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一章
二十六話 火花
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エルガ卿がドミナンの邸にやってきてから、三日が経った。一日の休息ののち、兵士達は出立の準備に追われていた。それに準じて、邸の者達もにわかに忙しくなる。
ただでさえ、邸の者達は、通常の業務に加えて、邸に身をおく姫やエルガ卿のもてなしや、兵士達のホロスの面倒など、やるべきことは数え切れぬほどある。邸は上下左右にひっくり返されたような忙しさであった。
「さあ、かかって来い!」
広間にて、エルガ卿が声を張った。忙しくとも、身を鈍らせるわけにもいくまいと、時間を見つけては、兵士達――特に、こういった準備などを必要としない、または武働き専門の――は各々鍛錬をしている。エルガ卿は、列をなし素振りをし身を鍛える兵士達の前に颯爽と現れると、「やあ! 精が出るな」と声をかけた。彼もまた鍛錬をしていたらしく、立派な体躯からはもうもうと熱気が発されていた。
エルガ卿が二、三度、刃の部分に覆いをつけた槍を振り、体をならしていると、ジアンが現れた。ジアンの後ろには、数人の獣人が控えていた。それを確認すると、エルガ卿は先のように叫んだのである。
「遠慮などするな! 一斉にかかってまいれ」
槍を携え、獣人達を手招きする。獣人達の内の幾人かは、身分高きものに取りかかるなど恐れ多そうにしていた。しかし、以前よりこの趣向を知っている獣人は、かまわず、飛びかかった。足の筋がしなり、はじけるような、俊敏な動きで、二歩もかけずにエルガ卿の懐にまで入り込んだ――かに見えた。周囲の兵士が息をのむ。
「!」
エルガ卿は獣人の動きを難なくいなしてみせた。つきだしてきた拳をかわし、腕をつかみ地面に投げ伏せる。獣人は受け身をとるまもなく、地面に打ち当たった。
「どうした! もっとかかって来い!」
獣人達は、四方から一斉に飛びかかった。先の動きに触発されたのか、もはや躊躇はなかった。エルガ卿は、体をひねり槍を大きく一振りした。一人の獣人の胴を脇からすくい投げ、となりの獣人に当て二人を跳ね飛ばした。その勢いのままに、斜め後ろの獣人の足を払い、腕を伸ばし獣人の襟首をつかんで投げた。そのまま槍を捨て、向かってきた獣人の拳を受け止め、押し合った。獣人の太い二の腕に血管が浮いた。二、三拍ほど力比べをしていたが、先に転ばせ投げた獣人達がまた、向かってくるのを見ると「やっ」と叫ぶと同時に押し勝ち、相手のバランスが崩れたところを肩に掌底をくらわせ吹っ飛ばした。投げ、足払いをかけ、抑えこみ、打つ。旋回し、自身は足場を狂わさず、あくまで組み手の範囲の攻撃で、獣人達を押さえ込んでいた。
エルガ卿はさなかに、楽しげに高笑いをした。並外れた動きをしながら、いっさいぶれぬ声であった。
兵士達はいつものことながら感服せざるをえなかった。ジアンは当然のようにその光景を見守っている。並の兵士ではいけない。邸の護衛兵も相手にならない。おしなべて身体能力の高い獣人相手でなければ、エルガ卿の相手はつとまらない。それでも今日は物足りぬくらいだ。音もないかのごとく、動いている。
(まあこのようにのどかな地ではな。高望みしまい)
ジアンはこれからの仕事の算段をつけ、話に来た兵士に指示を出しながらひとりごちた。
「うむ、なかなかに楽しかった!」
「ようございました」
息一つ乱さずに、エルガ卿は満足げに笑った。
「もう戻ってよい」
ジアンの言葉に、獣人達は、頭を下げると仕事に戻っていった。わずかに乱した息を整えて、走る様は、くやしげながら同時に楽しげでもあった。相手をした分おした仕事を思えば、目が回るはずだが、獣人達の本能がさわぐのであろう。
