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42 ゲームのエンディング
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白い花が咲いている。この時期、白やピンクの花が多い。ああ、そうだ。桜の季節なんだと思い出した。この世界には何故か桜はなかったけれど、春のイメージの白っぽいピンクになっているのは絶対桜のせいだと思う。
「リア、卒業おめでとうございます」
本当は山のような花束を渡したかったけれど、それをするとプリメリアが困るので諦めた。一本の白銀の花、エーデルワイス。オーディクス侯爵家の花だ。
「飾ってくれる?」
「頭でいいですか?」
「ええ——」
ミリアが前世の記憶を駆使して磨いたプリメリアはもはや悪役令嬢ではなく、女神のような美しさだった。
俺も澪もプリメリア推しだったからな。
澪はもちろん『アルサイ』万歳だったが、それはカップル推しというやつだったらしい。
ミリアは屋敷の修理を終えて帰るのがとても悲しそうだった。もう子爵家にもどっているけれど、週に一度はプリメリアと遊んでいるらしい。前世の妹と今世の姉が仲が良くて、いいことだと思っている。
「わぁ、リア。女神様みたい——」
ちなみに俺たちのいう女神様は架空のものではなく、本当の女神様だ。
「ミリアったら。そんな風に褒められると困るわ」
はにかんだ笑顔も神々しい。
「……アルフォンス様は戻ってこなかったね」
「まだやることがあるんだろうな」
留学という形で隣国へ行っているので、皆はてっきり卒業までには帰ってくると思っていた。
アルフォンスが突然留学してしまって、副会長だったプリメリアが生徒会長になった。プリメリアは土壇場で踏ん張れる人間だったようで、驚くほど意欲的に生徒会長を務めた。影で支えたライファーの存在が大きかったと思う。今はまだ婚約は認められていないが、それも時間の問題だ。
俺も結局副会長を務めることになってしまって焦ったが、今日でこの焦燥感ともおさらばだ。
黒持ちといわれる魔力が多いものたちが貴族、特に高位のものたちに嫌厭されるのは、魔力の色が家の存続に関わるからだ。これは乙女ゲームの仕様であり、仕方のないことではある。俺の髪の色やプリメリアの髪の色が銀なのは、オーディクス侯爵家の魔力のせいだ。プリメリアは母方に多い緑の魔法を継いでいるが、それでもオーディクス侯爵家の魔力の色を継いでいるのでプリメリアの子は銀の髪に生まれるだろう。時折違う色の髪が生まれても次の世代では戻るようになっている。
どうしても違う色が混ざると人は不安になるもので、黒持ちは嫌がられてしまうのだ。
黒持ち同士で結婚することが多く、なんなら独り身も多いせいで検証に至っていないというせいもある。だが、俺やミリアは知っている。『ファンブック』に載っていたからだ。
ライファーとプリメリアが結婚しても大丈夫だと言って信じてもらえたのは、俺の日ごろの行いのせいだと思う。
「リア、時間だよ」
エスコートするためにライファーが生徒会室へ迎えにきた。来期は俺を支える副会長だ。
「ふふ、ありがとう」
微笑みあう二人は困難などものともせず、お互いを信じあっているように見えた。
「また後で——」
卒業生が講堂に集まった後で、追い出す俺たちも花を抱えていかなければならない。だてにフラワー王国という名、フラワーガーデン学園の名前はついていない。
この世界、花粉症がなくて本当によかったと思う。
「お兄ちゃん、お疲れ様。プリメリア、幸せそうで嬉しいね」
「ああ、望んだ通りのエンディングだ」
「『花』だったら迎えられないエンディングだよ」
ヒロインはイベントをスルーして、断罪も追放もないゲームやってる人がすっきりしないエンディングだが、それがいい。
式は粛々と進み、生徒会長であるプリメリアが最後に卒業証書をもらった。
「おめでとう、リア!」
