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第一話:恋する少女
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二○XX年四月九日、京都市内某所にある「月読学園」、そこに一人の少女が入学しようとしていた。少女の名前は水城 八宵。春風が暖かく、校庭に咲く桜並木は満開である。
「すご~い綺麗な桜~!!」
八宵は月読学園の校門をくぐると、目の前の桜並木に釘付けになった。薄ピンク色に咲く沢山の花弁は、少女の入学を歓迎しているようだった。
「(これからの学校生活、楽しみだな……いっぱい友達作って部活もいっぱい頑張るんだ……)」
少女は高鳴る胸を躍らせている。
ふと、桜並木の外側に一人の教師が通りかかっていた。
「(学校の先生だ……挨拶した方が良いかな?)」
そう思った八宵は、目の前の教師に向かって駆け寄って行く。すると、その教師の方から八宵に声をかけて来た。
「お前、新入生か。早く行かないと入学式に遅刻するぞ」
その男性教師は、灰色がかった色の短髪で、スクエア型の眼鏡をかけている。背丈は約百七十五センチメートル程度であろうか、八宵よりも二回り背丈が高い。男性教師は、八宵の目の前に現れると怪訝そうな目つきでじっと八宵を見つめている。
「お前……胸元のリボンが曲がってる。それに……規定よりも一センチほどスカートの丈が短いようだが……」
厳しい眼差しを向けられている事に気付いた八宵はぎくりと戸惑う。
「(うぇっ!こっそり腰の所でスカート巻いてるのバレてる……)」
八宵はその教師の目の前で、急いで曲がったリボンとスカートの丈を直し始めた。スカートの丈を戻す事に気を取られていて気付かなかったが、その教師は八宵の頭に手を伸ばしている。
「桜の花弁……髪についてるし……。折角の入学式なんだから、身だしなみぐらいちゃんとして出席しろよ……」
「えっ!は、はい……」
教師は八宵の髪の毛についていた桜の花弁を手で掬ってやると、八宵がお礼を言う前に立ち去ってしまった。八宵は頬を染めたまま、しばらくその場に立ちすくんでしまっていた。
入学式を終えると、着任式で先程出会った教師の名前が“月乃 愛海”というのが分かった。
「(月乃先生って言うんだ……社会科の先生で……厳しそうだけど、すごく優しそうで……初めて会ったはずなのに、どこか懐かしい感じがする……)」
八宵は遠くに立っている月乃の姿をしばらく目で追っていた。どうやら八宵は、その教師に一目惚れしたようであった。
「(月乃先生……僕の担任になってくれないかな……)」
そんな事をぼんやりと考えていた。
――
「なんで月乃が担任じゃないの~!!」
休み時間、八宵は自身のクラスで、そんな事を大きな声で友人にぼやいていた。季節は一巡りし、八宵は月読学園の高校二年生になっていた。
「お前のお目当ては、今回も担任じゃなかったか~」
「べにちゃん!べにちゃんと同じクラスで、僕嬉しいけど~……なんで月乃は別のクラスにいっちゃうのさ!」
たはは……と八宵の隣で笑うその少女は、八宵の友人であり、八宵からは“べにちゃん”という愛称で呼ばれている。“鬼姫 べに”という名の少女である。
べには八宵の頭をヨシヨシと撫でると
「こればっかりは運だからな~」
と八宵を慰めている。八宵は少しいじけながら
「どうにかしてさ……月乃とお近づきになれるチャンスないかな?」
とべにに問う。べにはうーんと逡巡を巡らせると、ある事を八宵に提案し始めた。
「実はさ……月乃は、ウチが所属する生徒会の顧問やってるんだけど……丁度、書紀の子が病欠で学校に来れなくなってね……今ちょっと人手不足なんだよね~」
べには手に持ったシャーペンをくるくる回しながら、どうしたもんかなってさ……と呟いている。八宵はすぐさまその話題に食いつくと
「じゃあ!じゃあさ!僕も……その生徒会に加入したら、月乃とお近づきになれるんじゃないかな!?」
とべにの前で身を乗り出している。
「ただな~……」
とべには何か他にも言いたげにしているが、そんな事はお構いなしに、八宵の目は本気になっている。
「僕……特に成績優秀ってわけじゃないし、人脈もそんな無いけど……生徒会!!入りたい!べにちゃん、一生のお願いだからさ、ちょっと協力して!」