獣人達が自身の身体能力に気づいてはやっかいだと、以前、邸の護衛兵長に苦言を呈されたが、何をのんきなことをとジアンは思う。そんな事、たいていの獣人はとっくに気づいている。気づいた上で、我らに使われ、そして我らは使うのだ。
「今日は天気がよい。日がよいと、体はよく動く」
槍を拾い上げ、汗をぬぐうエルガ卿は、ふと誰ぞかに気づいたらしい。相手もまた、槍を持って素振りをしていた。
「アーグゥイッシュ!」
声をかけるや否や、エルガ卿は突進し、槍をつきだした。相手は声をかける以前より、その闘気に気づいていたらしく、身を翻し、受け流す。互いにすぐさま二撃目を打ち込み、押し合いとなる。二人は後ろに飛び距離をとるとにらみ合った。
「!」
息をのんだのは誰であったか。のみおわるよりも早くに一撃、二撃、三撃が打たれ火花が散りあう。かわし、突き、受け流し、凪払う。目にも止まらぬ二人の打ち合いは、定められた舞を舞うように美しかった。石突きでのエルガ卿の攻撃をアーグゥイッシュが槍で受け、槍を回すと逆手でなぎ払った。
エルガ卿の槍が上空に飛んだ。アーグゥイッシュが、すかさず攻撃を繰り出してきた。
周囲に沈黙が降りる。皆、己の鍛錬を忘れ、魅入っていた。
エルガ卿は、右腕を伸ばし、くるくると回り降りてくる自身の槍を、受け止めた。アーグゥイッシュの槍の穂先は、エルガ卿の左腕にて受け流され、エルガ卿ののどもとをわずかにそれていた。
「見事!」
エルガ卿が破顔し声を高らかに張ったのを見て、緊張が切れたように、兵士達は雄叫びを上げた。意味のわからぬ叫びであった。
「相も変わらず、よい腕だアーグゥイッシュ! 得手ではない槍で、ここまで戦えるとは」
アーグゥイッシュに歩み寄ると、ぽんとその右腕を叩く。アーグゥイッシュは大してこたえてもいない顔で、「もったいないお言葉」と返した。グルジオらの隊と、エルガの隊は、合同で鍛錬をしており、ちょうどいたアーグゥイッシュに、エルガ卿がかかっていったという次第だった。
「ああ、よい刺激となった。アーグゥイッシュ。いい加減くすぶっておらず、その腕をいかしてはどうだ?」
「ありがたい。しかしあいにく、出世には興味がないんですよ」
握手を交わしながらの、エルガ卿の言葉に、アーグゥイッシュは笑って返す。くだけた調子に、ジアンがわずかに眉をひそめたが、エルガ卿は気にした様子もなく、もう一度アーグゥイッシュの腕を叩いて笑った。
「そうか! それは残念だ――ジアン!」
「ええ、エルガ卿。そろそろにございます」
エルガ卿の言葉に、ジアンは心得たりとばかりに返す。どうやら、その為に待っていたようだ。
「やはりか。ではそろそろ俺は失礼する。姫にお会いする時間だ」
ふんふんと鼻歌を歌いながら、エルガ卿はジアンを伴いその場を去った。皆礼でもって、その姿を見送った。アーグゥイッシュはやれやれという風に一息をついて、また鍛錬に戻った。
(まったく、面倒な男だ)
エレンヒルは内心嘆息する。エルガ・ドルミール――この上なく腕が立つ。その腕と腹心のジアンの為に、あの性格でも生きてこれたと言われているほどだ。準備やエルガとの隊との橋渡しなど、もろもろの差配に追われるエレンヒルは、鍛錬の暇もそうとれず、ちょうど通りがかったら、エルガ卿の大立ち回りに行き合ったというわけである。しかし獣人を使うなど、これはまた、邸の者にこちらがどやされるであろう。
(迷惑な御仁だ。それにしても、アーグゥイッシュ)
この男も、また一級の腕を持っている。このような隊におかれるなど、家柄でも腕でもありえない。しかし、そのありえぬがある為に、大いに役立つというのも確かだ。
(あの大神官を単身討ち取ったという言葉に皆から一定の信がおかれるのも、それ故だ)
しかし。
「ノーツ様」
兵士に呼びかけられ、エレンヒルは、ああと返事を返した。兵士は用向きを手振りで伝える。それに応えエレンヒルは、その兵士を追い越し先を歩き出した。そのすれ違った一瞬に、二人の手が重なった。
