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三原歩夢の物語
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『歩夢視点』
僕は生まれた時から皆に愛されるお姫様なんだ。
両親も兄も僕を可愛がってくれて、友達も多い。
男なのにお姫様なんてと思う人もいるが、僕は全く気にしない。
だって僕はこんなに愛されているんだから!!
だからいつしか女の子より僕が可愛いって気付いて、僕の恋愛対象は僕をお姫様にしてくれる王子様になった。
かっこいい容姿の男の子なら惚れやすいんだ。
僕は愛されるべきだから、皆も分かってくれるよね。
お兄ちゃんもかっこよくて、僕の事を溺愛しているし僕は兄弟でも一時は一歳違いのお兄ちゃんに恋をしていた時があった。
でもある日、僕はお兄ちゃんと一緒にお風呂に入った時…身体を密着させたり必要以上に喘いでみたりアピールした事があった。
気持ちいい事は好きだから兄弟とかそんな事はどうでもよくて、お兄ちゃんを誘惑した。
そしてお兄ちゃんから発せられた言葉は「歩夢は甘えん坊だなぁ、よし!兄ちゃんが背中洗ってやる!」だった。
背中なんて頼んでないのに、お兄ちゃんははりきっていた。
そこで僕に恋愛感情がないんだと分かった、小学6年生にして初恋は玉砕した。
お兄ちゃんだって可愛い僕の前だとオオカミさんになると思ってたのに、お兄ちゃんのヘタレ。
お兄ちゃんは僕にべったりで勘違いされる行動ばかり取っていて、内心イライラしながらも僕を一番お姫様扱いしてくれるから表向きは仲良し兄弟を演じていた。
そんな僕は中学二年生の頃、お兄ちゃん以外で好きな人が出来た。
サッカー部のエースで女の子に大人気の結城くん。
爽やかなスポーツマンの彼に、僕のトキメキは止まらなかった。
可愛い女の子に告白されても誰とも付き合わない彼に興味を惹かれた。
僕の理想の王子様は彼なんだ。
僕の頭の中にはオリジナルの物語がある。
僕がお姫様なのは当たり前、後は王子様や騎士が必要だ。
お兄ちゃんは僕の騎士になった気らしいが、恋愛対象にならないお兄ちゃんは僕の馬で十分だろう。
その物語ではかっこいい王子様と騎士は僕を奪い合って争うんだけど、僕は二人が好きだから二人と結ばれるんだ。
王子様は必ずお姫様に恋をする、それは物語の絶対だ。
女の子が結城くんに近付くと周りはいい顔をしないが、僕は男の子だから結城くんに近付いても嫉妬されないし不思議ではない。
そこだけは男で良かったと思っている。
見事に結城くんを校舎裏に呼び出す事に成功した。
同じクラスだからとても簡単だった。
「…珍しいな、俺…お前と話した事あったっけ」
「う、ん…あのね」
僕はもじもじと手を合わせて、ウブな感じで恥じらい上目遣いで見つめる。
結城くんはやっぱりかっこいい、惚れ惚れしちゃうな。
クールな顔がまたいい、あっちの方はやっぱり激しいのかな。
僕はまだ誰にも捧げてはいないが、いつかのために弄った事がある。
すっかり後ろの虜になった僕は、自慰は後ろでしかやらなくなっちゃった。
本物をガツガツ突っ込みたい、結城くんって体育の着替えの時いい身体だったからきっとアッチも…
「それで、話って?」
「あっ、えっと…僕とお付き合いしてもらえませんか?」
エッチな妄想に夢中で、ウブな感じを忘れかけていて慌てて気を引き締める。
結城くんはノーマルだろうけど、僕の可愛さの前では関係ないんだ!
驚いて固まる結城くんは「どっかに行きたいとか、そういうんじゃないよな?」と聞いてきた。
罰ゲームでもボケでもないよ、結城くんの大きいのがほしい…僕を愛して王子様!
少し考えていたが、僕の方を見た。
「…分かった」
「えっ…」
「お前と付き合う」
どんな可愛い女の子の告白も断っていたのに、僕の告白を受けてくれた。
やっぱり僕の魅力は皆を魅了するんだね!
