姫君は、鳥籠の色を問う

「時が何を運ぶかなんて、誰にもわからない、僕も知らない。けれどね、可愛い子、お前はいつか知る時が来る。それだけは、僕にもわかっているんだよ。」

 ネヴァエスタの森は一度迷い込んだら出られない。一面黒に覆われて光も差さない、魔性の森だという。
 しかし、その曰く付きの森で育った少女、ラルは確かに光を感じていた。物心ついたときから側にいる世話人、シルヴァスは謎の多き存在ながら、優しく育んでくれる。隠し事の多さに不満はあれど、ラルは、幸せだった。
 16の歳、その森に闖入者が現れた。

「お待ちもうしておりました、姫君」

 カルデニェーバ王国の姫。
 流行病や不可思議な死により世継ぎを次々失った王国の、最後の希望。その者たちはラルをそう呼んだ。
 
 乱暴ながら腕の立つアーグゥイッシュ、紳士的ながら読めないエレンヒルらの警護のもと、わけのわからぬまま王宮へと向かうことになる。

 しかし、問題はそれだけでは終わらなかった。

 カルデニェーバは、マルフィウスとフォクスラゴーナ、二大貴族の権力争いを繰り広げられていたのだ。
 世継ぎ騒動に、貴族の陰謀。人の欲望のなかに突如投げ込まれることとなったラル。

「わたしは何を信じたらいいの?」

 今までの平穏は崩れ、ラルは運命に翻弄されていくこととなる。
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