ヒロインの息子×悪役令嬢の息子(転生者)

ー結月ー

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誰も信じない

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『アルフレート視点』

背中が疼く、ずっとずっと疼いて仕方ない。

僕は一人ぼっちになってしまった……約束したのに…

小指の約束は切れてしまったのかな、なんでなんで…

なんで、約束破ったの?

両親が部屋に閉じ籠っている僕を心配していたが、食べ物も喉を通らなかった。
ずっと自問自答していた、僕の事…嫌いになったのかな。
やっぱり醜い?…僕、醜い?

「お友達が遊びに来てくれたわ」

「……」

「アルフレート……」

母の悲しい声が聞こえて、部屋から出ると嬉しそうな顔を見せていた。
母の隣には、数回会話をしただけの学校のクラスメイトが立っていた。

それに向かって微笑んだ、上辺だけのつまらない笑みだ。

背中が熱い、引きちぎったのにまだあの忌々しい悪魔の羽根が生えているようだ。
どう泣き叫んでも足掻いても、僕は醜いままなんだ。

やっと出会えたと思ったのに、結局は同じなんだ。

だったらもういい、誰にも期待しないし頼らない。
醜く生きてやる、それを望んでいるなら…

背中がより熱くなり、苦しく息が出来なくなってうずくまる。
母と名も知らないクラスメイトが心配そうにしていた。

その瞬間、視界いっぱいになにかが散るのが見えた。

白と黒の、それは忌まわしい羽根だった。
二人の驚く顔とは裏腹に、冷静な自分がいた。

「心配かけてごめんなさい、でももう大丈夫だから」

羽根に触れると、すっと消えてコントロールが出来るようになっていた。
自分のものだという証だ、これが僕の姿…

明日からまた真面目に学校に行かないとな。
守護精霊に興味が無いけど、どんどん周りに守護精霊の後継者とかが集まってきている。

その中心に俺を入れると両親は張り切っている、中心なんて一番嫌だ。
守護精霊になるのは百歩譲ってなったとしても、誰かの後ろの立ち位置でいい。

それを言っても「名誉な事だから」と言っていて、全然話を聞いてくれない。
この羽根を見てよく特別だなんて言えるな、理解出来ない。

守護精霊になる事を決めたのは、誰かを助けたいとか…そんな正義感は一ミリも持ち合わせていない。
危険な事をすれば、誰かがきっと俺を殺してくれる…そう思ったからだ。

こんな命、いらない…望まない生き方をしても苦しいだけだ。

弱くて臆病だった僕と、危険な思考があった俺がずっと頭の中でぐちゃぐちゃになっていた。
これも二つの羽根の影響なのかは分からない。

弱い僕とは今日で終わりにしよう、誰も信じず…誰とももう約束なんてしない。

騙されるなら、元々信じなければ期待もしない。

触れ合った小指が熱くて、本当に切れてしまいそうだ。






ーーーーー

十八歳になると、俺の他に四人守護精霊の力に目覚めた者がいて会わされた。
俺のように元守護精霊の力を持っていた父の息子が一人居た。

俺に親近感を抱いたのか、手を差し出してきたから無視した。
誰とも関わる気なんてない、俺は空気だと思ってくれ。

そう思って来るなオーラを出していたが、それを全く気にしていないのか空気が読めないのか無理矢理手を握ってきた。

「俺の名前はレオナード・ガルディ!よろしく!アルフレート!」

金髪で外はねしている短髪に頭の上にアホ毛がある。
馴れ馴れしくてアホそうだから、アホ毛がよく似合っている。

初対面で呼び捨てとか…凄く面倒くさい。

腕を振っていて、痛いなと思って男から離れた。
絶対に今後関わりたくない。

なんか他の守護精霊達が挨拶していたが、全く聞いていなかった。
もう終わったかな、と思った時に両親は守護精霊の役割の話をしていた。

経験者である両親が司令官のように、俺達を束ねるみたいだ。
だったらもう中心は両親でよくないか?

「私達の時代はゲルダ一族という、国を支配しようとしていた人達がいたの」

「俺達守護精霊達や聖女が戦って国から追放した、だからゲルダ一族の事は心配しないでくれ」

何度も話を昔から聞かされていたから知っている。
聖女伝説という本で両親の話も書いてあったから、他の守護精霊達も知ってるだろう。

昔、両親や守護精霊達の前にゲルダ一族という悪の一族がいた。
ゲルダ一族はこの国を手に入れようとして、人を傀儡にして洗脳する計画を立てていた。

守護精霊の力ではない、変な黒魔術と呼んでいた術式を使い人間を洗脳して国王暗殺を計画した。
守護精霊の力があるなら、悪魔の力もあるだろう。

でも、国を守る守護精霊や聖女によって暗殺は失敗して国から追放された。
殺せば二度と国王暗殺を計画する奴がいなくなると思うのに、両親は甘い事を考えていた。

追放したゲルダ一族の悪魔の力を聖女によって封印された。
具体的に何をしたかというものではないが、聖女の祈りをゲルダ一族に聞かせて改心したというものだ。

なんだそれとは思うが、実際に足掻きでゲルダ一族の令嬢だった女が変な術式を唱えていたが、今まで使っていた術が使えなくなっていた。

それで、ゲルダ一族はもう追放という罰を受けて大丈夫だと言っている。
確かにゲルダ一族は大丈夫なのかもしれない、でも考えないのだろう。

俺と同じように両親から受け継いだ力を持つ子供が生まれるかもしれないという事を…

その子供が悪さをしないと何故言える、祈りで力が使えなくなったから改心したと何故言える?

両親はゲルダ一族みたいな戦いは起きないが国を守るために…とか長々と話している。

恨みを買って、ゲルダ一族の子供が復讐にくるんじゃないかと思っていても何も言わなかった。

今の状態で言っても子供を産んだかなんて俺には分からない。
変な事言って注目浴びて、混乱させたくない。
それに、俺が気付いたんだ…誰かが気付くだろ。

俺は傍観者でいい…

「なんかやる気が出てきた!一緒にこの世界を守ろう!」

「………」

アホ毛がぴょこぴょこ動かしながら横で騒いでいる。
アホ毛を掴むと変な声を出していた。

毛に神経が通っているわけでもないのに、なんだコイツ。
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