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幼年期
ニ、日常
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むせ返るような暑さに負けまいと蝉が鳴いている。その声と競うように風を切る音と木製の床を裸足で歩き回る音が響く。
『バッ─…パンッべしぃっ─……ゴン』
「いっったぁーーーーぃ!!!」
「ははは!また澪ちゃんの負けー」
私は親戚のうちの一人、一之瀬薫子と実家の広間で戦っていた。戦っていたといっても喧嘩などではなく、技も型も関係無しの空手の組手試合のようなものだ。薫子は高校で空手部に入っていて、足は避ける時に使うのみ、手は右手のみののハンデありで私の相手をしてくれている。これでも薫子は前は利き手である右手のみではなく左手のみでやっていたため、そういう意味では進歩したと言えるだろう。
「むぅー…」
普通に考えれば経験者の高校生相手にド素人の五歳児が敵う訳無いのだが、負けず嫌いの私は何度も挑んでは床に倒されるのを繰り返していた。そもそも何故こんなことをしているのかを一言でいうと、大人達はお転婆の私の体力を極力屋敷内で使わせ、裏の畑や山へ遊びに行く機会を減らそうとしているのだ。私はよく勝手に外へ出て自然の中で遊び、土埃とともに帰ってきては母親兼先生のような役割をしてくれている中年の眼鏡のご婦人に服を汚してしまったことや“もっと女の子らしくなさい”等と怒られていたのだ。それよりも私が一番気にくわなかったのが
「本庄家の令嬢がそんなことでどうするのか」
と言われることだった。私は好きでこの家に生まれたわけでも跡継ぎになったわけでも女に生まれた訳でもない。だからといって男に生まれたかった訳ではないが。
そのまま日常は流れ、季節は秋になっていた。私は東京の小学校の入学試験に合格し、十一月中には東京の斎藤家に引っ越すことが決まっていた。そんなある日、私は風邪をひいた。
「全く、昨日は特に冷え込んでいたのに半袖で外で駆け回っているから…」
眼鏡のご婦人が私のおでこに冷たい湿布のような熱冷まし用の外用薬を貼りながら呟く。私はそれを寝たフリをして聞き流す。風邪薬を飲んで数日寝れば熱は下がったが何故か体は重く、以前のように外で遊ぶことはなくなり部屋の中で本を読んで過ごすことが多くなっていった。にも関わらず発熱を何度も繰り返し、寝ていただけでどこにもぶつけたりしていないにも関わらず知らぬ間に体に痣が増え、首の辺りが腫れてきた。
「これは…一度大きな病院で診て貰ったほうが良いでしょうね。東京に引っ越すなら尚更です。紹介状を書きますので、なるべく早く診察を受けて下さい」
地元の町医者の先生に言われ、私は斎藤家に行く前に東京の総合病院へ行くことになった。そこからはよく覚えていない。その日のことで覚えているのはそのまま小児病棟へ入院することになったこと、病室は四人部屋で自分の他には既に三人の子供がいたことくらいだった。
翌日からの私の入院生活は充実していた。食事はおいしいとは言えなかったが中にはおいしい料理もあり、合格した小学校には行けなかったが院内学級というものがあり体調の関係で毎日学校があった訳ではないがそこで最低限の勉強は教えてもらえた。他にも小児病棟と隣接した一般病棟に入院していた大人達が本を読み聞かせてくれたり、同室や他の病室にいる同年代の子達ともすぐに仲良くなった。辛い副作用のある薬や治療もあったが、そんな日常や友達、優しい看護師達や病院のスタッフ達のおかげでなんとか精一杯毎日を送っていた。
