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急須酌子

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(1938,-s.s.van dine [Gracia])

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★ヴァン・ダイン 氏
◎グレイシー・アレン殺人事件
※被害者はグレイシー・アレンではありません。当時グレイシー・アレンと言う実在コメディアンをモデルにして書かれたため他の作品と題名が違ってます。ヴァンスも登場しますがどちらかと言えば「シリーズ番外編」みたいな感じです。全20章。
○The Gracie Allen muder case
○ファイロ・ヴァンス-シリーズ-11
※一応シリーズですがダイン氏はあまり気に入ってなかったようです。
(• ▽ •;)確かに占いとか恋愛要素が入ってる辺りがダイン氏の趣味じゃない気がする……
○1939年
○端占 美也(はじめ みつや) 先生-訳
○amazon kindle※ヴァン・ダイン氏は12本の長編がありますが、後半6編は希少で見つからなかったため電子書籍。


{◎小説ではありません。テキストコピペ※ここに記すのは個人の感想です。気になった作品は、ご検索頂いて作者様、出版社様へ“♡”点灯下さいな}


◎かつてマーカム検事が起訴したギャング通称「ハゲタカ」が脱獄。マーカムへの報復を恐れ警察が脱獄囚を追う中、ドムダニエルカフェの歌手ディクシー嬢との接点が浮上。ヴァンスはカフェへ客として潜入し、ハゲタカの行方を追うが密室で殺人事件が発生する。見つかったコック見習いの死体に何故か動揺するオーナー。ヴァンスたちが捜査する中、香水工場の従業員“迷探偵”グレイシー・アレン嬢も加わって…!?


《裏も横もほかに出入口なんてない。通りに面して入口がひとつあるだけの、こじんまりとした個人事務所だ。マーシェがひとりで仕切っているんですよ~第1章~》

《きっと殺されて当然の極悪人だったのね。あなたがなさったことは正しかったのよ。昔の小説のヒーローみたいね。警察とか法律とかにまかせておけなくて、自分が前面に出て、えいやっと片づけちゃうの~第3章~》

《あたしはいつも名は体を表すってそのとおりだと思ってるの。数占いみたいなものよ。名前のなかに、ある文字をある数だけ持っていたとするでしょ。他の人はそうじゃないでしょ? そこにはきっと何か意味があるの。それがデルファのお告げ。5文字だとわくわくするの。だけど6文字だとツキがなくてね。あたしは6文字アレルギーなんですって~第3章~》
アレン→Allen
バーンズ→Burns
ヴァンス→Vance
ヒース→Heath
ハゲタカ→Buzzard、7文字は不吉。それは運命を支配する神秘の数よ…

《か弱く見える幼子と乳飲み子の口を通して強い敵を沈める…旧約聖書詩篇》

《「僕も歳をとって少しばかり感傷的になったみたいだよ。人間って年月とともに成熟していくんだ。フランスの葡萄と一緒だね」そう言ってゆっくりとブランデーグラスを傾けた~第10章~》


◇◇◇
ファイロ・ヴァンス…素人探偵
マーカム …地方検事
ヒース…殺人課の部長刑事

グレイシー・アレン嬢…香水工場の従業員
バーンズ氏…香水の調合師
マーシェ氏…ドムダニエル・カフェのオーナー
ディクシー嬢…ドムダニエル・カフェの歌手
ドールソン氏…イノセント社の社長
パトル氏…香水の営業員
アレン夫人…グレイシーの母
フィリップ…グレイシーの兄

