王と王妃の恋物語

東院さち

文字の大きさ
28 / 42

27 本当の気持ちだったらいいのに

しおりを挟む
 そういえば、部屋に最初に入ってきたときはカーテンが開いていたはずなのに、何故か今は締められている。逃避のように窓のほうを見つめていれば、「アラーナ?」と訝し気に名を呼ばれた。

「まだ明るい時間でしたね……。お仕事は大丈夫ですか?」

 アラーナ達は昼を過ぎてから王城に来たから、まだ天高く太陽はのぼっているはずの時間だ。突然こんなことになってしまったけれど、アルベルトの国王としての仕事は大丈夫なのだろうかとふと心配になった。

「心配ありがとう。集中してくれていいぞ」
 
 何故今この時に、そんな心配をしているのかわからないアルベルトはそう言った。

「あっ……あ……あうっ!」

 アラーナが堪らない様子で太ももを締め付ける。
 指を秘裂の奥に突き立てられながら啼く。

「それ……なら……よいのですっ」

 アラーナの中は狭く、アルベルトの指の一本ですら拒むようだった。

「二本入るとは思うが……少し痛むぞ」

 一本目は狭かったとはいえ、アルベルトに散々胸を弄られた時に溢れたもので滑りよく飲み込んだが、剣を嗜むアルベルトの指はゴツゴツと節ばっていて、二本目は少しだけ入りにくい。

「アラーナ、恥ずかしいとは思うんだが、こっちのほうが楽だから……」

 アラーナの腰の下にクッションを敷いて、アラーナの太ももを広げさせてその間に自身の身体で閉じれないようにしてしまった。

「アルベルト様っ」

 切羽詰まったアラーナの声と不安げな視線にアルベルトは「大丈夫だから、私を信頼してまかせてくれ」と慰めた。
 そこまで言われて頷けないようでは、きっとアルベルトも呆れて抱いてくれないだろうと頷く。アラーナは半分泣きたい気持ち、半分諦めの気持ちで、アルベルトの行動を見守った。
  自分でもちゃんと見たことのない場所がアルベルトの視線にさらされていると思うだけで、何故かそこが熱く、ジワリと蜜があふれ出してくるのがわかった。
 そこに二本の指を揃えて、アルベルトはゆっくりと奥へ進めた。アラーナが怖がらないように慎重に。

 途中でつっかえながらも何とか入り込んだ指を開くと、水音がコプリとした。二人の息遣いしかない寝室にそれは艶めかしく響いた。

「ふぁ……」

 よくわからない感覚が気持ち悪くて、アラーナは首を振った。揃えた指が中の感覚を楽しんでいるようにあちこち押される。

「んっんんっ……ン」

 意図せず漏れる吐息のすべてが子猫のように高く、普段のアラーナの声とはまるっきり違うためにアルベルトは、自身が興奮してくるのを感じた。
 早くここに挿ってかき混ぜたい――。
 雄としての本能に促されるまま中を指で暴いていく。アラーナはビクビクと腹を波打たせて、アルベルトに続きを促してくる。
 アラーナの未熟な蜜口では、快感らしいものを感じても達くことが出来ないようだった。アルベルトは、青い果実を未だ食べたことはなかったから、それに気づくのにしばし時間がかかった。

「アルベルト様っ、アルベルト様っ……」

 身体の波を乗り切ることが出来ずに泣きそうなアラーナが、アルベルトの名前を何度も呼ぶ。無意識に身を捩り、痛みではない何かを必死に堪えているのだろう。

「アラーナ」

 アルベルトは、自身の分身のような指を動かすのを止めて、挿れたまま触らずにいた小さな突起を親指で押しつぶした。

「ひっあ……っ!」

 痛みではない感覚の何かが身体を突き抜け、ビクビクッとアラーナは身を震わせた。

「あ……あ……っああっ――」

 アラーナの中に挿れたままだった指が締め付けられて、中がうねるのを感じたアルベルトは、アラーナが初めて達ったことに気付いた。愛しさが溢れ、口付けをしようとして、そこは触らないでほしいと言われたことを思い出す。仕方なく太ももに口付けると、アルベルトの指が少し動いたのだろう。何度か身体を震わせて、アラーナは力なく寝台に沈み込んだ。

