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エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】

後で、行くから【拓夢】

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「星村君、凛さんを送ってから家に行くから、もう帰りなさい」

俺は、相沢さんにそう言われる。

「わかりました」

俺は、何も言えずにそう言った。

「拓夢、ごめんね。私のせいで…」

「何で、凛が謝るんだよ!凛は、何も悪くないよ」

「私がわがまま言わなかったら…」

「そんなの関係ない」

俺は、気づくと凛の手を握りしめていた。

「どうぞ!お別れして下さい」

相沢さんは、そう言って俺達から背を向けた。

「凛、ありがとう。楽しかったよ!」

「私も楽しかった」

「忘れないから、この日々を…」

「私も忘れない」

俺は、凛を引き寄せてギュっと抱き締めた。

「凛、いつでも連絡して…」

「うん」

「これから先は、幸せだから…。絶対」

「うん」

「ずっと、ずっと、友達でいよう」

「うん」

俺は、凛から離れた。

右手の小指を凛に向けた。

「約束」

「約束」

そう言って、俺達は指切りをした。

「相沢さん、凛をよろしくお願いします」

俺の言葉に、相沢さんは振り返った。

「勿論ですよ!きちんと送ります。では、また後で」

「はい」

俺は、相沢さんと凛がいなくなるのを見つめていた。小さくなって、二人はいなくなった。

「はぁー」

ため息をついて、来た道を引き返す。
さっき写真を撮られた時にハッキリと気づいた。俺は、もう一般人じゃない。だからこそ、凛を傷つけてしまうのがわかった。
皆月龍次郎さんが、最後にくれた時間を俺は凛と有意義に使う事が出来た。それでも、まだ一緒にいたいと思う気持ちを拭いきれないのは、凛を愛しているからだと思う。

ブー、ブー

コートのポケットにあるスマホを手に取った。

「もしもし」

『あっ!今、大丈夫か?拓夢』

「あっ、うん」

電話の相手は、明らかに暗い声のまっつんだった。

『理沙との結婚。暫く、無理そうだわ』

「何で?」

『あいつが、週刊誌に売ったらしい』

「まっつんと理沙ちゃんを?」

『いや、それだけじゃないって話』

「SNOWROSEがヤバいのか…」

『どうやら、そんな感じだな』

まっつんは、そう言いながら泣いてる。

「お金が欲しかったのか?」

『そうだろうな』

「そっか」

俺は、さっき何故写真を撮られたのかが理解出来た。

『拓夢。あいつがいなきゃ俺は産まれてない。だから、やっぱり俺…。そこだけは、あいつに感謝してるんだ』

「うん」

『だから、憎み切れないんだよな。最後が甘いって言うかさ』

「俺は、いいと思うよ!憎んでるまっつんより、感謝が出来るまっつんの方が好きだよ」

『ありがとう』

まっつんは、そう言って泣いていた。

「心配すんなよ!大丈夫だって」

『拓夢、これが落ち着いたら。俺、理沙とちゃんと結婚するから…』

「うん」

『拓夢と凛さんに迷惑かかるかも知れない。大丈夫か?』

「気にすんなって!俺と凛は、ちゃんと終わったから」

『終わった…のか?』

「うん。終わらした」

俺の言葉にまっつんは、『そうか』とだけ言った。

『また、明日な』

「うん、じゃあな」

まっつんと電話を終える頃には、家の前についていた。俺は、鍵を開けて玄関に入った。

扉が閉じた瞬間、俺は膝から崩れ落ちた。

「本当に終わったんだな」

実感がいっきに押し寄せてきて、俺は暫く玄関から動けずにいた。

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