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拓夢の最後の話2

これから、よろしくね

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俺達は、書類に目を通してサインをした。

「書けたかな?」

「はい」

相沢さんは、書類を受け取って頷いていた。

「これから、よろしくね」

『よろしくお願いします』

俺達は、頭を下げる。

「堅苦しくなくていいって」

そう言って相沢さんは、笑った。

「よし!契約も終わったから!これからについて話そう」

そう言って、相沢さんはパンッと手を叩いた。相沢さんは、新しい紙を俺達に配る。

「4日後、ジャケット撮影とPVの撮影を始める」

「はい」

「松田君にさっき話したんだけどね!松田君の彼女と星村君の譲れない彼女をPVに出演させる事になった」

「はい」

「そして、ジャケット写真は星村君の譲れない彼女でって話したんだけど…。ここまでは、いいかな?」

「はい」

相沢さんは、そう言いながら資料を読んでいる。

「ジャケットの一枚目の写真に、星村君と彼女をって話していて…。その絵にあるみたいに、横向きに寝てもらって…」

相沢さんが資料の説明をしているのを俺は、ぼんやりと聞いていた。

「じゃあ、それでお願いできるかな」

「はい」

あんまり耳に入ってきていなかった。

「また、4日後よろしくね」

「はい」

「じゃあ、今日はこれで終わり。気をつけて帰って」

「ありがとうございました」

俺達は立ち上がって、相沢さんに頭を下げた。

「堅苦しくなくていいって」

コンコンー

「失礼します。相沢さん、すみません」

「今行く!じゃあ、よろしくね」

相沢さんは、そう言って笑いながらいなくなった。

「帰ろうか」

「うん」

まっつんの言葉に俺達は、資料をしまってから部屋を後にする。本当にデビューするんだ。でも、何か実感が湧かない。社内は、誰もいなかった。俺達は、「失礼しました」と小さく呟いて頭を下げてから事務所を出た。

「あのさ智と話すの、俺と拓夢で行きたいんだけど…」

エレベーターのボタンを押しながら、まっつんはそう言った。

「俺は、構わないよ!しゅんは?」

「俺もいいよ」

二人の言葉にまっつんは、小さく「ありがとう」と言った。

「拓夢、それでいい?」

「うん」

まっつんに聞かれて頷いていた。

ピコンー

エレベーターがやってきて乗り込んだ。

「実感湧かないよなー」

かねやんは、伸びをしながらそう言った。

「確かに、全然湧かないよ」

「なぁ、しゅん!せっかくこっちきたからカレー食って帰ろうぜ!この前、雑誌で見たやつ」

「行きたい!行きたい!」

しゅんとかねやんは、盛り上がっていた。

ピンコンー

エレベーターを降りて俺達は、ビルを出た。

「じゃあ、また教えてくれよ!まっつん」

「うん、気をつけてな」

「うん、バイバイ」

「バイバイ」

かねやんとしゅんは、カレー屋さんの話をしながらいなくなってしまった。


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