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第7章 富士山麓の魔王城
第27転 織田信長
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富士山青木ヶ原樹海。
山梨県が富士山の北西に位置する森。国の天然記念物に指定されている。地中に磁鉄鉱を多く含む為に方位磁針が使えないという俗説があるが、事実ではない。その一方で自殺や遭難の名所としても知られている。
◆ ◇ ◆
イゴロウとの戦闘から十五時間後。富士山の麓にて。
俺達は樹海に聳える洋城を遠目で見上げていた。
「ここにあの織田信長がいるのか?」
この城はあの異世界転生軍が持ってきた魔王城の一部分である。
魔王城は複数の浮遊島で構成されている。本島というべき大きな島が一つと、離島というべき小さな島が七つだ。空母一隻と駆逐艦七隻の例えの方がしっくり来るだろうか。魔王城がこちらの世界に来た時は、本島を中央に離島が囲んで空中を浮遊していた。
それぞれの島には城が建ち、目の前にある城もその一つだ。異世界転生軍はこの城を駐屯地の砦として世界各地に降り立っては移動、降り立っては移動を繰り返してきたのだ。
「あんた、ちょっと興奮しすぎじゃない?」
「当たり前だろ。織田信長だぜ、織田信長」
織田信長といえば日本で知らない者はいないとまでされる有名人だ。海外でもサブカルチャーなどを通じて名を売っている。その転生者がここにいると言われたのだから、驚き戸惑い高揚するのは当然だ。
「正確には織田信長じゃなくて第六天魔王波旬だけどネ、モモ」
とネロが訂正を挟む。
こいつは俺の事を「モモ」と呼ぶ。姓の百地と前世の桃太郎のダブルミーニングだ。ちなみに竹の事は「タケ」、カルルの事は「カル」と呼ぶ。俺だけ名字なのは何なんだよ。
「第六天魔王って織田信長の異名だろ? 何か違うのか? そもそも第六天魔王って何なのか詳しく知らないんだが」
「ン~……そうだネ。どこから説明するべきかな。……そもさん。輪廻転生とはそもそも何か?」
「えっ? 何かって……何だ?」
転生は転生ではないのか。何かと言われてもそれ以外の答えなんて出てこない。輪廻が付くと何か変わるのか。考え込むが、今まで大して気にしてこなかった事柄な為に明確な言葉が出てこない。
「仏教ではこう答えるわ。せっぱ。輪廻転生とは魂の旅であると」
見かねた竹が代わりに答えてくれた。
「生命は肉体が死ねば魂が残る。魂は別の生命を新たな器として再び戻ってくる。あらゆる事象、あらゆる存在は全て繋がっていて周期的で、永劫に流転する。それが仏教における輪廻転生の理念よ」
輪廻とは繰り返しを、転生とは生まれ変わりを意味する。仏教において世界とは生と死を繰り返す場あり、この繰り返しから解放される事を目的としている。竹はそう説明した。
「また、仏教は世界を六つに分類しているのですぞ。天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道。これらを併せて六道と称す。人道こそが人間のいる世界――地球なのでつ」
竹の説明にカルルが補足する。
生命は死ねばこの六道のいずれかに生まれ落ちる。そして、そこで生を終えれば、また六道の一つに赴く。それが輪廻転生のサイクルだ。
天道は更に三つに分かたれ、その三つの最下層も更に六つに分かれている。その六つの中で最上層の世界を他化自在天――通称、第六天と呼ぶ。
「この第六天の支配者が第六天魔王波旬。覚者の宿敵、煩悩を司る魔縁よ」
「ほーん、成程。それで、信長と波旬の関係は?」
「その昔、信長が自らをそう名乗ったのよ。自分に箔を付ける為に」
「え? そういう話なの?」
じゃあ織田信長と第六天魔王波旬は別々の存在なのか。関係はなかったが、尾張の戦国武将が魔王にあやかって自称したと。つまりはそういう捉え方でいいのだろうか。
「そういう事。で、神々は地上に転生できないって話は前にしたわよね。あれは基本的にはそうだって話であって、全くの不可能って訳じゃないの。分霊や化身みたいな神のパワーをスケールダウンさせた分身であれば転生させられる事ができるのよ」
