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