入院してから初めての夏が来た。蝉がうるさいのは実家の夏も病院での夏も変わらない。ただ一つ変わったことは常時空調の効いた室内に籠りきりで、窓を開けても窓際に空気のカーテンが出来るようなエアコンがついていて外気をシャットダウンしてしまっていたため今年は夏の暑さを感じることがなかったことだ。ベットの上に座りこうして窓から外を見ると暑そうな日差しを見るだけでも少々うんざりするのだが。
「澪おはよう!」
振り返るとそこには一人の少女が笑顔で立っていた。
「おはよう、ハヅねぇ」
彼女の名前は桐島葉月。私の左隣のベットを使っていて、同室の子供達が彼女のことを“ハヅねぇ”と呼んでいたことから私も彼女をそう呼ぶことにした。歳は一つ上で私が入院している四人部屋のリーダー的存在だ。
「ほらみんな起きてー?朝だよー!今日は看護師さんが来る前に起きて驚かせるんだって言ってたじゃないー」
そう言いながら向かいのベットにいる子供達を起こしている。
「んむ…んんん…ハヅねぇ…?おはよー…」
目を擦りながらおっとりとした口調で話す少年が一人。飯田裕介だ。裕介は体を起こし私と目が合うとヘラッと笑いながら言った。
「あ。おはよう澪ちゃん、今日も外暑そうだね~…」
私はそうだねと返事を返そうとしたのだが、息を吸い込んだ時にはもう裕介は船を漕いでいた。
(今起きたばっかなのに寝るの早くないかな…)
そう思ったのも束の間
「あーーー!!ハヅねぇまた裕介寝てる!!」
裕介の隣、私の斜め左のベットから大声が聞こえる。
「ちょっと誠也!うるさい!!そんなに大きな声を出したら隣の部屋のみんなも起きちゃうでしょ!?」
誠也と呼ばれた少年はハヅねぇに注意されると首を竦めてから頭を下げた。
「あっそうだった、ごめんなさいー…」
昨日から既にうるさい奴だとは思っていたがこの誠也という奴はいつでもうるさいのだろうか。すると担当の看護師さんが来て一人ずつ私達の体温と血圧を測ると暫くして朝食が運ばれてきた。パンと卵焼きと何かの葉のおひたしのようなもので、美味しくもなく不味くもなくとりあえず朝食を終えた。その後は院内学級へ行くために筆記具や借りてきた絵本などを車椅子に積み込む。多少日によって差はあるけれど大体はこんな感じで過ごしていた。
『バッ─…パンッべしぃっ─……ゴン』
「いっったぁーーーーぃ!!!」
「ははは!また澪ちゃんの負けー」
私は親戚のうちの一人、一之瀬薫子と実家の広間で戦っていた。戦っていたといっても喧嘩などではなく、技も型も関係無しの空手の組手試合のようなものだ。薫子は高校で空手部に入っていて、足は避ける時に使うのみ、手は右手のみののハンデありで私の相手をしてくれている。これでも薫子は前は利き手である右手のみではなく左手のみでやっていたため、そういう意味では進歩したと言えるだろう。
「むぅー…」
普通に考えれば経験者の高校生相手にド素人の五歳児が敵う訳無いのだが、負けず嫌いの私は何度も挑んでは床に倒されるのを繰り返していた。そもそも何故こんなことをしているのかを一言でいうと、大人達はお転婆の私の体力を極力屋敷内で使わせ、裏の畑や山へ遊びに行く機会を減らそうとしているのだ。私はよく勝手に外へ出て自然の中で遊び、土埃とともに帰ってきては母親兼先生のような役割をしてくれている中年の眼鏡のご婦人に服を汚してしまったことや“もっと女の子らしくなさい”等と怒られていたのだ。それよりも私が一番気にくわなかったのが
「本庄家の令嬢がそんなことでどうするのか」
と言われることだった。私は好きでこの家に生まれたわけでも跡継ぎになったわけでも女に生まれた訳でもない。だからといって男に生まれたかった訳ではないが。
そのまま日常は流れ、季節は秋になっていた。私は東京の小学校の入学試験に合格し、十一月中には東京の斎藤家に引っ越すことが決まっていた。そんなある日、私は風邪をひいた。
「全く、昨日は特に冷え込んでいたのに半袖で外で駆け回っているから…」