山梨県が富士山の北西に位置する森。国の天然記念物に指定されている。地中に磁鉄鉱を多く含む為に方位磁針が使えないという俗説があるが、事実ではない。その一方で自殺や遭難の名所としても知られている。
◆ ◇ ◆
イゴロウとの戦闘から十五時間後。富士山の麓にて。
俺達は樹海に聳える洋城を遠目で見上げていた。
「ここにあの織田信長がいるのか?」
この城はあの異世界転生軍が持ってきた魔王城の一部分である。
魔王城は複数の浮遊島で構成されている。本島というべき大きな島が一つと、離島というべき小さな島が七つだ。空母一隻と駆逐艦七隻の例えの方がしっくり来るだろうか。魔王城がこちらの世界に来た時は、本島を中央に離島が囲んで空中を浮遊していた。
それぞれの島には城が建ち、目の前にある城もその一つだ。異世界転生軍はこの城を駐屯地の砦として世界各地に降り立っては移動、降り立っては移動を繰り返してきたのだ。
「あんた、ちょっと興奮しすぎじゃない?」
「当たり前だろ。織田信長だぜ、織田信長」
織田信長といえば日本で知らない者はいないとまでされる有名人だ。海外でもサブカルチャーなどを通じて名を売っている。その転生者がここにいると言われたのだから、驚き戸惑い高揚するのは当然だ。
「正確には織田信長じゃなくて第六天魔王波旬だけどネ、モモ」
とネロが訂正を挟む。
こいつは俺の事を「モモ」と呼ぶ。姓の百地と前世の桃太郎のダブルミーニングだ。ちなみに竹の事は「タケ」、カルルの事は「カル」と呼ぶ。俺だけ名字なのは何なんだよ。
「第六天魔王って織田信長の異名だろ? 何か違うのか? そもそも第六天魔王って何なのか詳しく知らないんだが」
「ン~……そうだネ。どこから説明するべきかな。……そもさん。輪廻転生とはそもそも何か?」
「えっ? 何かって……何だ?」
転生は転生ではないのか。何かと言われてもそれ以外の答えなんて出てこない。輪廻が付くと何か変わるのか。考え込むが、今まで大して気にしてこなかった事柄な為に明確な言葉が出てこない。
「仏教ではこう答えるわ。せっぱ。輪廻転生とは魂の旅であると」
見かねた竹が代わりに答えてくれた。
「生命は肉体が死ねば魂が残る。魂は別の生命を新たな器として再び戻ってくる。あらゆる事象、あらゆる存在は全て繋がっていて周期的で、永劫に流転する。それが仏教における輪廻転生の理念よ」
輪廻とは繰り返しを、転生とは生まれ変わりを意味する。仏教において世界とは生と死を繰り返す場あり、この繰り返しから解放される事を目的としている。竹はそう説明した。
「また、仏教は世界を六つに分類しているのですぞ。天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道。これらを併せて六道と称す。人道こそが人間のいる世界――地球なのでつ」
竹の説明にカルルが補足する。
生命は死ねばこの六道のいずれかに生まれ落ちる。そして、そこで生を終えれば、また六道の一つに赴く。それが輪廻転生のサイクルだ。
天道は更に三つに分かたれ、その三つの最下層も更に六つに分かれている。その六つの中で最上層の世界を他化自在天――通称、第六天と呼ぶ。
「この第六天の支配者が第六天魔王波旬。覚者の宿敵、煩悩を司る魔縁よ」
「ほーん、成程。それで、信長と波旬の関係は?」
「その昔、信長が自らをそう名乗ったのよ。自分に箔を付ける為に」
「え? そういう話なの?」
じゃあ織田信長と第六天魔王波旬は別々の存在なのか。関係はなかったが、尾張の戦国武将が魔王にあやかって自称したと。つまりはそういう捉え方でいいのだろうか。
「そういう事。で、神々は地上に転生できないって話は前にしたわよね。あれは基本的にはそうだって話であって、全くの不可能って訳じゃないの。分霊や化身みたいな神のパワーをスケールダウンさせた分身であれば転生させられる事ができるのよ」
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途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
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