私に悪役令嬢は無理でした!でも好きな人がいるから頑張ります!

ゆきづき花

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初等部編

だ、だからフラグを折ろうとしたのに_1

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「大丈夫なの? エリアスはいまどこにいるの?」

 私がそう聞くと、アレックスが明らかに言いよどんでいた。
 横で数人の年若い騎士達が、縛り上げた男爵や賊を見て「仕事が終わってる……」と言っていた。カーラが手短に説明している。

 この場で、一番年配の騎士が大声で告げた。

「エーメ男爵の罪についてはすべて露見しております。この度の公爵令嬢の略取事件だけでなく、傷害や脅迫、贈収賄などについてもすべて。エーメ男爵邸も捜査中です。抵抗は無意味ですので、このまま来て頂けますか?」

 そう言われた男爵はさすがに体を強ばらせていた。

 傷害? 脅迫? 贈収賄? 轢き逃げをもみ消したのなんて日常茶飯事だったんだ。
 もしあの場にガブリエルが来なくて、あの轢かれた男の子が取り返しのつかないことになっていたとしても、きっと揉み消していたんだろう。
 予想以上に酷かった。


 連行されていくエーメ男爵の姿を見送ってアレックスが言った。

「エリアスは……僕たちがエーメ男爵邸に着いた頃には、血まみれになってた」
「血まみれ? 怪我したの? 無事?」

 私はアレックスの腕を掴んで叫んだ。アレックスはやっぱり言いづらそうにしていた。

「……本人は傷一つ負ってない。……全部返り血」

 まじで? こわ。

「黒い服がさらにどす黒くなっていて、血まみれの手で華奢な男爵夫人の首に剣をつきつけてたから、事情を知らなかったらエリアスが賊に見えたと思うよ……」

 まじで? こわ。※二回目

「彼は報告も兼ねて一度、王宮へあがってる。そのあとでルテール公爵家に来る段取りのはずだよ」

 エリアスが怪我もなく無事ならそれでよかった、と思っていた。


 迎えの馬車が来ると言われたので、それを待つ間にアレックスが私の質問に順に答えてくれた。
 ここはかつて憲兵隊が城外活動する際に使用していた小屋で、現在は別の場所に新しい小屋を建ててあるから、いまは誰にも使われていない事。
 そして憲兵隊の隊長が、贈収賄に関わっていたこと。

「隊長が? 一番トップが腐ってたの?!」

 私が思わずそう言うとアレックスが困った顔をして笑っていた。

「本当に君はストレートに物を言うね」
「君がエリアスに護衛の依頼をしたから、僕たちもその動きは追っていたんだ」

「どうして?」 
「憲兵隊の内部告発があった。金を受け取って特定の貴族の罪をもみ消している人物がいる、とね」

 内部告発により、司法省でも水面下で調べを進めていたそう。そして、その捜査対象の男爵家でお茶会をするということで、護衛の依頼を受けた騎士団も、司法省と協力して情報を共有していたらしい。

「司法省の役人たちは、なかなか決定的な証拠を挙げられなくて困ってたみたいだよ」

 アレックスがそう言った時、迎えの馬車が来た。寒かったからありがたい。
 とにかくエリアスに会いたいし、家族の顔も見たい。早く帰りたい!

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