オーエン(フクロウ)…大規模な犯罪組織のリーダー
ペリンツィ氏(ハゲタカ)…ギャング
デルファ(ローザ嬢)…占い師
トファーネ氏…ローザの夫
◇◇◇


◆01-“ハゲタカ”の脱走[05月17日(金)20:00]
特に厄介な事件も最近は起こらず、景色の良いレストランで夕食後のリキュールをたしなむヴァンスたちとマーカム元に、急いだ様子でヒース部長がやって来る。ニューヨーク西部の刑務所から、かつてマーカムが起訴したベニーこと通称ハゲタカが脱獄した知らせだった。ヒースがことさら彼の脱獄にこだわるのは裁判の際、マーカムへ復讐してやると暴れていた曰く付き犯罪者だったからだ。マーカムは犯罪者の罵倒を真に受けるほど暇ではないとヒースの話を受け流そうとするが、ヴァンスは極悪犯罪者を丁重に扱い養う刑務所に再び連れ戻す手伝いぐらい時間も労力も無駄になりはしないと説得し、ヒースに協力する事に。ハゲタカはマーシェが経営するドムダニエルカフェに出入りするであろうと推察され、現在ヒースの部下が監視していると言う。


◆02-田園風景で[05月18日(土)pm]
翌日の午後、ヴァンスたちは郊外の田園風景が広がる土地へドライブをする。(マーカムは仕事が立て込み一緒に来れなかった)道路の脇に車を止めて、境界の壁を乗り越え敷地内の森を散策する。夕方になって帰ろうとした時、目の前に大型トラックが通り過ぎて行った。ヴァンスが壁を乗り越えると向こう側に一人の女性がいて、彼女を避けて飛び降りて薄手コートが破れてしまう。女性が何か怒っていたので理由を聞くと、今通り過ぎたトラック運転手が投げ捨てた煙草がワンピースに当たったせいで服に穴が開いてしまったのだった。ヴァンスは自分もコートが破れたので自分のひいきにしている洋服店で彼女もドレスを選ぶよう申し出る。感激した女性は「グレイシー・アレン」と名乗る。ヴァンスは彼女の身に着けてる香水を褒めると自分の知らない香りだったため銘柄を尋ねる。試作品の香水で彼女の香水工房のバーンズ氏がこのシトロン(柑橘系、レモンの香り)を考案したと言う。今日は同じ工房の営業員パトル氏とドライブに来たが目的地の美しい景観の女子修道院を探すと行ってまだ戻らないのだった。


◆03-ひとつの冒険物語[05月18日(土)18:30]
アレン嬢はヴァンスたちがここで何をしていたか尋ねると、ヴァンスは昨日のマーカムとの会話にあやかってある冒険をして来たのだと、おどけた感じで話し出す。アレンは詳しく聞きたいとせがむので「友人の命を救うためにある人物を殺したのさ」と言うとアレンも楽しそうにその話を聞いて、きっと制裁を与えるに値する極悪人だったのね、と言ってヴァンスの話に同意する。作り話をあっさり信じてしまう彼女にヴァンスもちょっと驚くが面白い子だと思うのだった。やがて方向を間違えたパトル氏がアレンの元へ戻って来るとヴァンスたちも帰路に着く。ヴァンスはパトル氏とのドライブでさえアレンの身につけた香水がバーンズ氏の試作品であった事にアレン嬢が調合師のバーンズに想いを寄せているのだと気づくのだった。


◆04-ドムダニエル・カフェで[05月18日(土)20:00]
ヴァンスたちは脱走したハゲタカが立ち寄るであろう例のカフェへやって来る。建物は古く趣のあるお洒落な外観だが、ホール入り口に近い窓には格子が入っていて怪しげな取引をするにはうってつけの場所と思われる。客として表から堂々入ると、オーナーのマーシェ氏に最高クラスの部屋で接待される。広い階段を上った部屋は階下のカフェ全体が見渡せて偵察にうってつけの場所だった。ふと客の中でヴァンスは昼間見かけたアレン嬢とパトル氏の姿を見つける。少し離れた席では調合師のバーンズ氏と思われる男性が2人を悔しそうに眺めている。意を決してバーンズが2人に声をかけたようだがバーンズは結局引き下がる羽目になり、アレン嬢はやきもちを焼くバーンズを嬉しそうに眺めていた。そのやり取りをヴァンスは「意中の相手にわざと気のない男性との仲を見せつける…女性というのは残酷で怖いね」と眺めているのだった。