眼鏡のご婦人が私のおでこに冷たい湿布のような熱冷まし用の外用薬を貼りながら呟く。私はそれを寝たフリをして聞き流す。風邪薬を飲んで数日寝れば熱は下がったが何故か体は重く、以前のように外で遊ぶことはなくなり部屋の中で本を読んで過ごすことが多くなっていった。にも関わらず発熱を何度も繰り返し、寝ていただけでどこにもぶつけたりしていないにも関わらず知らぬ間に体に痣が増え、首の辺りが腫れてきた。
「これは…一度大きな病院で診て貰ったほうが良いでしょうね。東京に引っ越すなら尚更です。紹介状を書きますので、なるべく早く診察を受けて下さい」
地元の町医者の先生に言われ、私は斎藤家に行く前に東京の総合病院へ行くことになった。そこからはよく覚えていない。その日のことで覚えているのはそのまま小児病棟へ入院することになったこと、病室は四人部屋で自分の他には既に三人の子供がいたことくらいだった。
翌日からの私の入院生活は充実していた。食事はおいしいとは言えなかったが中にはおいしい料理もあり、合格した小学校には行けなかったが院内学級というものがあり体調の関係で毎日学校があった訳ではないがそこで最低限の勉強は教えてもらえた。他にも小児病棟と隣接した一般病棟に入院していた大人達が本を読み聞かせてくれたり、同室や他の病室にいる同年代の子達ともすぐに仲良くなった。辛い副作用のある薬や治療もあったが、そんな日常や友達、優しい看護師達や病院のスタッフ達のおかげでなんとか精一杯毎日を送っていた。
入院してから初めての夏が来た。蝉がうるさいのは実家の夏も病院での夏も変わらない。ただ一つ変わったことは常時空調の効いた室内に籠りきりで、窓を開けても窓際に空気のカーテンが出来るようなエアコンがついていて外気をシャットダウンしてしまっていたため今年は夏の暑さを感じることがなかったことだ。ベットの上に座りこうして窓から外を見ると暑そうな日差しを見るだけでも少々うんざりするのだが。
「澪おはよう!」
振り返るとそこには一人の少女が笑顔で立っていた。
「おはよう、ハヅねぇ」
彼女の名前は桐島葉月。私の左隣のベットを使っていて、同室の子供達が彼女のことを“ハヅねぇ”と呼んでいたことから私も彼女をそう呼ぶことにした。歳は一つ上で私が入院している四人部屋のリーダー的存在だ。
「ほらみんな起きてー?朝だよー!今日は看護師さんが来る前に起きて驚かせるんだって言ってたじゃないー」
そう言いながら向かいのベットにいる子供達を起こしている。
「んむ…んんん…ハヅねぇ…?おはよー…」
目を擦りながらおっとりとした口調で話す少年が一人。飯田裕介だ。裕介は体を起こし私と目が合うとヘラッと笑いながら言った。
「あ。おはよう澪ちゃん、今日も外暑そうだね~…」
私はそうだねと返事を返そうとしたのだが、息を吸い込んだ時にはもう裕介は船を漕いでいた。
(今起きたばっかなのに寝るの早くないかな…)
そう思ったのも束の間
「あーーー!!ハヅねぇまた裕介寝てる!!」
裕介の隣、私の斜め左のベットから大声が聞こえる。
「ちょっと誠也!うるさい!!そんなに大きな声を出したら隣の部屋のみんなも起きちゃうでしょ!?」
誠也と呼ばれた少年はハヅねぇに注意されると首を竦めてから頭を下げた。
「あっそうだった、ごめんなさいー…」
昨日から既にうるさい奴だとは思っていたがこの誠也という奴はいつでもうるさいのだろうか。すると担当の看護師さんが来て一人ずつ私達の体温と血圧を測ると暫くして朝食が運ばれてきた。パンと卵焼きと何かの葉のおひたしのようなもので、美味しくもなく不味くもなくとりあえず朝食を終えた。その後は院内学級へ行くために筆記具や借りてきた絵本などを車椅子に積み込む。多少日によって差はあるけれど大体はこんな感じで過ごしていた。
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