少しだけ滲んだプリメリアが手を振って微笑む。見られないように、俺は上を向いて目を瞑った。まぁ隣のライファーが大泣きしているから、目立たないだろう。
『花咲き誇るフラワーガーデン物語』がエンディングを迎えた。
「リア、卒業おめでとうございます」
本当は山のような花束を渡したかったけれど、それをするとプリメリアが困るので諦めた。一本の白銀の花、エーデルワイス。オーディクス侯爵家の花だ。
「飾ってくれる?」
「頭でいいですか?」
「ええ——」
ミリアが前世の記憶を駆使して磨いたプリメリアはもはや悪役令嬢ではなく、女神のような美しさだった。
俺も澪もプリメリア推しだったからな。
澪はもちろん『アルサイ』万歳だったが、それはカップル推しというやつだったらしい。
ミリアは屋敷の修理を終えて帰るのがとても悲しそうだった。もう子爵家にもどっているけれど、週に一度はプリメリアと遊んでいるらしい。前世の妹と今世の姉が仲が良くて、いいことだと思っている。
「わぁ、リア。女神様みたい——」
ちなみに俺たちのいう女神様は架空のものではなく、本当の女神様だ。
「ミリアったら。そんな風に褒められると困るわ」
はにかんだ笑顔も神々しい。
「……アルフォンス様は戻ってこなかったね」
「まだやることがあるんだろうな」
留学という形で隣国へ行っているので、皆はてっきり卒業までには帰ってくると思っていた。
アルフォンスが突然留学してしまって、副会長だったプリメリアが生徒会長になった。プリメリアは土壇場で踏ん張れる人間だったようで、驚くほど意欲的に生徒会長を務めた。影で支えたライファーの存在が大きかったと思う。今はまだ婚約は認められていないが、それも時間の問題だ。
俺も結局副会長を務めることになってしまって焦ったが、今日でこの焦燥感ともおさらばだ。
黒持ちといわれる魔力が多いものたちが貴族、特に高位のものたちに嫌厭されるのは、魔力の色が家の存続に関わるからだ。これは乙女ゲームの仕様であり、仕方のないことではある。俺の髪の色やプリメリアの髪の色が銀なのは、オーディクス侯爵家の魔力のせいだ。プリメリアは母方に多い緑の魔法を継いでいるが、それでもオーディクス侯爵家の魔力の色を継いでいるのでプリメリアの子は銀の髪に生まれるだろう。時折違う色の髪が生まれても次の世代では戻るようになっている。
どうしても違う色が混ざると人は不安になるもので、黒持ちは嫌がられてしまうのだ。
黒持ち同士で結婚することが多く、なんなら独り身も多いせいで検証に至っていないというせいもある。だが、俺やミリアは知っている。『ファンブック』に載っていたからだ。
ライファーとプリメリアが結婚しても大丈夫だと言って信じてもらえたのは、俺の日ごろの行いのせいだと思う。
「リア、時間だよ」
エスコートするためにライファーが生徒会室へ迎えにきた。来期は俺を支える副会長だ。
「ふふ、ありがとう」
微笑みあう二人は困難などものともせず、お互いを信じあっているように見えた。
「また後で——」
卒業生が講堂に集まった後で、追い出す俺たちも花を抱えていかなければならない。だてにフラワー王国という名、フラワーガーデン学園の名前はついていない。
この世界、花粉症がなくて本当によかったと思う。
「お兄ちゃん、お疲れ様。プリメリア、幸せそうで嬉しいね」
「ああ、望んだ通りのエンディングだ」
「『花』だったら迎えられないエンディングだよ」
ヒロインはイベントをスルーして、断罪も追放もないゲームやってる人がすっきりしないエンディングだが、それがいい。
式は粛々と進み、生徒会長であるプリメリアが最後に卒業証書をもらった。
「おめでとう、リア!」
少しだけ滲んだプリメリアが手を振って微笑む。見られないように、俺は上を向いて目を瞑った。まぁ隣のライファーが大泣きしているから、目立たないだろう。
『花咲き誇るフラワーガーデン物語』がエンディングを迎えた。
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