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元悪役令嬢は還暦を迎えました
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私の名前はピエネッタ・マトゥーラ。
もう四十年以上前になるだろうか。私は王子の婚約者であったのだが、なんやかんやでテンプレ婚約破棄をされ、修道院に送られた。
そのまま月日は経ち――私はとあるゲームの悪役令嬢として転生したという事に気付いたのは六十の誕生日――つまり今日だ。
お、遅くないかい?ちょっと遅すぎないかね?
よくある話だとここからタイムリープして若い頃に戻るはず。そう思って頭を打ってみたり転んでみたり、寝てみたりした。けれど何も起きない。ぷるぷると震えるのは筋肉ですら無い気がする。
死んだらいいのだろうか…いや、それはリスクが高すぎる。今の生活もさすがに日常となり、色恋は無縁ではあったものの、孤児達の世話もそれなりに楽しく、もう何人も何十人も成人の儀式を見送ってきたのだ。それに何もせずとも、もうすぐお迎えが来るんじゃないか?
っていうか私、どんなゲームの悪役令嬢だったっけかのう?
記憶が曖昧だ。なんせ前世は二十歳そこそこで死んでしまった。今の年の方が上なだけあって、性格はこの世界で生きてきた私でしかない。確かに乙女ゲームは好きだったような。
なんとか記憶を呼び覚まそうと頑張ったけれど、あんまり覚えていない。年か、辛い。
わからないから私はふて寝をすることにした。最近遅くまで起きていられないのだ。朝は鶏より早く起きるが。
そのまま若くなることもなく天寿を全うして、ワシは清い体で八十年の生涯を終えたのだった。
遺言はあまりにあけすけだったので、石碑に刻まれることもなく書かれた紙ごと灰になった。それには達筆でこう書いてある。
ーー 一度くらい、めくるめく官能の世界をみたかった ーー
次回!八十歳の大往生おばあちゃんが悪役令嬢としてやり直し!?
『わかいもんにはまだまだ負けん~20歳+80歳+16歳・脱お一人様を目指すおばあちゃんの奮闘記~』
お楽しみに!!!
-完-(続かない)
もう四十年以上前になるだろうか。私は王子の婚約者であったのだが、なんやかんやでテンプレ婚約破棄をされ、修道院に送られた。
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お、遅くないかい?ちょっと遅すぎないかね?
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死んだらいいのだろうか…いや、それはリスクが高すぎる。今の生活もさすがに日常となり、色恋は無縁ではあったものの、孤児達の世話もそれなりに楽しく、もう何人も何十人も成人の儀式を見送ってきたのだ。それに何もせずとも、もうすぐお迎えが来るんじゃないか?
っていうか私、どんなゲームの悪役令嬢だったっけかのう?
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なんとか記憶を呼び覚まそうと頑張ったけれど、あんまり覚えていない。年か、辛い。
わからないから私はふて寝をすることにした。最近遅くまで起きていられないのだ。朝は鶏より早く起きるが。
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遺言はあまりにあけすけだったので、石碑に刻まれることもなく書かれた紙ごと灰になった。それには達筆でこう書いてある。
ーー 一度くらい、めくるめく官能の世界をみたかった ーー
次回!八十歳の大往生おばあちゃんが悪役令嬢としてやり直し!?
『わかいもんにはまだまだ負けん~20歳+80歳+16歳・脱お一人様を目指すおばあちゃんの奮闘記~』
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