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エピローグ【凛の話3】

駆け抜ける時間…

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最寄りの駅に着く。拓夢は、私の手をひいて電車を降りて行く。ここからの時間は、映画やドラマなんかで音楽が流れて背景みたいに物語が進んで行くみたいな感じだった。

「何する?」

「拓夢が決めて」

「わかった」

改札を抜けて、どんどん歩いてく。

「プリクラ撮ろうか?」

「いるかな?」

「いるよ!思い出」

そう言って、プリクラを何十年ぶりに撮った。

「盛られ過ぎてない?」

「凛と俺、目がめちゃくちゃ大きいな」

「そうだね」

「最近、撮ってなかったけど面白いな」

「うん」

「後で、分けよう」

「うん」

拓夢は、鞄にプリクラをしまった。

「じゃあ、次行こう」

そう言って、私の手をひいていく。入ったのは、洋服屋さんだった。拓夢は、私のコーディネートをしてくれる。

「これかな?これもいいな!凛は、こっちか?」

たくさんの服を私に合わせるように見てる。

「これいいかもな」

「可愛い」

「試着して来てよ」

「可愛すぎない?」

「大丈夫だって」

拓夢に、そう言われて私は試着した。

「どうかな?」

「やっぱり、凛に似合ってる」

「そうかな?」

「バッチリだよ」

鏡の中に映る自分は、別人みたいに可愛かった。私が選びそうにない服を着て、頬を赤く染めてる。試着室で、服を着替えて出ると拓夢がそのまま買ってくれた。

「ありがとうございました」

店員さんに見送られながら、店を出た。拓夢は、手を繋いで歩く。

「クレープ屋さん行きたいから…。そろそろ!昼御飯にしようか?」

「うん!そうだね」

拓夢は、さっきの洋服屋さんの紙袋を持ってくれてる。私は、拓夢に手をひかれてく。ずっと恋人繋ぎをされてる左手。薬指には、ちゃんと結婚指輪をはめたまま。

「ここ」

「いい匂いする」

「確かに、するよな!」

拓夢が連れてきてくれたのは、トンカツ屋さんだった。

「ここのヒレカツが美味しいって書いてたから気になってて」

「へー」

昼時には、まだ少し早いから並ばなくてすんだ。昼時には、行列が出来てるんだよと拓夢が話してくれる。ヒレカツセットを頼んで、食べる。頭の中をあの日拓夢が歌ってくれた歌が流れてく。映画やドラマなら、クライマックスに向かってる。私と拓夢も、終わりに向かって進んで行ってるのがわかる。
トンカツ屋さんを出るとスッと拓夢は手を繋いでくれる。恋人みたいに、はしゃぎながら話す。クレープ屋さんを見つけて、二人で注文する。それを食べながら、街を歩く。食べ歩きって、あんまりした事がなかった。でも、楽しい。拓夢と過ごす時間が楽しい。

「美味しいな」

「うん、美味しい」

クレープを食べてるのに左手はしっかりと手を繋いだまま。

「食べにくくない?」

「食べにくいけど、離したくない」

そう言って、拓夢は笑った。どんどん、どんどん歩いてく。

帰りたくない。終わりたくない。それでも、拓夢にもっと、もっと触れたい。

「最後は、ここ」

向こうとは違う。一目でそれとわからないような見た目をしている。
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