別の席では有名な女性歌手のディクシー嬢とオーナーのマーシェが何やらヒソヒソと話し合っていた。その様子を面白そうに眺めていたヴァンスは「これはひょっとしたら…」と何か思い当たる。


◆05-思いがけず再会[05月18日(土)21:30]
パトル氏と話をしてたアレン嬢だがしばらくして急に席を立って真っ直ぐヴァンスたちの席へ歩いて来た。アレンは「犯罪を犯したのにこんなに賑やかなところへ現れてもいいの?」と嬉しそうにヴァンスに話しかける。彼女はパトル氏にこのカフェに連れて来てもらった。彼女の兄フィリップはこのカフェで皿洗いとして働いており、もし今夜賃上げ交渉が決裂したらこの仕事を辞めてしまうと言っていたので兄を説得しに来たのだった。夜10時に階段裏の従業員用ドアの前で待ち合わせており、丁度10時5分前だとヴァンスに教えられるとアレンは階段裏の方へ歩いて行った。その後をアレンを心配したのか、それとも2人きりで話す機会が欲しいのか、バーンズも後を追う。しばらくしてアレンは戻るが浮かない顔で兄の説得は失敗したようだった。

ヴァンスたちは、目立たぬようにカフェへやって来た1人の客に目をつける。以前新聞で見た暗黒街のボスと言われた「フクロウ」ことオーエン氏らしい。ヴァンスは同席して来たオーナーのマーシェにその話題を振るがマーシェは他人の空似でしょうと言って、わざとその話を避けてるようだった。ディクシー嬢の歌を聞いていくよう勧めるマーシェだったが、その夜ヴァンスは適当な用事があると言ってそのまま帰路へ着いてしまったのだった。
そして行く行くは、あの明るく無邪気なアレン嬢と犯罪組織黒幕リーダーのフクロウの運命が交差することになるとは、ヴァンスたちは思いもしないのだった……。


◆06-ある男の死[05月18日(土)23:00]
カフェを出たヴァンスは、その足でマーカムの自宅へ向かう。邸に着くと丁度ヒースも居合わせそれぞれの今日の報せを話す。昼間、高速道路で警官が職務質問した車から突然発泡される事件があり、同乗者はどうやらハゲタカだったらしい。そんな話を聞かされてもマーカムはハゲタカがニューヨークに来る事はないだろうと気にも止めない。一方ヴァンスは、昼間会ったアレン嬢とカフェで再会したのはただの偶然ではないと推察する。アレンの話題に出てきた占い師デルファ嬢は、裏社会ではかなり幅を利かせており、夫トファーネ氏と良からぬ事をしていると言う噂があった。ヴァンスはアレン嬢とデルファがなぜ知り合いなのか気になる……マーシェのカフェでフクロウことオーエンに似た人物も目撃されており、マーシェと歌手ディクシー嬢は何か企んでるらしい。そこへドムダニエルカフェで見張りをしていたヒースの部下が連絡してくる。一人の男の死体がマーシェの事務所から発見されたと言う。それはアレン嬢の兄フィリップだった。


◆07-現場報告[05月19日(日)00:30]
すぐに部下がマーカム邸にやって来て報告をする。ヴァンスたちが夜11時前後にカフェを出た後、引き続きハゲタカが現れないか見張っていると複数の警官と検視官がマーシェ氏の事務所にやって来たのが見えた。見張りをしてたカフェ向かいアパートから現場へ行くと男が死んでるとの通報があったという。マーシェ氏もディクシー嬢もフィリップの事は詳しく知らなかったようで電話帳から身元を知ったという。またヴァンスが去って10分後の22:50頃に通報の電話があったが、かけてきたのは女性で名前を名乗らず一方的に電話を切られたという。それはディクシーではなく別の女性従業員によるものではないかと思われる。

