今日も僕らは日常を着飾る 〜契約から始まる他校の王子様系女子とのヒミツなカンケイ〜

柿本紬樹

文字の大きさ
4 / 16

10月-3 クレープ大作戦

しおりを挟む

拝啓お父さんお母さん、お元気ですか。

あなた達の息子は立派に成長しました。

ですがーー
私の女装姿を見たら何を思うんでしょうね。

あの日から数日後、俺は再びウィッグをかぶっていた。

昨日メールで『クレープを食べてみたい‼︎』などというご要望があったからだ。

流石にお店は早くね?と思って聞いてみたらなんと作るとか言い出した。

なんか……あいつすっごいわがままじゃない?
まさか本性がそれなのか?

断るという選択肢も残されてはいたが断ったらあの限界を迎えてた辛そうな顔が頭に浮かび断ろうにも俺の良心が断るのを拒絶していた。

仕方なく約束した場所へ行くと…

なんということでしょう輝かしいオーラを放つ人物の隣に場違いなクーラーボックスが鎮座しているではございませんか。

「やぁ、ユリ。待ってたよ」

クーラーボックスの主がそう話しかけてくる。

「数日ぶりだな、七瀬。もしかしてあのクーラーボックスが?」

「ふっふっふ~よくぞ聞いてくれたね。見てよこのセットを!」

七瀬が自慢げにクーラーボックスを開けるとクレープ生地とクリームに加え、チョコ、色とりどりのフルーツが用意されていた。

「うっわすっごよく集めたねこんな量…ところで作り方はわかるの?」

「………!」

うわ~持ってきただけだよこの人…。
ドヤ顔で材料をアピールするだけで何も言わないので多分そういうことだろう。

「はぁ…そんなことだろうと思ったよ。一応俺は作れるから…」

「私」

「あ、私」

「俺」と言ったことを瞬時に訂正してきた。
今まで俺で慣れていた分ボロが出やすいから注意しないとな~(遠い目)

「とりあえず…クレープ、作りましょうか」

「わーい」

七瀬今日一の笑顔。
王子様っぽくないのは明らかだがそのための契約だし七瀬が嬉しいなら……いいとしよう。

早速俺たちはクレープ生地を敷けるよう机の上を綺麗にして紙の皿を置いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《クレープの作り方‼︎》

まずは生地全体の8分の1をホイップクリームで中心が尖るよう絞ります。

その上にフルーツをホイップクリームの形に合わせ、縦に刺すようのせます。
この時お好みでチョコソースやアーモンドスライスをのせるのもおすすめです。

そしてクレープを半分におり、フルーツをのせたところを軸に巻けば完成です。

ちなみにこの状態からアイスや追いクリーム、追いチョコレートなどをすればより見栄えが良くなります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そんなこんなで俺たちは気の向くままにクレープを作り続けた。
材料が尽きるまで、満足するまで作り続けた。

こうして作り終わった後、重大なことに気づいた。

ー流石に作りすぎた、と。

もしかしたら作る量を3個とかで止めておけばまだ食べ切れたかもしれない。
しかし今机の上には10数個の出来上がったクレープが……!

自分たちで作ったくせに残すのはかなり勿体無いので俺と七瀬は覚悟を決めて席に着き、バナナとチョコのクレープにかぶりついた。

ん!クレープの生地もっちりしてるやつだ。
食材がちょうど良い感じに調和しててお互いがお互いを邪魔してない。
巻いただけだとはいえ結構味のバランスがいい。
これなら何個か食べれそう!

2個目ーー
時期的にいちごは売ってなかったけどいちごソース甘酸っぱくて美味しいね

3個目ーー
あっ、パリパリチョコおいしい~

4個目ーー
うん…うん…

5個目ーー
…………….

6個m…
待て待て待て待て4個目で限界だよこれ!
重すぎるんだよ!クリームが!チョコが!

お腹とくどさに限界を感じ七瀬に目をやれば、笑顔ではいるもののずっと手が動いていない。

「なあ七瀬、残ったクレープどうする?」

俺が尋ねるが返事は返ってこない。
まだ机にはクレープが5個ほど転がっている。

「お、おーい   七瀬さーん…」

「ごめんユリ、お水をひとつもらえないかな。なんというか……少々まずい状況なんだ……」

おっと~七瀬さん大ピンチです。
これは急がないと本当に駄目なやつだ。

というわけで自販機に走って冷えたお水を買って持ってきた。
そして現在進行形で危ない七瀬にそれを渡す。

「んっ、んっ、んっ…ふぅ…危なかった~。ありがとうユリ」

「……」

「ゆ、ユリ?」

「ひょっとして甘いの苦手で無理してたりする?」

当然の疑問だ。
なにせ彼女は2個目の最初であの状態だったのだから。

「い、いや、そういうわけじゃないんだ。むしろ甘いのは好きだよ。 ただ…慣れてないだけかな」


俺は腕組みをしてしばらく悩んだ末に1つの答えにたどり着いた。

「もしかして今までと違うことをやろうと焦りすぎてない?」

俺がこう聞くと七瀬の体が固まった。
どうやら図星のようだ。

「やっぱりね。 こういうのはのんびりでいいんだよのんびりで。だってどう動いたとしても、毎日は続いてくんだから」

「い、いいのかな…そんな贅沢なことして…
で、でもさ、その日やろうとしたことが出来ないとせっかくの時間なのにもったいない気がするんだ…」

「いや、違うよ。出来なくたっていいんだ。自分がやりたいことをやりたい時にやりたいだけなんて出来るわけないんだ。ならさ、私たちは私たちなりのぺースで進んで行けばいいんだよ。詰め込んだら余計」になっちゃうからね」

俺がそう言うと七瀬は少しだんまりし出した。

「…そうか、そうだね。ありがとう、ユリ。君がいてくれてよかったよ」

七瀬が微笑む。

「お、おう…そ、そんなことよりクレープ!余ったクレープを早くなんとかしようよ‼︎」

七瀬に内心ドキっとしつつもバレないように話題の転換を試みる。

「あ、あぁそうだったね。どうする?半分ずつで持ち帰る?」

「いや、君のところあんま食べないでしょ。いいよ。大半は私が持って帰るから無理しないで」

結局勢いで持ち帰った大量クレープを家族と片付けることとなり、妹から叱責を食らうのだった。



作りすぎ、ダメ。ゼッタイ。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

訳あって学年の三大美少女達とメイドカフェで働くことになったら懐かれたようです。クラスメイトに言えない「秘密」も知ってしまいました。

亜瑠真白
青春
「このことは2人だけの秘密だよ?」彼女達は俺にそう言った――― 高校2年の鳥屋野亮太は従姉に「とあるバイト」を持ちかけられた。 従姉はメイドカフェを開店することになったらしい。 彼女は言った。 「亮太には美少女をスカウトしてきてほしいんだ。一人につき一万でどうだ?」 亮太は学年の三大美少女の一人である「一ノ瀬深恋」に思い切って声をかけた。2人で話している最中、明るくて社交的でクラスの人気者の彼女は、あることをきっかけに様子を変える。 赤くなった顔。ハの字になった眉。そして上目遣いで見上げる潤んだ瞳。 「ほ、本当の私を、か、かかか、可愛いって……!?」 彼女をスカウトしたことをきっかけに、なぜか「あざと系美少女」や「正体不明のクール系美少女」もメイドカフェで働くことに。

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件

沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」 高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。 そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。 見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。 意外な共通点から意気投合する二人。 だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは―― > 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」 一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。 ……翌日、学校で再会するまでは。 実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!? オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている

夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。 ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。 無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。 クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

処理中です...