こうして僕はこの日初めての彼氏が出来た。
今なら鬱陶しかったお兄ちゃんにも優しく出来る気がする。
昔僕を虐められていたからお兄ちゃんは僕に対して過保護なほど心配らしい。
僕の目が変だから、でも僕に夢中な結城くんなら何でも僕の事を受け入れてくれるよね。
ただお兄ちゃんに彼氏が出来たなんて知られてはいけない、絶対反対するんだもん…僕に恋愛感情がないくせに…
いつか結城くんに僕の全てを見てほしい、僕の身体の隅々を…
結城くんは部活で、部活に入っていない僕と帰る時間が合わなくて…休日も結城くんは部活だ。
サッカーをしている結城くんはキラキラしているし、僕の彼氏だって優越感は楽しい。
結城くんに声援を向けている女の子達に自慢したい気持ちを我慢する。
結城くんと居られるのは休み時間の僅かな時間だけだ。
なんかもっとくっついていたいのにな、と思って…僕は決意した。
結城くんを家に呼ぼう!そして僕達は…
妄想でにやけていて、周りに変な顔をされてしまった。
短い休み時間の時、人気のない階段に座りながら僕は勇気を出して結城くんに言ってみた。
「結城くん、僕の家に来ない?」
「…三原の家に?」
「うん、誰も…いないんだ」
恥じらいながら、チラチラと結城くんを見ると少し考えていた。
誰もいない家に呼ぶという事の意味は、いくら鈍感な人でも分かるだろう。
結城くんが頷き、今度の休日は部活がないらしく家デートの約束をした。
そして、結城くんとの約束の日…僕はとんでもない事に顔を青くさせた。
両親は共働きだし、お兄ちゃんも友達と用事があると言っていたのに…
「歩夢、何してるんだ?」
「…な、何でもないよ」
なんでお兄ちゃんが家にいるの!?友達はどうしたの!?
お兄ちゃんに聞いてみると、友達に急に用事が出来たみたいで今日は家でのんびりするつもりらしい。
どうしよう、お兄ちゃんがいたら邪魔でしかない。
僕が座っているソファーの横に座ってニコニコしているお兄ちゃんから距離を取る。
お兄ちゃんにとりあえず結城くんという友達が遊びに来る事だけを伝えた。
いきなり知らない人が訪ねてきたらさらに面倒そうだから…
お兄ちゃんは僕に友達がいる事を喜んでいたが、内心では心配オーラが凄かった。
僕の事はほっといてよ、お兄ちゃんはもう僕の物語の脇役程度にしかならないんだから!
お兄ちゃんが僕の大好きなイチゴで構ってきているから、とりあえずイチゴを食べていたら家のチャイムが聞こえた。
僕の王子様がお迎えにきたんだ!お兄ちゃんを押し退けて玄関に急いで向かった。
ドアを開けると、休日デートをした事がないから初めての結城くんの私服姿にドキドキした。
「い、いらっしゃい…結城くん」
「あぁ…三原…誰もいないんじゃないのか?」
結城くんは玄関を眺めながらそう言った。
お兄ちゃんの靴を見つけたからだろう、僕は「お兄ちゃんいるみたいだけど、空気だと思っていいからね!」と結城くんを引っ張って部屋に入れる。
お兄ちゃんは邪魔はするつもりがないのか、リビングから出てこなくて良かった。
でも、部屋の外で聞いているかもしれないから声は押さえとかないと…
僕の部屋に入り、結城くんは部屋中に溢れているぬいぐるみに驚いていた。
可愛いものが好きになったきっかけが母からもらったぬいぐるみで、今も自分のお小遣いや家族からのプレゼントで買ったぬいぐるみで溢れている。
似合っているからいいんだ、僕はお姫様だから…
ベッドで並んで座って、ドキドキと緊張する。
ちゃんと勉強したから大丈夫、僕は結城くんに全部捧げよう。
結城くんが僕の方を見て、すぐにベッドに押し倒された。
心臓の音が激しく高鳴り、瞳を閉じた。
「…三原」
「結城くん」
「………今日はやめよう」
「えっ!?」
いきなり結城くんがそんな事を言い、僕は目を開けるともう結城くんは覆い被さっていなかった。
やっぱり家の中に誰かがいると集中出来なかったのかな。
その日結局、気まずい空気のまま結城くんは帰ってしまった。
リビングに戻るとテレビを見ながらソファーでくつろいでいたお兄ちゃんがいた。
「もう友達帰ったのか?」と呑気に言うお兄ちゃんに腹が立ち、ソファーに置いていたクッションを投げつけた。
ビックリしても僕には絶対に怒らないお兄ちゃんは戸惑いながら僕を見ていたが、無視して部屋に戻った。
それから僕と結城くんは変わらず休み時間にしか会えない日々を送っていた。
誘おうとしても結城くんは部活だからと断られる。
出来ないと分かると余計にしたくなってくる!
そうだ、僕はお姫様なんだから一人を選ぶ必要ないんだ!