被害者フィリップをヒースの部下は以前から知っていた。今日は目立たない黒っぽい服だった為、1度ハゲタカではないかと疑い声をかけたという。それから昼間は小柄な男と何か言い争う姿が目撃され、マーシェの事務所を数回訪れ、夕方4時頃マーシェ氏の事務所に10分程滞在した後はキッチンとは反対方向へ去った後は姿が見えなくなったと言う。夜8時以降ディクシーとカフェのボーイがそれぞれ事務所を訪れていたがその時死体はまだ無かったという。
亡くなったのがアレン嬢の兄だと知ったヴァンスは彼女を気の毒に思い犯人探しに乗り出すのだった。


◆08-霊安室[05月19日(日)01:30]
1度ヴァンスは自宅に帰ってタキシードを着替えるとフィリップの死を知らせるためヒースと共に彼の自宅に向かう。真夜中だというのに母親はまだ起きており娘が帰って来るまでいつも起きて待ってるのだという。アレン嬢はまだ帰っていなかった。ヒースは言いにくそうにフィリップが亡くなった事を伝え、遺体確認をするため彼女を病院へ連れ出す。霊安室で亡骸と対面し泣き崩れる母だが、自分よりもフィリップの妹のグレイシーはこの事を知ったら居ても立っても居られないだろう、どうか今しばらくフィリップの死を伏せておいてくれとお願いされ、ヒースは関係者、マスコミに出来る限り伏せると約束するのだった。

ヴァンスの邸に戻るとヒースは死んだフィリップの所持品をヴァンスに見せる。それは市松模様の入った木製シガレットケースだった。小さな木箱の内側には名前の焼印があり「ジョージ・バーンズ」と表記されていてアレン嬢の想い人である事を知っていたヴァンスは驚く。ヒースは早速、香水工場イノセント社へバーンズ氏を捜索に行く。


◆09-晴れない疑い[05月19日(日)10:30]
翌朝、寝坊したヴァンスの元にヒースが報告を持ってくる。昨夜はあの後、イノセント社の警備員に住所を照会してもらい彼の行方を追うが週末は友人のところで過ごすと管理人に教えてもらい、友人の元を訪ねる。彼の友人によるとバーンズはひどく落ち込んでいたというがヴァンスはそれはアレン嬢の仕打ちに打ちのめされたのだろうと察する。彼は友人宅にはもはやおらず、ヒースの部下がアレン嬢の母親の家を見張ってるという。悪事を犯したバーンズが間もなくアレン嬢を頼って匿ってもらいに訪れるだろうと察したヒースの勘だった。案の定、正午頃アレン嬢の自宅にバーンズがやって来たと言う知らせが入りヴァンスたちは彼女の家へ向かう。家ではアレン嬢がヴァンスを迎え入れる。ヒースはシガレットケースを見せろとバーンズに詰め寄るが昨日、アレン嬢との事でフィリップと口論になった際、彼が間違えて持っていってしまった為、手元になかった。シガレットケースの香りを嗅ぐと間違いなく自分の物と認め、昨日のドムダニエルカフェでも同じ香水が強く香っていたと証言する。シガレットケースを自分の物と認めたバーンズをヒースは連れて行こうとする。アレン嬢が引き止めるがヴァンスはすぐ帰ってくると僕が約束します、と言うとようやく彼女はバーンズを連れ出す事に納得したのだった。

香水名が「今すぐキスして」と言う名前のせいで、バーンズからそう言われたヒースが後ずさる場面が笑ってしまいました。なぜそんな名前…?当時実際にあった高級香水だそうです。


