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第2部 〈世界制覇〉編
59、会戦前夜の誓い。――最強戦力には最強戦力を。
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――会戦数日前のあの日。
この我の主人たる魔王ジュドさまは、こう言った。
「さて。次はいよいよ、この魔王国エンデと世界最大の侵略軍事超大国たるエリミタリア永世帝国との一大決戦だ。おそらく後世に語り継がれることになるこの歴史的な一戦に勝利すれば、この俺の目的の一つ、世界制覇に大きく近づく」
場所は魔王城最上階に位置する魔王の居室。
広いリビングのテーブルに広げられた地図の一点へとジュドさまの指がつう、と動く。
「開戦場所はおそらくここ、ロズトー平原となるだろう。そのとき最大の障害となるのは、まず間違いなくその役割からして帝都を動くことはありえない国母将帝マリアリテレザを除き、永世帝国最高幹部にして最強戦力たる残る四大将帝のうち三人」
ジュドさまはそこで言葉を切ると、指をさしていた地図から顔を上げ、居並ぶ二人の側近を順番に見つめる。
右腕たるこの我と、もう一人。
主人たるジュドさまへの恭順のあかし、この我が褒美に賜ったものと同じ。
夜の闇を写したような藍色の片側留めのマントをこの我とは逆に左留めに纏った勇者アリューシャを。
「最強戦力には、最強戦力を。デスニア。アリューシャ。よって、その三人は俺たち三人でそれぞれに対応し各個撃破したい。俺は、それが最も犠牲が少なく、最も勝率が高いと判断した。具体的には、この俺が魔導将帝ジャクムを。デスニアが破軍将帝ヴァザヴォーザ。アリューシャには、天技将帝キルシュアーツを。……頼めるか? 二人とも」
まっすぐに真剣に見つめるジュドさまの赤い瞳に、この我は思わずぽぅっとなった。
この我は未来の王配とはいえ、いまは臣下なのじゃから、ただ命令すればいいというのに、もう本当に本当にジュドさまは。
「もちろんじゃ! ジュドさま! この我にしかとまかせよ! 大船に乗ったつもりでいるがよい! 必ずや、この我が愛する主人たるジュドさまの期待に応えてみせよう!」
この我に、まさか否やなどあるはずもない。この我はすぐさまに大きくうなずき、左胸をトン、と右手で叩き応えてみせた。
一方、この場にいるもう一人。勇者アリューシャは。
「うん……! 大丈夫……! あたしも、やれるよ……! ジュドー……! あたしはもう決めたから……! ジュドーが必死にいまも守ってくれてるあたしとの誓い――『最も犠牲が少なく済む道を、たとえどれほど困難であろうと常に模索し続ける』――そのためになら、あたしだって何だってやってみせるよ……!」
うつむいていたその顔が覚悟を決めたように、クッと上がる。
「ジュドーと……! そして何よりも、あたし自身のために……!」
胸の前でこぶしを握った勇者アリューシャのその決意に輝く青い瞳がまっすぐにジュドさまを見つめた。
――この我から見ても、眩しいほどに輝く穢れのない青い瞳が。
「……そうか。感謝する。デスニア。アリューシャ。ふ。そうと決まれば、早速そのための準備をしなければな。なぁに。安心しろ。この俺の言うとおりにすれば勝利は絶対、盤石だ。そうだな。まずは、俺と一緒にあそこに行って、おまえたちのスキルを――」
この我と勇者アリューシャに真摯に、心からの感謝の言葉を告げるジュドさま。
そしてそれも束の間。照れ隠しのように浮かべた笑みに、この我は思わずぽぅっとなる。
――もう本当に本当に、ジュドさまは。
この我の主人たる魔王ジュドさまは、こう言った。
「さて。次はいよいよ、この魔王国エンデと世界最大の侵略軍事超大国たるエリミタリア永世帝国との一大決戦だ。おそらく後世に語り継がれることになるこの歴史的な一戦に勝利すれば、この俺の目的の一つ、世界制覇に大きく近づく」
場所は魔王城最上階に位置する魔王の居室。
広いリビングのテーブルに広げられた地図の一点へとジュドさまの指がつう、と動く。
「開戦場所はおそらくここ、ロズトー平原となるだろう。そのとき最大の障害となるのは、まず間違いなくその役割からして帝都を動くことはありえない国母将帝マリアリテレザを除き、永世帝国最高幹部にして最強戦力たる残る四大将帝のうち三人」
ジュドさまはそこで言葉を切ると、指をさしていた地図から顔を上げ、居並ぶ二人の側近を順番に見つめる。
右腕たるこの我と、もう一人。
主人たるジュドさまへの恭順のあかし、この我が褒美に賜ったものと同じ。
夜の闇を写したような藍色の片側留めのマントをこの我とは逆に左留めに纏った勇者アリューシャを。
「最強戦力には、最強戦力を。デスニア。アリューシャ。よって、その三人は俺たち三人でそれぞれに対応し各個撃破したい。俺は、それが最も犠牲が少なく、最も勝率が高いと判断した。具体的には、この俺が魔導将帝ジャクムを。デスニアが破軍将帝ヴァザヴォーザ。アリューシャには、天技将帝キルシュアーツを。……頼めるか? 二人とも」
まっすぐに真剣に見つめるジュドさまの赤い瞳に、この我は思わずぽぅっとなった。
この我は未来の王配とはいえ、いまは臣下なのじゃから、ただ命令すればいいというのに、もう本当に本当にジュドさまは。
「もちろんじゃ! ジュドさま! この我にしかとまかせよ! 大船に乗ったつもりでいるがよい! 必ずや、この我が愛する主人たるジュドさまの期待に応えてみせよう!」
この我に、まさか否やなどあるはずもない。この我はすぐさまに大きくうなずき、左胸をトン、と右手で叩き応えてみせた。
一方、この場にいるもう一人。勇者アリューシャは。
「うん……! 大丈夫……! あたしも、やれるよ……! ジュドー……! あたしはもう決めたから……! ジュドーが必死にいまも守ってくれてるあたしとの誓い――『最も犠牲が少なく済む道を、たとえどれほど困難であろうと常に模索し続ける』――そのためになら、あたしだって何だってやってみせるよ……!」
うつむいていたその顔が覚悟を決めたように、クッと上がる。
「ジュドーと……! そして何よりも、あたし自身のために……!」
胸の前でこぶしを握った勇者アリューシャのその決意に輝く青い瞳がまっすぐにジュドさまを見つめた。
――この我から見ても、眩しいほどに輝く穢れのない青い瞳が。
「……そうか。感謝する。デスニア。アリューシャ。ふ。そうと決まれば、早速そのための準備をしなければな。なぁに。安心しろ。この俺の言うとおりにすれば勝利は絶対、盤石だ。そうだな。まずは、俺と一緒にあそこに行って、おまえたちのスキルを――」
この我と勇者アリューシャに真摯に、心からの感謝の言葉を告げるジュドさま。
そしてそれも束の間。照れ隠しのように浮かべた笑みに、この我は思わずぽぅっとなる。
――もう本当に本当に、ジュドさまは。
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