なろう110000PV☆不純異性行為～月と星が交わる場所へ～あの時の二人を救ってくれたのは紛れもなくこの愛でした～【皆月凛、星村拓夢編】

凛の最初の話【１】

再会

ヤバイ、泣きそうだ。

私は、駅の改札口を抜けてホームのベンチに腰かけて電車が来るのを待っていた。

「あの」

「えっ？」

隣に座った人が、ハンカチを差し出してきていた。

「何ですか？」

「声かけるタイミングなくして…。これ、落としたから」

「あっ！！」

顔を上げるとさっきの人がいた。

差し出されたのは、鞄についていた小さな赤ちゃんのキーホルダーで、私の大好きなやつだ！

「わざわざありがとうございます」

どうやら、ぶつかった拍子にちぎれていたらしい。

「いや！全く振り返らないから…。ここまで、来ちゃった」

「あの、お礼させて下さい。珈琲、おごります」

「その前に、涙拭いたら」

「あっ、すみません」

「謝らないでいいから」

私は、ハンカチを借りた。

涙を拭きながら、自己紹介をする。

「私の名前は、皆月凛(みなづきりん)です」

「俺は、星村拓夢(ほしむらたくむ)」

「宜しくお願いします」

「よろしく」

差し出された手を握りしめた。

長くて綺麗な指先だった。

これが、拓夢と私の出会いだった。

「あの、食事とかお茶とかお礼します」

「いいよ！わざわざ」

「いえ、本当に！させて下さい」

「わかった」

拓夢は、私に連絡先を教えてくれた。

ガタンガタン……

電車が、やってきた。

「乗ります？」

「うん」

電車に乗り込んで、並んで座る。爽やかな拓夢の香水が、いつの間にか私の涙を止めてくれていた。

「次で、降りる」

「はい」

「明日、会おうよ」

「はい、是非」

「じゃあ、店！こっちが決めても？」

「勿論です」

「わかった」

拓夢は、次の駅で降りて行った。

人生は、どうなるかなんてわからない。

私は、降りる拓夢を見つめていた。

その駅から二駅先で、私は降りた。

改札口を抜けて歩き出す。

いつものスーパーに寄った。

何食べようかな？私の癒しさん、発見。

スーパーにいる、女の子みたいな男の子！年齢的に自分の子供でもおかしくないであろう高校生だ。いつもは、夜にいるのだけれど…。ただいま、夏休み中なので昼間もいる。私は、彼を視界にいれながら買い物をする。あんな可愛らしい男の子を産んで育てられたら幸せなのに…。涙が出そうになるから、さっさとレジに向かった。今日は、見るのはやめよう。いつもなら、嬉しい行為が…。
今日に限っては、苦痛だった。

買い物を済ませて、家に帰る。家の鍵を開けて、玄関に座り込んだ。

産めない人生なんていらなかった。赤ちゃんを授かれない人生なんていらなかった。私は、赤ちゃんが欲しかった。どんな事をしても、欲しかった。

拓夢に借りたハンカチで涙を拭っていた。

切り替えなきゃ……。