◆10-アレン嬢の訪問[05月19日(日)12:00]
バーンズ氏がヒースの指示で警察署に連れて行かれるとヴァンスはマーカムの検事事務所に向かう。バーンズは今回のフィリップの死と関係ないと言い、彼をすぐ釈放するようヒースを説得するようお願いする。確たる根拠はなかったが長年の付き合いとヴァンスの今までの性格で決していい加減に言ってるのではなく重要な確信がある事を知っていたマーカムは承諾する。それから手続きが済んだ後、ヒースがバーンズと共に検事事務所にやって来てバーンズは釈放となったが、ヒースは夜通しかけてやっと見つけた重要参考人を自由の身にしてしまった事に納得できずにいた。明日のドアマス検死官によるフィリップの死亡原因がはっきりするまではバーンズに監視を付けることにする。ヴァンスたちが帰宅するとアレン嬢がヴァンスの邸を見つけ出して帰りを待ち構えていた。彼女は自分のプレゼントしたシガレットケースでバーンズに疑いがかけられた事にじっとしてられず自分が犯人探しをすると言い、ヴァンスに探偵の手ほどきを伝授して欲しいと頼み込む。アレン嬢を放っておけないヴァンスは何か夢中になっていれば気が紛れるだろうと考えてアレン嬢に探偵としての助言を与えるのだった。


◆11-毒薬の伝承[05月19日(日)21:00]
その夜、ヴァンスたちの元にヒースから電話がかかってきてマーカムの邸に向かう。邸に着くとマーカム、ヒース、珍しくドアマス医師もいてドアマスの所見によるとフィリップの死因には不可解な点があるという。毒殺されたようなのだが死亡推定時刻がはっきりしない。その為、何時に犯行が行われたか不明だと言う。使用された毒も特定が難しく、医師によると皮膚か爪先から毒を受けたと思われるが特徴ある痕跡が残ってないため特定ができない。ヴァンスは、昔ラベンダーオイルを売っていた者がニトロベンゼン中毒で命を落としたと言う例をあげるがドアマス医師は判断するのにもう少し時間を欲しいと言う。また夕方キッチンには戻らなかった被害者フィリップがどうやってマーシェのカフェの事務所に入ったのか謎が残るためヴァンスはマーシェがカフェを改装した際の図面を用意するように言う。それからアレン嬢には兄であるフィリップの死を伏せるようお願いする。隠し通せる自信がないと、ぼやくヒースだったが守り通すよう努めると約束するのだった。


◆12-アレン嬢の発見[05月20日(月)09:00]
前の晩は夜遅くまでマーカム邸に留まったヴァンスだが、翌朝はいつもより早く起きて仕度を済ませコーヒーも飲み終えていた。9時にヒースがドムダニエルカフェの図面をヴァンスの邸に持ち込む。1階部分から、隈なく図面を見るが特に気になる点は見つからない。そこへアレン嬢もやって来る。自分にも見せてくれというので彼女に見せると、丁度マーシェの事務所部分を指した際、アレン嬢は「ここはディクシー嬢の部屋よ」と意外な事を口にする。事情を聞くと、兄であるフィリップを説得に会いに10時にカフェの奥の方へ歩いていくとドアがあり、開けてみたが外の通りに出てしまった為、迷った事に気づいて引き返した。途方に暮れて壁に寄りかかった途端、隠し扉が開いてディクシーの部屋に転がり込んでしまった。ディクシーは驚いたが親切に道案内をしてくれたという。キッチンには辿り着いたが結局兄には会えなかったのだった。

アレン嬢が帰宅後、ヒースはすぐにマーシェのカフェに捜索を向けようと提案するがヴァンスはまだ時期が早いと引き留める。マーシェがカフェの上の階に住んでると言うのでヴァンスたちは会いに行くことに。マーカムに電話すると丁度、香水工場の社長が来ていて興味深い話を聞いたという。昼食に会うことを約束し、もし午後2時までに自分たちがランチに来なかった時はすぐにヒースたちをカフェに向かわせるようお願いするのだった。


