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エピローグ【拓夢の話2】

最後の日に…

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俺は、凛の口から指を抜いた。

「拓夢…」

「最後に、俺にもしてよ」

「うん」

とろりと溶けた表情をしているのが暗くてもわかる。

「頭洗ったりしなきゃ!電気つけないと無理だよな!俺、目つぶってようか?」

凛は、俺の手を握りしめた。

「こんな体だけど、覚えていてくれる?」

その言葉に、俺は凛の手を強く握りしめる。

「電気つけて」

「わかった」

俺は、湯船からあがって電気をパチリとつけた。俺が、湯船に戻ると凛は湯船から上がった。引き締まってるわけじゃなくて、ムチッとしている。でも、その感じが俺は、堪らなく好きだった。

「あんまり見ないで、おばさん体型だから恥ずかしい」

「俺は、それが好きだよ」

「若い人の細い感じがいいに決まってるよ」

「それは、好みの問題だよね」

俺は、凛が風呂椅子に腰かけるのを見つめていた。

「拓夢は、美紗さんと付き合ってたんでしょ?彼女は、スタイルよかったよ」

「スタイルなんか気にした事はないかな!俺は好きになった人がタイプだから…。太ってようが痩せてようが気にしないけど」

そう言った俺を凛はジッと見つめてくる。

「じゃあ、私が100キロでも愛せる?」

「愛せる」

「嘘だよ!100キロだよ!今より40うんキロ重いんだよ」

「凛は、今、55キロ以上はあるって事だなー」

「体重の話なんかしてない!!」

凛は、そう言って頬を膨らませてる。

「100キロの話してなかった?」

「そうだけど…」

「風邪ひくよ!髪洗わないと」

俺は、そう言ってシャワーの蛇口を捻る。

「100キロだよ?」

「だから、何?」

「本当に愛せるの?」

「あのね!俺は、凛が100キロでも愛してるよ!出会ったあの日にそうだったとしても、故意をしていたよ」

俺は、凛の髪をシャワーで濡らす。

「人は、見た目が全てでしょ?私が、100キロだったら、拓夢は私に興味をもたないよ」

俺は、シャンプーを手に取って軽く泡立ててから凛の髪につける。

「実際、凛が100キロじゃないから想像は出来ない。でもね、少なくとも俺は見た目が全てだとは思わない。話をして、興味を持つか持たないか…。俺はね、言葉を大事にしてる」

そう言って、凛の髪を優しく流した。

「言葉?」

リンスをとって、凛の髪につける。

「そう!その人が発する言葉に惹かれるか惹かれないか…。出会って、少し会話を交わしただけでわかるんだ。だから、俺は俺に興味を持って近づいてくる人とは必ずコミニュケーションをとる。言葉や話し方や温度…。それを受け取って、付き合えるか、付き合えないかを俺は決めてるんだ」

俺は、凛の髪を丁寧に流してあげる。

「温度って何?」

凛は、そう言って俺を見つめる。

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