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4、繰り返すといずれ常習と呼ばれる
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「キース隊長にお礼言いました? お世話になったんだからちゃんとお礼言ってくださいよ」
うちは大きな任務の翌日は大抵一斉休暇にしている。終わって時間に余裕があれば飲みに行くし。
よって一日ぶりの訓練を前に副隊長のアンナに言われた。
確かにキース隊長には世話になったし悪行の限りを尽くした。
思えばこっちは35のおっさんだ。あんな美形が挿れてくれるわけがない。軽い出来心で悪い事をした。さぞかし不気味だった事だろう。
「酔っ払いを女性隊員には任せられないからってキース隊長が送ってくださったんですよ。うちの男共は犬のマーキングみたいに木に片足上げてゲラゲラ笑ってたし。絶対呆れられましたよ」
そりゃ確かに恥ずかしいわ。
別にうちの女性隊員でも腕っぷし強いから全然大丈夫なんだけど。ぶっちゃけキース隊長より逞しいくらいだし。
それでもキース隊長は上品な顔に似つかわしく紳士なんだろう。
普段は訓練場も別で会う事も無い。
酔っぱらいの戯言でおっさんの醜態だ。後に引きずる事も無いだろ。
キース隊とうちの隊は優秀だ。よって難しい任務の場合は結構な割合で組む。
前回からまだ十日も経っていないが西の森で大型魔獣の群れが人里に降りて来そうだという情報に、今回もキース隊と出動した。
「激辛鍋は食べに行かないくださいよ」
編隊通達があった後、キース隊長に冷たい態度でしっかり釘を刺されたが、言われなくてもあれはもう行かない。
あまりの刺激物に隊員が早々にギブアップする中、隊長だからと俺だけ完食したのがまずかった。皆して残すのも店に悪いと思って。あれホント大変だったんだ。任務前に食べるもんじゃなかった。
「あれはもう行かねぇよ。せっかくのチャンスあっても無駄にしちまうからな」
「……は? まだ諦めてないんですか」
とっくに諦めてるけどちょっと言ってみたかっただけだ。あれもこれも出来心だったんだよ。そんなひかなくてもいいじゃねぇか。
両部隊の隊員は先日の飲み会でずいぶん距離が近くなったらしい。かつてない見事な連携を見せ、想定されていた時間よりも効率よく魔獣の群れを森の奥へ追い払う事が出来た。
そしてまた合同飲み会が開催された。
今回はキース隊の面々から「また飲みに行きませんか?」とお誘いがあった。クロフクも可愛いじゃねぇか。
◇◆◇
前回感じられたぎこちなさも今夜は消え失せ、両隊入り乱れて飲食を楽しんでいる。
今回も同じ店で、庶民的な味がお気に召したのかと思えば、魔力を理由に富裕層に引き取られたクロフクも家族は庶民のままというケースが多くあまりこだわりはないのだという。
クロフクのミアちゃん狙いのうちのロイもしっかり隣を確保できている。二人とも20歳くらいのはず。いいねぇ、青春だねぇ。
「お疲れキース隊長! べランド副隊長! べランド副隊長、やっぱ炎に強い人がいると違います! 助かりました!」
隅にてベテランの風格が漂うキース隊べランド副隊長とひっそり飲んでいるキース隊長に絡みに行く。
飲んで騒ぐタイプではないのは明白で、皆も絡みづらいようだ。本人もこういう飲み会は好みではなさそうだが欠席するわけにもいかず付き合いで参加するんだろうな。
いいリーダーだ。
「いやー、キース隊とはやりやすいっすわ」
魔術部隊と剣術部隊はお互いの補助という役割もある。
「毎回ラズル隊の統制には驚かされますよ。一見バラバラにしか見えないのに」
べランド副隊長がクロフクらしい上品さで柔らかく笑む。40過ぎくらいか。肉体勝負でせいぜい四十半ばで引退する剣術部隊と違い、クロフクは壮年になっても続ける隊員が多い。
「うちはなんだかんだ仲がいいから。キース隊もみんな自己判断能力が高いっすよね。すげぇ頼もしいですよ」
今は任務も仕事も離れたプライベートな時間で、こうなると目上には自然となんちゃって敬語になる。
「スタンドプレーに走りがちな部分に悩まされる時もありますよ」
べランド副隊長は謙遜するタイプか。
「欲しいと思ったタイミングでかましてくれるのとか、めっちゃ気持ちいいっすよ。上が抑えつけてないんでしょ? 隊員はやりやすいだろうなぁ」
その分キース隊長やベランド副隊長は大変にもなるだろうが。
淡々と杯を煽るキース隊長に合わせて飲みながらひたすらしゃべった。飲みの席では基本的にずっと俺は話している。いつもの事だ。
いや、キース隊の隊員達の話が新鮮でいつも以上に盛り上がった気がする。
そして翌朝、またうんざり顔のキース隊長に朝食を振るまった。
またお持ち帰りしていた。