◆13-フクロウの行方[05月20日(月)11:00]
ヴァンスたちはドムダニエルカフェへマーシェに会いに行く。程なく現れたマーシェにヴァンスは事件について尋ねる会話の中にアレン嬢が証言した秘密の通路の事を聞くと意外にあっさりマーシェはその存在を認めた。そこへディクシー嬢もやって来て彼女も当然秘密の通路について知ってると認めた。しかしなぜか彼女はマーシェに対して敵意の目線を向けてることにヴァンスは気づく。同じ香水「キスミークイック」を付けてる程の間柄でなぜそんな視線を向けるのか不思議がる。

マーカムの事務所に行くと香水工場社長のドールソン氏が早く事件を解決してくれと迫って来たという。理由は調合師のバーンズで、彼が考案した新作香水の準備に多額の費用をかけているが肝心のバーンズが事件のショックから香水の嗅ぎ分けが困難になっているという。そのせいで準備が遅れており、もし新作の企画が失敗すれば会社は大きな損害を被るからだった。

3時に帰宅するとアレン嬢がやって来る。ヴァンスがオーエン氏が小柄の男性であると特長を述べるとディクシー嬢の部屋で似たような男性がいたという。すぐにディクシー嬢に部屋から連れ出されたため会ったのはわずかだったが間違いないという。その後、カフェの方にもやって来たのでヴァンスたちが見かけた男性がフクロウだったと確信する。カフェ名もオーエンとマーシェの洗礼名ドミニック+ダニエルだった事もあり、マーシェとつながりがあるとヴァンスたちは彼に会いに行く。


◆14-瀕死のフクロウ[05月20日(月)20:00]
その日の夜、オーエンが拠点にしているニューヨーク内のホテルにヴァンスたちは赴く。オーエンはヴァンスの訪問だと知ると警護役たちを引き下がらせ話し合いに応じる。オーエンは不治の病により体は自由が利かず、余命宣告を受けていた。裏社会で幅を利かせていた、かつての黒幕の恐ろしい面影を残しつつも彼はもはや死の影に怯え、逃げ穴を探し彷徨う狂人であった。オーエンはヴァンスとの会話で人生の無情さを語り合うことで死に対する恐怖から逃れ安らぎを得るのだった……。


◆15-アレン嬢の告発[05月21日(火)09:30]
翌日、ヴァンスの邸でマーカム、ヒースが集まり昨夜の報告をする。そこへアレン嬢とバーンズ氏がやって来る。アレン嬢の母親もヴァンスに話があるとの事で後ほど来るという。アレン嬢は持参した木箱を開けるとヴァンスから教わった通りあらゆる場所で証拠になりそうな物を集めたと言ってヴァンスに見せ始める。カフェに残ってた靴の跡、パトル氏の事務机の吸取紙など…到底事件に関係ないものばかり。しかし最後の品でバーンズが「臭ったアーモンドの匂いがする」と言う煙草の吸殻を見た時、ヴァンスは顔が険しくなる。すぐに吸殻を別の袋に移す。それは青酸カリが染み込んでると思われる吸殻だった。ヴァンスはどこでこれを手に入れたか尋ねると、土曜日にアレン嬢がドレスに穴を開けられたあの時の物だと言う。ヴァンスはその事から彼女の兄フィリップは毒入り煙草で殺されたのではないかと言う仮説を立てる。突拍子もない仮説でマーカムもヒースも呆れるが、その仮説があればマーシェやフクロウがあの夜カフェに集っていた事、ディクシー嬢の憎しみの理由、フィリップが死んだ事など辻褄が合うという。
その時、アレン嬢は「少なくとも私はその煙草を使って殺人を犯した人物を知っている」と言い出す。ヴァンスが誰かと尋ねるとアレン嬢はためらうので「すっかり話して大丈夫ですよ」とヴァンスが言うと彼女はこう言ったのだった。
「犯人は…ヴァンスさんよ!」


※16章以降はネタバレです。未読の方は…
(>0<;)見ないで下さいな!
































