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5、迷惑をかけたので体で返す
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その日は朝から剣術部隊の隊長クラス以上が集められた。
「先日の魔族討伐のおり民間人の避難が遅れクロフクに負傷者が出た。今後そのような事がないように」
そんな通達だった。詳細の説明はない。
なんでだよ。民間人の避難は剣術部隊の任務だろうが。
説明省きすぎだろ。民間人を庇ってクロフクに怪我人が出たって事じゃねぇのか。
「民間人の避難はうちの管轄だ。決して気を抜くな」
釈然としない思いを抱えながら自分の隊に持ち帰り、通達した。
誰が負傷したのか後で調べようと思っていたのだが。
「誰が怪我したか聞きました? 怪我したのキース隊長ですって」
そんな事を言い出したのはロイだった。キース部隊のミアちゃんとはうまく行っているらしい。
俺達が窃盗団の制圧に出ている際、急遽出動を命じられ他の剣術部隊と魔術討伐に出た先で外傷を負ったが職場には出ているという。
職場に出られる程度で済んだから詳細説明がなかったのかと思ったが━━
「避難が遅れた民間人を庇いながら攻撃魔法使ってたら、横から小型魔獣がうじゃっと出てきてパクッとやられたって」
ミアちゃんからの情報をロイがペラペラ話している。
「どこの剣術部隊よ」
アンナ副隊長は眉間に皺を寄せ、怒りを隠さず唸った。民間人の避難誘導は基本的に剣術部隊の若手の仕事だ。
うじゃっと出てきても小型魔獣なら一気に裁断するとか方法があったんだろうが、民間人が側にいて出来なかった。咄嗟に自身と民間人に防御壁を張ったが一匹だけ内部に侵入を果たしたヤツにヤられたという事だった。
「キース隊長、手首プランプランだったって」
「ひぃぃぃ」
「うぇぇぇ」
ロイのえぐい表現にアンナと二人、ぞっと身を縮こまらせ慄いた。
折れたの? それとも切断しかけ? 痛い痛い痛い。
「利き手じゃないって言うけど大変そうっすよね。気の毒過ぎる」
さらっと軽くえぐい事を言ったロイでさえ眉をひそめた。
魔術は破壊は得意だか作り上げたり修復する事のは時間がかかる。怪我もそうだ。自然治癒よりは早いし綺麗にもなるが、骨折やら大きな傷となるとそれなりに時間がかかる。
「キース隊長、官舎暮らしだから苦労してるんじゃないっすかね」
「あら、官舎なの。ご実家帰らなかったの?」
アンナが首を傾げる。
「養子だから官舎の方が気兼ねが無いらしいっすよ」
「あー」
アンナと二人、なるほどと唸った。
お綺麗で上品だから富裕層の生まれかと思っていたが、魔力持ちで富裕層の養子になったパターンだったか。
「隊長、キース隊長をおうちにご招待したらどうです? 散々お世話になったでしょう?」
「いや、お前が丸投げするからだろ」
アンナの恐ろしい提案に反論するも、じゃあアンナが連れ帰るのかと言えばそれも非現実的な話だ。
「てかあれだけ顔が良けりゃ転がりこめるような女いくらでもいるだろ」
世話をしたいヤツ募って挙手させりゃ腐るほどいるに違いない。
「いたら官舎で苦労したりしませんよ。モテすぎて女性関係では苦労されてるそうですよ」
モテスギテ・女性関係デ・苦労。
は? なんだそれ。モテる奴の悩みは理解出来ねぇな。
と思ったら。
「つきまといとか、女同士のいじめやら殴り合いやら呪術関係やら定期的に勃発するらしいっすよ」
マジかよ。ロイの話はキース隊のミアちゃん情報だ。信憑性が高い。
「あれだけ美形だったらそうなるでしょうねぇ。スタイルもいいし出世頭だし」
アンナの心底からの同意がこえぇ。
とんでもねぇな。
まぁ確かに散々な目に遭わせた自覚も負い目もある。
しゃーねーなぁ。
どうせ言った所で全裸で拘束して来たおっさんの所で療養なんて断られるだろう。
家に来るまではしなくても手伝えることがあればと官舎で待ち伏せした。
帰って来たキース隊長は確かに少し疲れた顔をしていた。俺の顔を見るなりもっとげんなりとした顔になったが。
そんなキース隊長に「よ」と軽く声をかけ同じ調子で提案する。
「怪我したらしいじゃねぇか。しばらくうち来るか?」
唐突過ぎる提案にまた「馬鹿ですか」みたいな顔をされるかと思ったが。
しばらく考え込んだキース隊長は深いため息をついた後こう答えた。
「すみませんがお言葉に甘えさせてください。5日ほどご厄介になります」
意外なその返事と、洗髪や整髪がしにくいのかいつになく少しだけ乱れている髪につい笑いが漏れた。
「おう。来いや」