「アラーナ?」
「アルベルト様……、何だか力が入らなくて」

 困ったように目尻を下げてフワリと笑うアラーナはやはり可愛い。

「まだ終わってないが……」

 どうする? とアルベルトの目線が問う。

「止めないでください」

 本当に挿るんだろうかと、アルベルトは少し心配になった。特に大きいほうではないし、アラーナもしっかりと濡れているから大丈夫だと思うが、アルベルトが知る女の隘路とは全く違うものに見えた。

「もう少し、広げようか」

 挿れたままの二本の指を一度抜き、三本を合わせて進むと、やはりアラーナの顔に痛みが見えた。けれど、アラーナは止める言葉は発することもなく、アルベルトのすることを享受していた。

「これはしたことがないんだ……、イイと聞くから――」

 アルベルトは身体をすすめ、アラーナの膝裏を押し上げてアラーナが飲むこんだアルベルトの指の入った場所の上の小さな突起を舐めた。

「あっ、やぁあ!」

 アラーナは目を閉じていたから舐められるまで、何をされているのかわからなかった。アルベルトの指が痛くて、それのみに集中していたから、いきなりの足の間の濡れた感覚に悲鳴を上げた。

「アラーナっ」

 アルベルトは暴れるアラーナの腰を意外に強い力で押しとどめると、アラーナの声に嬌声が混じるまで、舐めては指を進め、舐めては引いてを繰り返した。
 最初は、何てことをしているのだろうと思って逃げようとしていたアラーナだったが、次第に羞恥よりも激しい快感に啼いた。

「あっ、んっんぁ……はっ……ああっ!」

 アルベルトが突起の部分を軽く噛んだ瞬間、アラーナは真っ白になってしまった。ドキドキと心臓が苦しいくらいに脈打ち、息が荒い。打ち上がった魚のように空気を求めてハァハァと呼吸を繰り返すと、やっとアルベルトはアラーナのそこから指を抜いた。チャポと恥ずかしいくらいの音に気付いたが、それに反応することも出来なかった。

「ん、いい子だ――」

 ただ、昔のようにアルベルトがアラーナの頭の撫でてくれて、とても幸せな気持になった。
 力の抜けきったアラーナの前でアルベルトはやっと自分のナイトガウンを脱ぎ捨てる鍛えているアルベルトの身体はしなやかで美しかった。アラーナが意識をしっかりと持っていれば、きっと見惚れていただろう。

 アラーナがぼんやりとしているのを確かめて、アルベルトはアラーナの太ももを左右に大きく開く。アラーナがしがみつけるように位置を整えてやり、中心に自身の既に猛っているものをこすりつけた。アラーナのそこは既に柔らかくなっている。それでもきっと痛みに泣くだろうとアルベルトはわかっていた。
 出来れば、あまり泣かせたくないと思うのは、少女であったアラーナを愛していたからだろうか。
 アルベルトは、躊躇ないなくアラーナの狭いその道に熱い楔を打ち込む。凄い締め付けに怯みそうになるのをアルベルトは敢えて無視し、一息で入り込んだ。時間をかけてならしただけあって、何とか収めることが出来た。

「ふっあ……? あああぁぁぁ!」

 アラーナの意識が痛みに浮上し、それと共に身体に力が入る。

「アラーナっ!」

 アルベルトは、アラーナの痛みの声に気付いたが、譲ることはなかった。

「あ……っ」

 ポロポロと涙を零すアラーナの顔は、痛みで強張っていた。血の気の引いた白い顔には痛みのせいだろうか汗が浮かぶ。口が薄く開き、虫の息のように浅い呼吸を繰り返した。
 奥まで入ったその先で、アルベルトもきつ過ぎる締め付けに耐えた。アラーナの頬を優しく撫でると、アラーナは「ごめんなさい……」と謝った。アルベルトが苦しそうなのが自分のせいだと気付いていたからだ。