◆16-殺人容疑者ヴァンス?[05月21日(火)10:50]
(…ダイン氏はアレン嬢の告発が何が発端となったかしばらくしてやっと気づいた。彼女が話してるのは土曜のドライブで出会った際のヴァンスの作り話の事で彼女はあの話をそのまま信じてしまっていたのだった……)
「ヴァンスさんはね、親友がハゲタカ、ベニーって人に殺されそうだったから、やられる前に手を打ったのよ!」
マーカムもヒースもそれ以前にヴァンスから「ハゲタカのベニー」がどう扱われるべきか聞かされていたので疑いながらもヴァンスが「本気で」殺人を犯したのではと信じそうになった。ヴァンスは「きっと春の陽気のせいで…」と最初は2人をからかったが彼らが生真面目に信じそうになってしまったため慌てて作り話を聞かせたのだと弁解し、やっと誤解がとけたのだった。
マーカムもヒースも大笑い。しかしそのせいでヒースは油断してしまい「カフェで殺されたのは「ハゲタカ」ではないのは確かですよ。死んだのはアレン嬢、あなたのお兄さん…」
ヴァンスは「部長さん…っ」と言ったが、とき既に遅し。アレン嬢は呆然としたかと思うとそっと両手で顔を覆った。肩を震わせうつむいたままのアレン嬢にヴァンスは駆け寄って肩に手を置いた。ところがよく見るとアレン嬢は泣いてるのではなく、笑いを必死に堪(こら)えていた。そして驚くべき事を口にした。
「ヒース刑事、私を担ごうとしてもダメよ。だって私の兄さんは今、牢屋に入っているんですもの…!」


◆17-死体の正体[05月21日(火)11:30]
そこへ丁度アレン嬢の母親がやって来る。彼女はアレン嬢が話した「兄のフィリップが実は生きてる」件を説明しに来たのだった。事件の夜、賃上げ交渉が破談になったフィリップはそのまま仕事を退職しカフェを後にした。友人が運転する車に乗って数日ほど遠出をしようとしたところへ警察に職務質問を受け、友人が車の盗難とひき逃げの疑いをかけられたため怖くなったフィリップは信号待ちしてる途中で車を降りそのまま逃走したのだった。実は高速道路で警官たちと一悶着起こしたのはハゲタカ一味ではなくフィリップたちだった。

真夜中にやって来たヴァンスたちを最初はフィリップを連行するためと思ったが、遺体確認をお願いするためやって来たのだと知った母親は、フィリップの件が解決し死体の本当の身元が分かるまで黙認する事にした。実際に母親は死体を見た際に死んだ者がフィリップであると一言も言わなかった。友人も無実が証明されフィリップは自宅に戻って来たという。アレン嬢が兄は牢屋にいるといったが忘れ物の黒いコートを警察署に返してもらうため立ち寄っただけだと判明。アレン一家は無事に平穏を取り戻す。

フィリップの件が解決した途端、あの死体は一体誰なのかという疑問が残る。ヴァンスは死体の指紋を前科者リストと照合すれば驚く事が分かると言い、早速ヒースは調べる。なんとあの死んだ男は「ハゲタカのベニー」なのだった。フクロウは余命わずかで恐らく今夜海外へ発つだろう、その前に彼はドムダニエルカフェへ立ち寄ると確信したヴァンスはヒースとマーカムにカフェへ集まるよう要請する。マーシェと占い師トファーネ夫妻は、必ずカフェに姿を見せると断言する。


◆18-黄色スイセン&バラの香水[05月21日(火)15:00]
午後3時。ドムダニエルカフェはヒースとその部下たちに隙きを与えないほど監視されていた。ヴァンスたちはヒース部下の警官と共に向かいの正面ホールを見張っていたアパートで待機していた。やがてマーシェとディクシー嬢がカフェにやって来るとそれから誰も事件関係者は出入りしないのでヒースは家宅捜索に踏み切る。カフェの事務所にはマーシェ、ディクシー嬢、それと恐らく秘密の通路から来たであろう「フクロウ」ことオーエンもいた。ヴァンスは事件について最後に話したい事があると言って真相を話し出す。