普段「完璧とはこういう事か」みたいな男の隙を見たような気がして、毛先に手を伸ばして整えてやった。
やっぱコイツ背ぇ高いな。
「先日の魔族討伐のおり民間人の避難が遅れクロフクに負傷者が出た。今後そのような事がないように」
そんな通達だった。詳細の説明はない。
なんでだよ。民間人の避難は剣術部隊の任務だろうが。
説明省きすぎだろ。民間人を庇ってクロフクに怪我人が出たって事じゃねぇのか。
「民間人の避難はうちの管轄だ。決して気を抜くな」
釈然としない思いを抱えながら自分の隊に持ち帰り、通達した。
誰が負傷したのか後で調べようと思っていたのだが。
「誰が怪我したか聞きました? 怪我したのキース隊長ですって」
そんな事を言い出したのはロイだった。キース部隊のミアちゃんとはうまく行っているらしい。
俺達が窃盗団の制圧に出ている際、急遽出動を命じられ他の剣術部隊と魔術討伐に出た先で外傷を負ったが職場には出ているという。
職場に出られる程度で済んだから詳細説明がなかったのかと思ったが━━
「避難が遅れた民間人を庇いながら攻撃魔法使ってたら、横から小型魔獣がうじゃっと出てきてパクッとやられたって」
ミアちゃんからの情報をロイがペラペラ話している。
「どこの剣術部隊よ」
アンナ副隊長は眉間に皺を寄せ、怒りを隠さず唸った。民間人の避難誘導は基本的に剣術部隊の若手の仕事だ。
うじゃっと出てきても小型魔獣なら一気に裁断するとか方法があったんだろうが、民間人が側にいて出来なかった。咄嗟に自身と民間人に防御壁を張ったが一匹だけ内部に侵入を果たしたヤツにヤられたという事だった。
「キース隊長、手首プランプランだったって」
「ひぃぃぃ」
「うぇぇぇ」
ロイのえぐい表現にアンナと二人、ぞっと身を縮こまらせ慄いた。
折れたの? それとも切断しかけ? 痛い痛い痛い。
「利き手じゃないって言うけど大変そうっすよね。気の毒過ぎる」
さらっと軽くえぐい事を言ったロイでさえ眉をひそめた。
魔術は破壊は得意だか作り上げたり修復する事のは時間がかかる。怪我もそうだ。自然治癒よりは早いし綺麗にもなるが、骨折やら大きな傷となるとそれなりに時間がかかる。
「キース隊長、官舎暮らしだから苦労してるんじゃないっすかね」
「あら、官舎なの。ご実家帰らなかったの?」
アンナが首を傾げる。
「養子だから官舎の方が気兼ねが無いらしいっすよ」
「あー」
アンナと二人、なるほどと唸った。
お綺麗で上品だから富裕層の生まれかと思っていたが、魔力持ちで富裕層の養子になったパターンだったか。
「隊長、キース隊長をおうちにご招待したらどうです? 散々お世話になったでしょう?」
「いや、お前が丸投げするからだろ」
アンナの恐ろしい提案に反論するも、じゃあアンナが連れ帰るのかと言えばそれも非現実的な話だ。
「てかあれだけ顔が良けりゃ転がりこめるような女いくらでもいるだろ」
世話をしたいヤツ募って挙手させりゃ腐るほどいるに違いない。
「いたら官舎で苦労したりしませんよ。モテすぎて女性関係では苦労されてるそうですよ」
モテスギテ・女性関係デ・苦労。
は? なんだそれ。モテる奴の悩みは理解出来ねぇな。
と思ったら。
「つきまといとか、女同士のいじめやら殴り合いやら呪術関係やら定期的に勃発するらしいっすよ」
マジかよ。ロイの話はキース隊のミアちゃん情報だ。信憑性が高い。
「あれだけ美形だったらそうなるでしょうねぇ。スタイルもいいし出世頭だし」
アンナの心底からの同意がこえぇ。
とんでもねぇな。
まぁ確かに散々な目に遭わせた自覚も負い目もある。
しゃーねーなぁ。
どうせ言った所で全裸で拘束して来たおっさんの所で療養なんて断られるだろう。
家に来るまではしなくても手伝えることがあればと官舎で待ち伏せした。
帰って来たキース隊長は確かに少し疲れた顔をしていた。俺の顔を見るなりもっとげんなりとした顔になったが。
そんなキース隊長に「よ」と軽く声をかけ同じ調子で提案する。
「怪我したらしいじゃねぇか。しばらくうち来るか?」
唐突過ぎる提案にまた「馬鹿ですか」みたいな顔をされるかと思ったが。
しばらく考え込んだキース隊長は深いため息をついた後こう答えた。
「すみませんがお言葉に甘えさせてください。5日ほどご厄介になります」
意外なその返事と、洗髪や整髪がしにくいのかいつになく少しだけ乱れている髪につい笑いが漏れた。
「おう。来いや」
普段「完璧とはこういう事か」みたいな男の隙を見たような気がして、毛先に手を伸ばして整えてやった。
やっぱコイツ背ぇ高いな。
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