だって僕は皆のものだもん。
学校でカッコイイ人を見つけては誘惑してきた。
中には男だからと断る人もいた、僕が可愛すぎるからって釣り合わない理由を無理に考えなくていいのに…
まぁ、そんなヘタレに執着する気もないから次の人に行く。
僕は生まれた時から皆に愛されるお姫様なんだ。
両親も兄も僕を可愛がってくれて、友達も多い。
男なのにお姫様なんてと思う人もいるが、僕は全く気にしない。
だって僕はこんなに愛されているんだから!!
だからいつしか女の子より僕が可愛いって気付いて、僕の恋愛対象は僕をお姫様にしてくれる王子様になった。
かっこいい容姿の男の子なら惚れやすいんだ。
僕は愛されるべきだから、皆も分かってくれるよね。
お兄ちゃんもかっこよくて、僕の事を溺愛しているし僕は兄弟でも一時は一歳違いのお兄ちゃんに恋をしていた時があった。
でもある日、僕はお兄ちゃんと一緒にお風呂に入った時…身体を密着させたり必要以上に喘いでみたりアピールした事があった。
気持ちいい事は好きだから兄弟とかそんな事はどうでもよくて、お兄ちゃんを誘惑した。
そしてお兄ちゃんから発せられた言葉は「歩夢は甘えん坊だなぁ、よし!兄ちゃんが背中洗ってやる!」だった。
背中なんて頼んでないのに、お兄ちゃんははりきっていた。
そこで僕に恋愛感情がないんだと分かった、小学6年生にして初恋は玉砕した。
お兄ちゃんだって可愛い僕の前だとオオカミさんになると思ってたのに、お兄ちゃんのヘタレ。
お兄ちゃんは僕にべったりで勘違いされる行動ばかり取っていて、内心イライラしながらも僕を一番お姫様扱いしてくれるから表向きは仲良し兄弟を演じていた。
そんな僕は中学二年生の頃、お兄ちゃん以外で好きな人が出来た。
サッカー部のエースで女の子に大人気の結城くん。
爽やかなスポーツマンの彼に、僕のトキメキは止まらなかった。
可愛い女の子に告白されても誰とも付き合わない彼に興味を惹かれた。
僕の理想の王子様は彼なんだ。
僕の頭の中にはオリジナルの物語がある。
僕がお姫様なのは当たり前、後は王子様や騎士が必要だ。
お兄ちゃんは僕の騎士になった気らしいが、恋愛対象にならないお兄ちゃんは僕の馬で十分だろう。
その物語ではかっこいい王子様と騎士は僕を奪い合って争うんだけど、僕は二人が好きだから二人と結ばれるんだ。
王子様は必ずお姫様に恋をする、それは物語の絶対だ。
女の子が結城くんに近付くと周りはいい顔をしないが、僕は男の子だから結城くんに近付いても嫉妬されないし不思議ではない。
そこだけは男で良かったと思っている。
見事に結城くんを校舎裏に呼び出す事に成功した。
同じクラスだからとても簡単だった。
「…珍しいな、俺…お前と話した事あったっけ」
「う、ん…あのね」
僕はもじもじと手を合わせて、ウブな感じで恥じらい上目遣いで見つめる。
結城くんはやっぱりかっこいい、惚れ惚れしちゃうな。
クールな顔がまたいい、あっちの方はやっぱり激しいのかな。
僕はまだ誰にも捧げてはいないが、いつかのために弄った事がある。
すっかり後ろの虜になった僕は、自慰は後ろでしかやらなくなっちゃった。
本物をガツガツ突っ込みたい、結城くんって体育の着替えの時いい身体だったからきっとアッチも…
「それで、話って?」
「あっ、えっと…僕とお付き合いしてもらえませんか?」
エッチな妄想に夢中で、ウブな感じを忘れかけていて慌てて気を引き締める。
結城くんはノーマルだろうけど、僕の可愛さの前では関係ないんだ!
驚いて固まる結城くんは「どっかに行きたいとか、そういうんじゃないよな?」と聞いてきた。
罰ゲームでもボケでもないよ、結城くんの大きいのがほしい…僕を愛して王子様!
少し考えていたが、僕の方を見た。
「…分かった」
「えっ…」
「お前と付き合う」
どんな可愛い女の子の告白も断っていたのに、僕の告白を受けてくれた。
やっぱり僕の魅力は皆を魅了するんだね!