バーンズ氏が最後に事務所から去る際、黄色スイセンとバラの香水の香りが印象的だったと言っており、事務所に死体を運び込んだのはシガレットケースから同じ香水が香ったディクシー嬢であると指摘。更にマーシェには、あの死体は使用人の「フィリップ・アレン」ではなく「ハゲタカ・ベニー」であると告げるとマーシェは信じられないと驚く。フィリップとハゲタカは背丈が同じ位、黒のスウェード姿、顔は毒殺によって歪んだ為、マーシェは見間違えたが指紋は確かにハゲタカのものだった。そしてトファーネ夫妻が用意した毒入り煙草でハゲタカを殺した犯人はマーシェであると告げる。

殺された場所はヴァンスたちが土曜日にドライブへ行った郊外の近くだった。脱獄して助けをもとめたハゲタカを匿(かくま)ふりをしてマーシェはハゲタカを毒殺した。ディクシー嬢はその一部始終を見ていた。毒殺に使用した煙草は証拠隠滅するため、車窓から投げ捨てたが運悪く(幸運にも?)グレイシーアレン嬢に拾われてしまったのだった……しかしディクシー嬢は手下に協力してもらい道端に放り出されたハゲタカの遺体を「わざと」カフェへ死体を運び込んだのだった。マーシェがそれなら犯人はディクシー嬢ではないかと嘲笑うがディクシー嬢が「自分がハゲタカの死体を運んだ」と自供し、マーシェはその時初めてディクシー嬢に裏切られていた事に気付き、怒りで彼女に罵声を浴びせるのだった。


◆19-裏切りと復讐[05月21日(火)16:30]
ディクシー嬢は死体を運んだ理由を話し出す…彼女はハゲタカ・ベニーの恋人でマーシェの裏切りのせいでハゲタカが刑務所行きになった事を後に知った。マーシェはディクシー嬢に好意を寄せておりハゲタカが刑務所に行った途端、ディクシーに言い寄ってきた。恋人が手酷い裏切りを受けたと知った彼女はマーシェの愛人になるふりをし復讐を決意した。3年後…脱獄したハゲタカにマーシェが裏切っていたとディクシー嬢は訴えるがハゲタカは最後までマーシェを仲間として信じ切っていたので話を聞き入れては貰えず、またトファーネ夫妻もハゲタカに敢えて忠告もしなかったため命を落としたと訴える。犯行が暴露して自暴自棄になったマーシェは怖いものがなくなったのかオーエンに対し、道連れに罪を背負わせてやると怒鳴り散らすがオーエンは隠し持っていた拳銃でマーシェを撃ってしまったのだった。ヴァンスはオーエンに拳銃を渡すよう促すと、素直に従いヴァンスから「煙草でも吸いませんか…?」と言われるとオーエンは懐から出した葉巻を吸う。途端にもう動かなくなってしまう。オーエンは自殺してしまったのだった……。


◆20,-めでたい結末[05月22日(水)10:30]
グレイシー・アレン嬢の手柄で見事に事件が解決し、バーンズ氏も体調が回復し仕事復帰した。後日、イノセントの社長が事件を解決した際の報奨金を取り下げたいというが、ヴァンスの機転でマーカムは取り下げる前に事件が解決したとしてアレン嬢とバーンズに渡されるよう手配したのだった。バーンズの働きで工場が発展したことを考えれば悪くない行いだと諭され社長も承諾する。アレン嬢とバーンズ氏は後に結婚し、試作品のシトロンの香水は完成してイノセント社の看板商品となった。香水の名はアレン嬢をイメージして作ったので『勝ち誇る娘』と名付けたそうだ。


(終)

*****
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