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エピローグ【拓夢の話3】

買い物をして帰宅

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「買う物決まってるから」

凛の言葉に、俺は買い物かごを持った。

「入れていっていい?」

「うん」

俺は、凛の後ろをついて歩いて行く。さすが、凛は主婦だ。

どんどん買い物かごに商品が入れられていく。俺は、それを見つめている。

「材料は、これで大丈夫だよ!」

最後の卵のパックを乗せて、凛が俺にそう言った。

「じゃあ、帰ろう」

俺は、凛の手を引いてレジに向かった。

「いらっしゃいませー」

ギャルの店員さんが、気だるそうにしながらレジをしてくれていた。お会計が表示され「クレジットで」と言って支払った。

「ありがとうございましたー」

俺は、お辞儀をしてかごの商品を袋につめる。何も言わなくても、札のようなものを入れるだけで袋をくれるこのスーパーは便利だと思った。ビニール袋に、商品を詰め終わる。

「スーツ持つよ」

凛が、そう言ってくれるけれど、俺は「大丈夫」と笑った。
どうせ、すぐにタクシーに乗るのだから…。今、両手が塞がっていてもいいと思ったからだ。

凛は、スーツと服の紙袋を持った俺の腕に腕を絡ませてきた。

「こうしたら、手を繋がなくても大丈夫でしょ?」

そう言った凛の顔が可愛すぎて、今すぐ抱き締めたかった。俺は、恥ずかしいのがバレないように「そうだね」と言って笑った。

凛の胸が腕にあたる。心臓がドキドキと鼓動を叩いてるのを感じる。

「タクシー乗ろう」

「うん」

駅前のロータリーにつくとタクシーが数台止まっていた。俺と凛は、タクシー乗り場でタクシーに乗る。

「どこまで?」

おじさんに言われて、俺は住所を伝える。

「はい、はい」

タクシーの運転手さんは、そう言ってドアを閉めて走り出した。俺は、荷物を床に置いてシートベルトをする。

「ご夫婦?」

「えっ、あ」

「はい、そうです」

うまく言えない俺の代わりに凛がそう答えた。

「いいね!美男美女だね。羨ましいよ。私は、女房とそんな風にもう出掛けないからね」

タクシーの運転手さんは、そう言いながら笑っていた。
俺は、凛が夫婦だと言ってくれた事が嬉しくて、顔がにやけそうになる。

「二人は、新婚さんでしょ?」

「あっ、はい」

「やっぱりなー。そんな感じがしたんだ。まだ、一年いかないぐらいかな?」

「はい」

「いいねー。今が一番幸せな時間だよ!大切にしないとね!いやー、本当。羨ましいなー」

タクシーの運転手さんは、そう言いながらニコニコ話してるのが伝わる。この人の前では、凛と夫婦に見えている事が、俺は凄く嬉しかった。

凛は、俺が膝においてる手を握りしめてくる。俺は、ドキドキがバレないようにそっと握り返した。暫くすると「ついたよ」と言われた。

俺は、料金を払う。

「色々あるけど、夫婦仲良くね!嫁さんを大事にするんだよ」

運転手さんは、お釣りを俺に渡しながらそう言ってくれる。

「はい、ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとうございました」

ドアが開いて、俺と凛はタクシーから降りる。タクシーは、すぐにいなくなってしまった。

凛は、さっきみたいに腕を絡ませてくれる。
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