俺の弟が一番かわいい

ー結月ー

文字の大きさ
9 / 81

知らない世界

しおりを挟む
使用人が去り、次は学園についての本を読む事にした。

学園は一クラスにいろんな属性の生徒達が在籍する。

魔導帝国では帝王が絶対の存在だが、学園は生徒会が絶対の存在だと書かれている。

炎の力は強く、最も帝王に近い存在だと言われてきた。

代々炎の王位継承者が生徒会長を務めて、生徒の信頼を手にしてきた。

じゃあ歩夢のパトロンも生徒会長だって言うから王位継承者なのか?

俺が戦おうとしている相手は、思ったより大きな存在だった。

それでも怯んだりしない、俺よりも歩夢が辛い思いをしているのが耐えられない。

授業は魔術を使う授業が主で、それ以外は魔導帝国の歴史やらいろいろ科目があるみたいだ。

歩夢は魔術の授業はどうしてるんだろ、人間だから免除されているのか?

危ない授業には参加してほしくないが、どうなのか分からない。

人間を入学させる事がそもそも異例中の異例だから不安が大きくなる。

なにかあればレオンハルトが教えてくれるから大丈夫だよな。

歩夢は学園では有名人みたいだし、まだ大丈夫だと言い聞かせる。

それでも、心配と不安はなくなるわけがなかった。

学園は全寮制で、寮は三つあるそうだ…一つは一般寮と呼ばれる大きな寮でもう一つは生徒会専用の寮だ…歩夢も生徒会長の嫁なら同じ寮なのかもしれない。

そしてもう一つは教員寮…先生達の寮だと書かれている。

学園から出てるバスで魔導帝国まですぐに行けて、魔導帝国で必要なものを揃えるそうだ。

不便はないな、あるとすれば人間と魔導士の違いについてだけかな。

読み物に夢中になっていたから、ふと外を見るとすっかり暗くなっていた。

部屋のドアが叩かれて「どうぞ」と言うと、レオンハルトが部屋に入ってきた。

「ただいま、なにか不便な事はなかったか?」

「大丈夫」

「そう、それは良かった」

「本、ありがとう…だいたい分かった」

レオンハルトに本を渡すと受け取って棚に戻しているのを後ろから眺めた。

何も言わないんだな、本当に俺の気持ちを尊重しているんだろう。

もしこのままずっと覚悟出来なかったらどうするんだろう。

レオンハルトならずっと待っててくれるような気がする。

レオンハルトが振り返り「風呂と夕飯どちらを先にする?」と聞いてきた。

なんか新婚みたいな言い方だな、レオンハルトには他意はなさそうだけど…

先に風呂に入ると伝えると、使用人に着替えを運ばせると言っていた。

部屋を出ようとするレオンハルトに腕を伸ばして服の袖を掴むと驚いて俺の方を見つめた。

…こんな行動をした俺の方が驚いているなんて、なんか変だな。

「…その、レオンハルトは…入らないのか?」

「え…?」







ーーーーー
ーーー


ポチャンと水面に水滴がこぼれ落ちて、しばらく沈黙…

風呂の中ならゆっくり会話出来るかと思ったが、言葉が出てこない。

焦って風呂に誘ってしまったが、食事の後の方が良かっただろうか。

レオンハルトは俺がなにか言いたげなのを悟ってチラチラ見つめてくる。

あまり長湯はのぼせてしまうから、思い切ってレオンハルトの方を見る。

隣に座るレオンハルトは相変わらず羨ましい身体をしている。

「…俺、レオンハルトの事もっと知りたい」

「知りたい?何を?」

「えっと、兄弟の事とか!」

「僕に兄弟はいないよ」

そこで会話が終わってしまった、兄弟が居たら兄弟トークで盛り上がると思ったんだけどな。

落ち込む俺にレオンハルトはクスクスと笑っていた。

そして兄弟はいないが、レオンハルトは自分の事を話してくれた。

レオンハルトの事は使用人から少し聞いたが、そこに居たのはレオンハルト視点の…俺の知らないレオンハルトだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

処理中です...