こうして僕はこの日初めての彼氏が出来た。
今なら鬱陶しかったお兄ちゃんにも優しく出来る気がする。
昔僕を虐められていたからお兄ちゃんは僕に対して過保護なほど心配らしい。
僕の目が変だから、でも僕に夢中な結城くんなら何でも僕の事を受け入れてくれるよね。
ただお兄ちゃんに彼氏が出来たなんて知られてはいけない、絶対反対するんだもん…僕に恋愛感情がないくせに…
いつか結城くんに僕の全てを見てほしい、僕の身体の隅々を…
結城くんは部活で、部活に入っていない僕と帰る時間が合わなくて…休日も結城くんは部活だ。
サッカーをしている結城くんはキラキラしているし、僕の彼氏だって優越感は楽しい。
結城くんに声援を向けている女の子達に自慢したい気持ちを我慢する。
結城くんと居られるのは休み時間の僅かな時間だけだ。
なんかもっとくっついていたいのにな、と思って…僕は決意した。
結城くんを家に呼ぼう!そして僕達は…
妄想でにやけていて、周りに変な顔をされてしまった。
短い休み時間の時、人気のない階段に座りながら僕は勇気を出して結城くんに言ってみた。
「結城くん、僕の家に来ない?」
「…三原の家に?」
「うん、誰も…いないんだ」
恥じらいながら、チラチラと結城くんを見ると少し考えていた。
誰もいない家に呼ぶという事の意味は、いくら鈍感な人でも分かるだろう。
結城くんが頷き、今度の休日は部活がないらしく家デートの約束をした。
そして、結城くんとの約束の日…僕はとんでもない事に顔を青くさせた。
両親は共働きだし、お兄ちゃんも友達と用事があると言っていたのに…
「歩夢、何してるんだ?」
「…な、何でもないよ」
なんでお兄ちゃんが家にいるの!?友達はどうしたの!?
お兄ちゃんに聞いてみると、友達に急に用事が出来たみたいで今日は家でのんびりするつもりらしい。
どうしよう、お兄ちゃんがいたら邪魔でしかない。
僕が座っているソファーの横に座ってニコニコしているお兄ちゃんから距離を取る。
お兄ちゃんにとりあえず結城くんという友達が遊びに来る事だけを伝えた。
いきなり知らない人が訪ねてきたらさらに面倒そうだから…
お兄ちゃんは僕に友達がいる事を喜んでいたが、内心では心配オーラが凄かった。
僕の事はほっといてよ、お兄ちゃんはもう僕の物語の脇役程度にしかならないんだから!
お兄ちゃんが僕の大好きなイチゴで構ってきているから、とりあえずイチゴを食べていたら家のチャイムが聞こえた。
僕の王子様がお迎えにきたんだ!お兄ちゃんを押し退けて玄関に急いで向かった。
ドアを開けると、休日デートをした事がないから初めての結城くんの私服姿にドキドキした。
「い、いらっしゃい…結城くん」
「あぁ…三原…誰もいないんじゃないのか?」
結城くんは玄関を眺めながらそう言った。
お兄ちゃんの靴を見つけたからだろう、僕は「お兄ちゃんいるみたいだけど、空気だと思っていいからね!」と結城くんを引っ張って部屋に入れる。
お兄ちゃんは邪魔はするつもりがないのか、リビングから出てこなくて良かった。
でも、部屋の外で聞いているかもしれないから声は押さえとかないと…
僕の部屋に入り、結城くんは部屋中に溢れているぬいぐるみに驚いていた。
可愛いものが好きになったきっかけが母からもらったぬいぐるみで、今も自分のお小遣いや家族からのプレゼントで買ったぬいぐるみで溢れている。
似合っているからいいんだ、僕はお姫様だから…
ベッドで並んで座って、ドキドキと緊張する。
ちゃんと勉強したから大丈夫、僕は結城くんに全部捧げよう。
結城くんが僕の方を見て、すぐにベッドに押し倒された。
心臓の音が激しく高鳴り、瞳を閉じた。
「…三原」
「結城くん」
「………今日はやめよう」
「えっ!?」
いきなり結城くんがそんな事を言い、僕は目を開けるともう結城くんは覆い被さっていなかった。
やっぱり家の中に誰かがいると集中出来なかったのかな。
その日結局、気まずい空気のまま結城くんは帰ってしまった。
リビングに戻るとテレビを見ながらソファーでくつろいでいたお兄ちゃんがいた。
「もう友達帰ったのか?」と呑気に言うお兄ちゃんに腹が立ち、ソファーに置いていたクッションを投げつけた。
ビックリしても僕には絶対に怒らないお兄ちゃんは戸惑いながら僕を見ていたが、無視して部屋に戻った。
それから僕と結城くんは変わらず休み時間にしか会えない日々を送っていた。
誘おうとしても結城くんは部活だからと断られる。
出来ないと分かると余計にしたくなってくる!
そうだ、僕はお姫様なんだから一人を選ぶ必要ないんだ!
だって僕は皆のものだもん。
学校でカッコイイ人を見つけては誘惑してきた。
中には男だからと断る人もいた、僕が可愛すぎるからって釣り合わない理由を無理に考えなくていいのに…
まぁ、そんなヘタレに執着する気もないから次の人に行く。
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