あんな冷たい目をしているのに人がよすぎるだろ。そしてうちの副隊長は厚かましすぎないか。
今回は抱けとか言わなかったし、服も着ていたから勘弁して欲しい。
うちは大きな任務の翌日は大抵一斉休暇にしている。終わって時間に余裕があれば飲みに行くし。
よって一日ぶりの訓練を前に副隊長のアンナに言われた。
確かにキース隊長には世話になったし悪行の限りを尽くした。
思えばこっちは35のおっさんだ。あんな美形が挿れてくれるわけがない。軽い出来心で悪い事をした。さぞかし不気味だった事だろう。
「酔っ払いを女性隊員には任せられないからってキース隊長が送ってくださったんですよ。うちの男共は犬のマーキングみたいに木に片足上げてゲラゲラ笑ってたし。絶対呆れられましたよ」
そりゃ確かに恥ずかしいわ。
別にうちの女性隊員でも腕っぷし強いから全然大丈夫なんだけど。ぶっちゃけキース隊長より逞しいくらいだし。
それでもキース隊長は上品な顔に似つかわしく紳士なんだろう。
普段は訓練場も別で会う事も無い。
酔っぱらいの戯言でおっさんの醜態だ。後に引きずる事も無いだろ。
キース隊とうちの隊は優秀だ。よって難しい任務の場合は結構な割合で組む。
前回からまだ十日も経っていないが西の森で大型魔獣の群れが人里に降りて来そうだという情報に、今回もキース隊と出動した。
「激辛鍋は食べに行かないくださいよ」
編隊通達があった後、キース隊長に冷たい態度でしっかり釘を刺されたが、言われなくてもあれはもう行かない。
あまりの刺激物に隊員が早々にギブアップする中、隊長だからと俺だけ完食したのがまずかった。皆して残すのも店に悪いと思って。あれホント大変だったんだ。任務前に食べるもんじゃなかった。
「あれはもう行かねぇよ。せっかくのチャンスあっても無駄にしちまうからな」
「……は? まだ諦めてないんですか」
とっくに諦めてるけどちょっと言ってみたかっただけだ。あれもこれも出来心だったんだよ。そんなひかなくてもいいじゃねぇか。
両部隊の隊員は先日の飲み会でずいぶん距離が近くなったらしい。かつてない見事な連携を見せ、想定されていた時間よりも効率よく魔獣の群れを森の奥へ追い払う事が出来た。
そしてまた合同飲み会が開催された。
今回はキース隊の面々から「また飲みに行きませんか?」とお誘いがあった。クロフクも可愛いじゃねぇか。
◇◆◇
前回感じられたぎこちなさも今夜は消え失せ、両隊入り乱れて飲食を楽しんでいる。
今回も同じ店で、庶民的な味がお気に召したのかと思えば、魔力を理由に富裕層に引き取られたクロフクも家族は庶民のままというケースが多くあまりこだわりはないのだという。
クロフクのミアちゃん狙いのうちのロイもしっかり隣を確保できている。二人とも20歳くらいのはず。いいねぇ、青春だねぇ。
「お疲れキース隊長! べランド副隊長! べランド副隊長、やっぱ炎に強い人がいると違います! 助かりました!」
隅にてベテランの風格が漂うキース隊べランド副隊長とひっそり飲んでいるキース隊長に絡みに行く。
飲んで騒ぐタイプではないのは明白で、皆も絡みづらいようだ。本人もこういう飲み会は好みではなさそうだが欠席するわけにもいかず付き合いで参加するんだろうな。
いいリーダーだ。
「いやー、キース隊とはやりやすいっすわ」
魔術部隊と剣術部隊はお互いの補助という役割もある。
「毎回ラズル隊の統制には驚かされますよ。一見バラバラにしか見えないのに」
べランド副隊長がクロフクらしい上品さで柔らかく笑む。40過ぎくらいか。肉体勝負でせいぜい四十半ばで引退する剣術部隊と違い、クロフクは壮年になっても続ける隊員が多い。
「うちはなんだかんだ仲がいいから。キース隊もみんな自己判断能力が高いっすよね。すげぇ頼もしいですよ」
今は任務も仕事も離れたプライベートな時間で、こうなると目上には自然となんちゃって敬語になる。
「スタンドプレーに走りがちな部分に悩まされる時もありますよ」
べランド副隊長は謙遜するタイプか。
「欲しいと思ったタイミングでかましてくれるのとか、めっちゃ気持ちいいっすよ。上が抑えつけてないんでしょ? 隊員はやりやすいだろうなぁ」
その分キース隊長やベランド副隊長は大変にもなるだろうが。
淡々と杯を煽るキース隊長に合わせて飲みながらひたすらしゃべった。飲みの席では基本的にずっと俺は話している。いつもの事だ。
いや、キース隊の隊員達の話が新鮮でいつも以上に盛り上がった気がする。
そして翌朝、またうんざり顔のキース隊長に朝食を振るまった。
またお持ち帰りしていた。
あんな冷たい目をしているのに人がよすぎるだろ。そしてうちの副隊長は厚かましすぎないか。
今回は抱けとか言わなかったし、服も着ていたから勘弁して欲しい。
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