ふたりの愛らぶyou

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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俺はね…。

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タクシーの中で、美咲さんにメールをした。

[どうか、星(ひかる)の傍にいてもらえませんか?俺は、今から兄に会って全て話してきます。どうなるかわからないんです。だから、星の傍にいてあげて欲しいです。宜しくお願いします。]

それを送って、電源を切った。

化け物が、どうなるか知らない。

昨日、栞か華君に聞いておけばよかった。


流星は、俺の指を食べようとしてる。

「食べて、いいよ。」

俺の言葉に流星は、指を離した。

「月、ごめん。」

まだ、まともなのは流星の方だ。

俺だったらもっとしていた。

「大丈夫。」

「月の気持ちを聞かせて。」

流星は、俺の指をハンカチで拭いてくれてる。

「俺は、流星を愛してるよ。だけど、この愛が怖いんだよ。流星を食べてしまいたい。いや、いっそのこと流星と消えてしまいたい。そう願ってしまうんだ。」

「月、俺も同じだよ。月といなくなりたい。そしたら、兄弟じゃなくなれるだろ?あの家に居るのが苦しくて、辛い。愛を与えないといけないから、苦しいんだ。だから俺は、最近バーに通ってる。星さんの好きな人もよく会う。話を聞いてもらってる。既婚者で、男の人が好きな人達が多く居て話を聞いてもらえるんだよ。」

バーって、何?

星が、お皿を割った音が聞こえたのか、月(るい)の心(なか)の化け物が、暴れ始めた。

「流星、俺を愛してんのに出会い探しに行ってんのか?」

流星の胸ぐらを掴む。

「月、行ってないよ。出会いなんて、探してないよ。」

「嘘をつくな。俺に愛されないからってお前は別の誰かを求めてるんだろうが」

「求めてないよ。月しかいらないよ。」

流星が、泣いてる。

「じゃあ、証明しろ。俺しかいらないって証明してみせろ」

「どうしたら、いいの?」

胸ぐらを掴んだ腕を離す。

手を掴んで、引っ張ってく。

「痛いよ、月」

家の近所の月丘(つきおか)公園で会っていた。

俺は、流星をトイレに連れて行く。個室に入って、鍵を閉めた。

「月、怒ってるの?」

「俺じゃなくてもいいんだろ?流星は、慰めてくれるなら誰だっていいんだろ?」

「よくない、月じゃなきゃよくない。」

「じゃあ、死のう。」

「えっ?」

「俺と死のうか」

ネクタイを外して、流星に渡す。

「ほら、そっちも貸せ」

俺は、流星のネクタイをはずす。

「先に、どっちが逝く?」

流星の目から涙がポタポタ落ちる。

「俺が先に…」

流星は、俺の手を持ってネクタイを首にあてる。

「嬉しいよ、月。もう、苦しまなくていいね。」

泣きながら、微笑む。

(おかえりとただいまは、僕に下さい。)

ズキン、胸に痛みがはしった。

「出来ない。」

ガタガタと膝が震え出す。

「月、いいんだよ。」

「駄目だよ。流星」

脳の一部で、星の声がした。

「どうして?」

「約束してるんだ。俺は、ただいまを持って帰らないといけないんだ。」

「月、星さんの所に帰りたいんだね。」

流星が、兄貴の顔になってる。

「ごめん、流星。俺、流星を愛してるけど。怒りが沸くとコントロールがうまくできない。飲まれてしまう。うまく、この気持ちを飼い慣らせない。でも、愛してるよ。傍にいれなくても、流星を愛してる。だから流星は、俺から放(はな)れた所で、生きていてよ。」

「月に触(ふ)れたい。抱き締めたい。キスしたい。もう出来ないの?」

「出来るよ。キスは、頬ぐらいだけど。それなら、大丈夫だったから…。」

俺は、流星のネクタイを締めてあげた。

「今日は、いい?」

「うん」

流星は、俺にキスをしてきた。

「流星、バーで誰かを探さないで」

「探さないよ。月しかいらない」

流星は、また俺にキスをした。

冷たい俺の唇を流星の舌が、開けてく。

もっとして欲しい。

その舌を食べてしまいたい。

駄目だ、駄目だ。

流星も同じ気持ちなのがわかる。

唇を離してくれた。

流星は、俺を力一杯抱き締める。

駄目だ。俺は、駄目だ。

「月、愛してるよ。」

また、キスをされた。

今度は、俺から唇を離した。

「流星、もうこれ以上は駄目だよ。」

「わかってる」

「勝手に終らせるのは、やめてくれ。俺は、流星とまたこうやって会いたいよ。キスなんかしなくたっていい。流星が、生きていて笑ってくれる。それだけを見れればいい。兄弟に戻ってもいい。だけど、お願いだよ。他の男にだけは、行かないで。男は、俺で最後にして」

泣きながら、流星の頬を撫でる。


「約束するよ」

流星は、俺の涙を拭ってくれた。

ガチャ

個室トイレから出た。

「じゃあね、月」

「気をつけて、流星」

俺は、流星と別れて歩き出した。

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