(大神官は生きている。おそらく――いや、かならず)
受け取った紙片を、手の内に潜めながら、エレンヒルは前を向き歩く。怜悧な美貌を何一つ動かさずに。
ただでさえ、邸の者達は、通常の業務に加えて、邸に身をおく姫やエルガ卿のもてなしや、兵士達のホロスの面倒など、やるべきことは数え切れぬほどある。邸は上下左右にひっくり返されたような忙しさであった。
「さあ、かかって来い!」
広間にて、エルガ卿が声を張った。忙しくとも、身を鈍らせるわけにもいくまいと、時間を見つけては、兵士達――特に、こういった準備などを必要としない、または武働き専門の――は各々鍛錬をしている。エルガ卿は、列をなし素振りをし身を鍛える兵士達の前に颯爽と現れると、「やあ! 精が出るな」と声をかけた。彼もまた鍛錬をしていたらしく、立派な体躯からはもうもうと熱気が発されていた。
エルガ卿が二、三度、刃の部分に覆いをつけた槍を振り、体をならしていると、ジアンが現れた。ジアンの後ろには、数人の獣人が控えていた。それを確認すると、エルガ卿は先のように叫んだのである。
「遠慮などするな! 一斉にかかってまいれ」
槍を携え、獣人達を手招きする。獣人達の内の幾人かは、身分高きものに取りかかるなど恐れ多そうにしていた。しかし、以前よりこの趣向を知っている獣人は、かまわず、飛びかかった。足の筋がしなり、はじけるような、俊敏な動きで、二歩もかけずにエルガ卿の懐にまで入り込んだ――かに見えた。周囲の兵士が息をのむ。
「!」
エルガ卿は獣人の動きを難なくいなしてみせた。つきだしてきた拳をかわし、腕をつかみ地面に投げ伏せる。獣人は受け身をとるまもなく、地面に打ち当たった。
「どうした! もっとかかって来い!」
獣人達は、四方から一斉に飛びかかった。先の動きに触発されたのか、もはや躊躇はなかった。エルガ卿は、体をひねり槍を大きく一振りした。一人の獣人の胴を脇からすくい投げ、となりの獣人に当て二人を跳ね飛ばした。その勢いのままに、斜め後ろの獣人の足を払い、腕を伸ばし獣人の襟首をつかんで投げた。そのまま槍を捨て、向かってきた獣人の拳を受け止め、押し合った。獣人の太い二の腕に血管が浮いた。二、三拍ほど力比べをしていたが、先に転ばせ投げた獣人達がまた、向かってくるのを見ると「やっ」と叫ぶと同時に押し勝ち、相手のバランスが崩れたところを肩に掌底をくらわせ吹っ飛ばした。投げ、足払いをかけ、抑えこみ、打つ。旋回し、自身は足場を狂わさず、あくまで組み手の範囲の攻撃で、獣人達を押さえ込んでいた。
エルガ卿はさなかに、楽しげに高笑いをした。並外れた動きをしながら、いっさいぶれぬ声であった。
兵士達はいつものことながら感服せざるをえなかった。ジアンは当然のようにその光景を見守っている。並の兵士ではいけない。邸の護衛兵も相手にならない。おしなべて身体能力の高い獣人相手でなければ、エルガ卿の相手はつとまらない。それでも今日は物足りぬくらいだ。音もないかのごとく、動いている。
(まあこのようにのどかな地ではな。高望みしまい)
ジアンはこれからの仕事の算段をつけ、話に来た兵士に指示を出しながらひとりごちた。
「うむ、なかなかに楽しかった!」
「ようございました」
息一つ乱さずに、エルガ卿は満足げに笑った。
「もう戻ってよい」
ジアンの言葉に、獣人達は、頭を下げると仕事に戻っていった。わずかに乱した息を整えて、走る様は、くやしげながら同時に楽しげでもあった。相手をした分おした仕事を思えば、目が回るはずだが、獣人達の本能がさわぐのであろう。
獣人達が自身の身体能力に気づいてはやっかいだと、以前、邸の護衛兵長に苦言を呈されたが、何をのんきなことをとジアンは思う。そんな事、たいていの獣人はとっくに気づいている。気づいた上で、我らに使われ、そして我らは使うのだ。
「今日は天気がよい。日がよいと、体はよく動く」
