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凛の最初の話【1】
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「皆月さんが、どうして昨日から泣いているのか教えて欲しい」
「えっ?対した事ないよ!全然、対した事ない」
「それでも、知りたいんだ」
その言葉に、私は涙目で拓夢を見つめる。
「私ね、治療しないと赤ちゃん出来ないの。だけどね、昨日ね。お医者さんから治療も出来ないって断られたの」
「どうして?」
「副作用が人より多く出ちゃう体質らしくて、今処方されてた薬でこれだけの副作用が出るなら無理だって言われたの。だから、諦めるしかなくなった」
「でも、諦めきれない?」
「そうなんだと思う。だって、何の為に女でいるのか…。何の為に結婚したのか…。わからなくなっちゃったんだ。治療が終わりって言われたら、私は結局ポンコツだったって認めなくちゃならなくて…。でも、夫とはいたくて…。でも、でも、でも」
セックスは嫌いなの何て、出会って二回目の人に言う言葉じゃないよね。
拓夢は、私の涙を指で拭ってきた。
「でも、セックスは嫌い?」
「えっ?」
「旦那さんとするセックスは、期待しかしないから嫌いなんでしょ?」
「何でわかるの?」
「わかるよ!俺もメンバーといると期待するから…。何度も最終まで選ばれたから…。だから、あいつ等といると期待しちゃうんだ。だから、解散しようって俺から言ったんだ」
「同じだね」
手に取るようにお互いの考えが理解できた。その苦しみを痛みを悲しみを取り除きたくて、取り除いてあげたくて…。気づいたら、拓夢も泣いていて…。
気づいたら私は、拓夢の頬の涙を拭っていた。
「凛さん」
そう言われて、ドキッとした。
「拓夢君」
いけない事だなんてわかってる。
「俺、ドキドキしてる。聞いて」
そう言って、拓夢は私の手を心臓に持ってく。
どっちの心臓の音かわからないぐらいにうるさい。
「凛さん、忘れさせて」
「えっ?」
「バンドの事とか幸せに思えない日々とか切望しても叶わない願いとか…。全部忘れさせて欲しい」
「拓夢君」
「ごめん、変な事言ったよね!」
離れようとする拓夢君の腕を掴んでいた。沼の中にハマっていきたい。全部消したい。
「凛さん、いいの?」
「裏切りなのは、わかってる。でも…」
拓夢は、理解した顔をした。
「凛さん」
そう言われて、キスをされる。ゆっくりと優しく舌を絡ませられる。
「ハァー」
吐息がもれる。私の胸に右手を当てる。大人はまどろっこしさがなくてシンプルだ。すぐに、セックスをしようとする。若い時とは違う。拓夢は、左手で腰を引き寄せる。
「ハァ、駄目」
私は、止めた。
ただ、カラオケでしたくはなかっただけ…。
「ごめん、がっつき過ぎた」
「こんなおばさんに何言ってるの?」
「おばさんじゃないから、綺麗だよ」
そう言って、手を握りしめられた。
「えっ?対した事ないよ!全然、対した事ない」
「それでも、知りたいんだ」
その言葉に、私は涙目で拓夢を見つめる。
「私ね、治療しないと赤ちゃん出来ないの。だけどね、昨日ね。お医者さんから治療も出来ないって断られたの」
「どうして?」
「副作用が人より多く出ちゃう体質らしくて、今処方されてた薬でこれだけの副作用が出るなら無理だって言われたの。だから、諦めるしかなくなった」
「でも、諦めきれない?」
「そうなんだと思う。だって、何の為に女でいるのか…。何の為に結婚したのか…。わからなくなっちゃったんだ。治療が終わりって言われたら、私は結局ポンコツだったって認めなくちゃならなくて…。でも、夫とはいたくて…。でも、でも、でも」
セックスは嫌いなの何て、出会って二回目の人に言う言葉じゃないよね。
拓夢は、私の涙を指で拭ってきた。
「でも、セックスは嫌い?」
「えっ?」
「旦那さんとするセックスは、期待しかしないから嫌いなんでしょ?」
「何でわかるの?」
「わかるよ!俺もメンバーといると期待するから…。何度も最終まで選ばれたから…。だから、あいつ等といると期待しちゃうんだ。だから、解散しようって俺から言ったんだ」
「同じだね」
手に取るようにお互いの考えが理解できた。その苦しみを痛みを悲しみを取り除きたくて、取り除いてあげたくて…。気づいたら、拓夢も泣いていて…。
気づいたら私は、拓夢の頬の涙を拭っていた。
「凛さん」
そう言われて、ドキッとした。
「拓夢君」
いけない事だなんてわかってる。
「俺、ドキドキしてる。聞いて」
そう言って、拓夢は私の手を心臓に持ってく。
どっちの心臓の音かわからないぐらいにうるさい。
「凛さん、忘れさせて」
「えっ?」
「バンドの事とか幸せに思えない日々とか切望しても叶わない願いとか…。全部忘れさせて欲しい」
「拓夢君」
「ごめん、変な事言ったよね!」
離れようとする拓夢君の腕を掴んでいた。沼の中にハマっていきたい。全部消したい。
「凛さん、いいの?」
「裏切りなのは、わかってる。でも…」
拓夢は、理解した顔をした。
「凛さん」
そう言われて、キスをされる。ゆっくりと優しく舌を絡ませられる。
「ハァー」
吐息がもれる。私の胸に右手を当てる。大人はまどろっこしさがなくてシンプルだ。すぐに、セックスをしようとする。若い時とは違う。拓夢は、左手で腰を引き寄せる。
「ハァ、駄目」
私は、止めた。
ただ、カラオケでしたくはなかっただけ…。
「ごめん、がっつき過ぎた」
「こんなおばさんに何言ってるの?」
「おばさんじゃないから、綺麗だよ」
そう言って、手を握りしめられた。
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