「アラーナ……愛してる――」

 アルベルトの告白にアラーナは息をのんで、静かにゆるゆると吐き出した。
 これが閨でのリップサービスなのだと、誤解しそうになる自身の弱い心を自嘲する。

「言わないで……」

 アラーナが欲しい言葉は、冷酷だ――。こんな風にもらってしまえば、自身を切りつける刃となる。

「……動く」

 強い締め付けが少しづつ緩んでくると、アルベルトは自分の身体が逸りそうになるのを抑えることが難しくなってくる。二人の溶け合った蜜は十分過ぎるほどで、抽送は何とか行えた。内臓の内側を絡めとりながらアルベルトは抜く間際まで腰を引き、挿れることを繰り返す。

「うう……ああっ――。んっあ……。んんっ――……」

 アルベルトはアラーナの奥まで入り込むと、ストロークを短くして腰を打ち付けた。抱きしめたアラーナの胸を舐めると、ギュっと中が締まって、アルベルトは「うっ」と声を漏らした。
 アルベルトの濡れた声にアラーナのお腹の中がビクビクと震えた。
 アルベルトが感じていることが嬉しかったのだ。自分の身体が正直すぎて、アラーナは自身を嗤う。

 本当は泣きたい。馬鹿なアラーナ、抱かれたら吹っ切れると思っていたのに――。こんなに悦びに満ちた身体を一生どうするというのだろう。
 何も知らず、清いままであったなら、アルベルトを想うだけで生きていけただろうに。

「アラーナ……っ!」
「ああっ、あああぁぁぁん――……」

 切羽詰まったアルベルトの声を聞きながら、アラーナは身体の奥に熱いものが広がるのを感じた。その瞬間を忘れたくない――、そう思いながらアラーナは、アルベルトに抱きしめられて、背中に手を伸ばしたのだった。
 唇に何かが触れたような気がしたのは、多分夢だろう。欲しいものがあふれ出さないように、アラーナはギュっと目を瞑って、そのまま意識は眠りの中に落ちていくのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話

鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。 彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。 干渉しない。触れない。期待しない。 それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに―― 静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。 越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。 壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。 これは、激情ではなく、 確かな意思で育つ夫婦の物語。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

四人の令嬢と公爵と

オゾン層
恋愛
「貴様らのような田舎娘は性根が腐っている」  ガルシア辺境伯の令嬢である4人の姉妹は、アミーレア国の王太子の婚約候補者として今の今まで王太子に尽くしていた。国王からも認められた有力な婚約候補者であったにも関わらず、無知なロズワート王太子にある日婚約解消を一方的に告げられ、挙げ句の果てに同じく婚約候補者であったクラシウス男爵の令嬢であるアレッサ嬢の企みによって冤罪をかけられ、隣国を治める『化物公爵』の婚約者として輿入という名目の国外追放を受けてしまう。  人間以外の種族で溢れた隣国ベルフェナールにいるとされる化物公爵ことラヴェルト公爵の兄弟はその恐ろしい容姿から他国からも黒い噂が絶えず、ガルシア姉妹は怯えながらも覚悟を決めてベルフェナール国へと足を踏み入れるが…… 「おはよう。よく眠れたかな」 「お前すごく可愛いな!!」 「花がよく似合うね」 「どうか今日も共に過ごしてほしい」  彼らは見た目に反し、誠実で純愛な兄弟だった。  一方追放を告げられたアミーレア王国では、ガルシア辺境伯令嬢との婚約解消を聞きつけた国王がロズワート王太子に対して右ストレートをかましていた。 ※初ジャンルの小説なので不自然な点が多いかもしれませんがご了承ください

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...