槍を拾い上げ、汗をぬぐうエルガ卿は、ふと誰ぞかに気づいたらしい。相手もまた、槍を持って素振りをしていた。
「アーグゥイッシュ!」
声をかけるや否や、エルガ卿は突進し、槍をつきだした。相手は声をかける以前より、その闘気に気づいていたらしく、身を翻し、受け流す。互いにすぐさま二撃目を打ち込み、押し合いとなる。二人は後ろに飛び距離をとるとにらみ合った。
「!」
息をのんだのは誰であったか。のみおわるよりも早くに一撃、二撃、三撃が打たれ火花が散りあう。かわし、突き、受け流し、凪払う。目にも止まらぬ二人の打ち合いは、定められた舞を舞うように美しかった。石突きでのエルガ卿の攻撃をアーグゥイッシュが槍で受け、槍を回すと逆手でなぎ払った。
エルガ卿の槍が上空に飛んだ。アーグゥイッシュが、すかさず攻撃を繰り出してきた。
周囲に沈黙が降りる。皆、己の鍛錬を忘れ、魅入っていた。
エルガ卿は、右腕を伸ばし、くるくると回り降りてくる自身の槍を、受け止めた。アーグゥイッシュの槍の穂先は、エルガ卿の左腕にて受け流され、エルガ卿ののどもとをわずかにそれていた。
「見事!」
エルガ卿が破顔し声を高らかに張ったのを見て、緊張が切れたように、兵士達は雄叫びを上げた。意味のわからぬ叫びであった。
「相も変わらず、よい腕だアーグゥイッシュ! 得手ではない槍で、ここまで戦えるとは」
アーグゥイッシュに歩み寄ると、ぽんとその右腕を叩く。アーグゥイッシュは大してこたえてもいない顔で、「もったいないお言葉」と返した。グルジオらの隊と、エルガの隊は、合同で鍛錬をしており、ちょうどいたアーグゥイッシュに、エルガ卿がかかっていったという次第だった。
「ああ、よい刺激となった。アーグゥイッシュ。いい加減くすぶっておらず、その腕をいかしてはどうだ?」
「ありがたい。しかしあいにく、出世には興味がないんですよ」
握手を交わしながらの、エルガ卿の言葉に、アーグゥイッシュは笑って返す。くだけた調子に、ジアンがわずかに眉をひそめたが、エルガ卿は気にした様子もなく、もう一度アーグゥイッシュの腕を叩いて笑った。
「そうか! それは残念だ――ジアン!」
「ええ、エルガ卿。そろそろにございます」
エルガ卿の言葉に、ジアンは心得たりとばかりに返す。どうやら、その為に待っていたようだ。
「やはりか。ではそろそろ俺は失礼する。姫にお会いする時間だ」
ふんふんと鼻歌を歌いながら、エルガ卿はジアンを伴いその場を去った。皆礼でもって、その姿を見送った。アーグゥイッシュはやれやれという風に一息をついて、また鍛錬に戻った。
(まったく、面倒な男だ)
エレンヒルは内心嘆息する。エルガ・ドルミール――この上なく腕が立つ。その腕と腹心のジアンの為に、あの性格でも生きてこれたと言われているほどだ。準備やエルガとの隊との橋渡しなど、もろもろの差配に追われるエレンヒルは、鍛錬の暇もそうとれず、ちょうど通りがかったら、エルガ卿の大立ち回りに行き合ったというわけである。しかし獣人を使うなど、これはまた、邸の者にこちらがどやされるであろう。
(迷惑な御仁だ。それにしても、アーグゥイッシュ)
この男も、また一級の腕を持っている。このような隊におかれるなど、家柄でも腕でもありえない。しかし、そのありえぬがある為に、大いに役立つというのも確かだ。
(あの大神官を単身討ち取ったという言葉に皆から一定の信がおかれるのも、それ故だ)
しかし。
「ノーツ様」
兵士に呼びかけられ、エレンヒルは、ああと返事を返した。兵士は用向きを手振りで伝える。それに応えエレンヒルは、その兵士を追い越し先を歩き出した。そのすれ違った一瞬に、二人の手が重なった。
(大神官は生きている。おそらく――いや、かならず)
受け取った紙片を、手の内に潜めながら、エレンヒルは前を向き歩く。怜悧な美貌を何一つ動かさずに。
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