八宵はべにの前で両手を合わせて懇願する。まぁ、ちょっと試してみるか……なんて呟きながら、べには放課後に八宵を生徒会室に連れて行く約束をするのであった。
「月乃……絶対絶対仲良くなってみせるんだから!」
休み時間を終えるチャイムが鳴る。八宵はその日の放課後を待ち遠しく思うのであった。
「すご~い綺麗な桜~!!」
八宵は月読学園の校門をくぐると、目の前の桜並木に釘付けになった。薄ピンク色に咲く沢山の花弁は、少女の入学を歓迎しているようだった。
「(これからの学校生活、楽しみだな……いっぱい友達作って部活もいっぱい頑張るんだ……)」
少女は高鳴る胸を躍らせている。
ふと、桜並木の外側に一人の教師が通りかかっていた。
「(学校の先生だ……挨拶した方が良いかな?)」
そう思った八宵は、目の前の教師に向かって駆け寄って行く。すると、その教師の方から八宵に声をかけて来た。
「お前、新入生か。早く行かないと入学式に遅刻するぞ」
その男性教師は、灰色がかった色の短髪で、スクエア型の眼鏡をかけている。背丈は約百七十五センチメートル程度であろうか、八宵よりも二回り背丈が高い。男性教師は、八宵の目の前に現れると怪訝そうな目つきでじっと八宵を見つめている。
「お前……胸元のリボンが曲がってる。それに……規定よりも一センチほどスカートの丈が短いようだが……」
厳しい眼差しを向けられている事に気付いた八宵はぎくりと戸惑う。
「(うぇっ!こっそり腰の所でスカート巻いてるのバレてる……)」
八宵はその教師の目の前で、急いで曲がったリボンとスカートの丈を直し始めた。スカートの丈を戻す事に気を取られていて気付かなかったが、その教師は八宵の頭に手を伸ばしている。
「桜の花弁……髪についてるし……。折角の入学式なんだから、身だしなみぐらいちゃんとして出席しろよ……」
「えっ!は、はい……」
教師は八宵の髪の毛についていた桜の花弁を手で掬ってやると、八宵がお礼を言う前に立ち去ってしまった。八宵は頬を染めたまま、しばらくその場に立ちすくんでしまっていた。
入学式を終えると、着任式で先程出会った教師の名前が“月乃 愛海”というのが分かった。
「(月乃先生って言うんだ……社会科の先生で……厳しそうだけど、すごく優しそうで……初めて会ったはずなのに、どこか懐かしい感じがする……)」
八宵は遠くに立っている月乃の姿をしばらく目で追っていた。どうやら八宵は、その教師に一目惚れしたようであった。
「(月乃先生……僕の担任になってくれないかな……)」
そんな事をぼんやりと考えていた。
――
「なんで月乃が担任じゃないの~!!」
休み時間、八宵は自身のクラスで、そんな事を大きな声で友人にぼやいていた。季節は一巡りし、八宵は月読学園の高校二年生になっていた。
「お前のお目当ては、今回も担任じゃなかったか~」
「べにちゃん!べにちゃんと同じクラスで、僕嬉しいけど~……なんで月乃は別のクラスにいっちゃうのさ!」
たはは……と八宵の隣で笑うその少女は、八宵の友人であり、八宵からは“べにちゃん”という愛称で呼ばれている。“鬼姫 べに”という名の少女である。
べには八宵の頭をヨシヨシと撫でると
「こればっかりは運だからな~」
と八宵を慰めている。八宵は少しいじけながら
「どうにかしてさ……月乃とお近づきになれるチャンスないかな?」
とべにに問う。べにはうーんと逡巡を巡らせると、ある事を八宵に提案し始めた。
「実はさ……月乃は、ウチが所属する生徒会の顧問やってるんだけど……丁度、書紀の子が病欠で学校に来れなくなってね……今ちょっと人手不足なんだよね~」
べには手に持ったシャーペンをくるくる回しながら、どうしたもんかなってさ……と呟いている。八宵はすぐさまその話題に食いつくと
「じゃあ!じゃあさ!僕も……その生徒会に加入したら、月乃とお近づきになれるんじゃないかな!?」
とべにの前で身を乗り出している。
「ただな~……」
とべには何か他にも言いたげにしているが、そんな事はお構いなしに、八宵の目は本気になっている。
「僕……特に成績優秀ってわけじゃないし、人脈もそんな無いけど……生徒会!!入りたい!べにちゃん、一生のお願いだからさ、ちょっと協力して!」
八宵はべにの前で両手を合わせて懇願する。まぁ、ちょっと試してみるか……なんて呟きながら、べには放課後に八宵を生徒会室に連れて行く約束をするのであった。
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