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初等部編

お茶会の招待状

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 学園に行くときは弟ジュリアンと一緒だが、帰りはいつも別々。ジュリアンは語学の課外活動をしているし、私はさっさと帰宅することが多い。
 学園の車寄せでルテール公爵家の馬車を探していると、カーラの姿が見えた。私が予定より遅かったから馬車の外で待っていたらしい。なお、学園の敷地内には生徒と保護者しか入ることが出来ないから、使用人のカーラは外で待つしかない。

「待たせてごめんね、カーラ」
「とんでもないです。お嬢様がご無事か心配で」

 この三日間の嫌がらせは、家族にはまだ話していない。リラからはすぐに相談しましょうと言われたが、私が「心配かけたくないし、宮廷内の権力争いにつながるのがいや」と固辞したからだ。

「リュカと話してたの」
「エヴルー子爵家のリュカ様ですか?」
「そうだよ。何か知ってるかなと思って。幼馴染だし、友達だよ。リュカは大丈夫だよ」

 私がそう言ったけど、カーラは心配そうな顔をしていた。




 帰宅すると、玄関で出迎えてくれたリラが手紙を差し出してきた。

「もしかしてエリアスからの返事?!」

 私が舞い上がって笑顔でそう言うと、リラは首を横に振った。

(違うの?!昨日出したお手紙の返事だと思ったのに!誰だよ、ぬか喜びさせやがって)

「先ほど届きました。エーメ男爵夫人からアリスお嬢様に、お茶会のお誘いです」
「……エーメ男爵夫人???誰それ???」

 どっかで聞いたような、と思っていると少し後ろにいたカーラが「マルシェの轢き逃げ」と耳打ちしてきた。

(あー!あの逃げようとしたやつね!奥さんいるんだ!)

 あの時カーラが、金で爵位を買った新興貴族、と言ってたが、どうやら物凄いお金持ちらしい。そのエーメ男爵の奥さんが、なんで私をお茶会に?面識などない。リラも不審がっていた。

「アリスお嬢様、これは旦那様と奥様に相談した方がいいと思います」

 さすがに、リラの言うとおりだと思う。頷いてると、リラが我が家にもう一通、お茶会の招待状が来ていることを教えてくれた。

「ダンピエール伯爵家からもお茶会の招待状が届いております」

 しかも、それは、ルイーズ嬢からお兄様宛の招待状だった。



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