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初めて見つけた日と現在

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俺が、理名さんを見つけたのは、理名さんがコンビニで働き出してすぐだったんだと思う。

仕事帰りの理名さんを見つけたんだ。

あの時は、車じゃなくて歩いていた。

【めっちゃくちゃ、綺麗な人】

「駄目だー、泣くな。頑張れ、私」

人が見えなくなると、独り言を話していた。

気持ちを、押さえきれなかったんだと思う。

「何でかなー、何で、駄目だったのかな」

ずっーーと、ずっーーと涙を流していた。

足が痛くなったからか、途中で休憩をしていた。

抱き締めてあげたいと思った。

ずっと、泣いていた。

「私も、あの未来が欲しかったのにな」

ベビーカーの子供連れを見つめながら、泣いていた。

願いを叶えられない気持ちを俺も知っている。

俺も、あの赤ちゃんみたいに愛されたかった。

だからかな?

あなたの気持ちが、よくわかるよ。

親を選んで産まれてくるのだとしたら、俺は貴女の子供に産まれたかった。

立ち上がって、その人はまた歩き出す。

足が悪いから、休み、休み歩く。

俺は、それについて行った。

歳なんかわからなかった。

おばさんだとも、思わなかった。

ただ、泣いてる

その人は、綺麗で

引き寄せられたのは、本当で

一瞬で、人を好きになった。

この恋を、否定されたくなくて

誰にも話さなかった。

もちろん、あの人にも話すつもりはなかった。

次の日、あの人がコンビニの制服を着て仕事をしてるのを見たんだ。

俺は、あの人と関わりたかった。

悪い事だけど、自動販売機の下やどこかにお金が落ちてないか探した。

見つけたお金で、駄菓子のガムを一つだけ買うんだ。

そしたら、何日もあの人に会えた。

何日か通って、あの人がおおこうちさんだって知った。

何日か通って、あの人が結婚してるのを知った。

何日か通ってあの人の休みが、日曜日と月曜日だと知った。

「日曜日休まなくてもいいんですけど」

あの人が、店長さんに話してるのを聞いた。

「大河内さん、夫婦二人でしょ!大事にしなくちゃ。旦那さん日曜日休みでしょ?土曜日は、隔週って言ってたじゃない。出張もたまにあるって。だから、日曜日ぐらい一緒にいなくちゃ」

「ありがとうございます。」

「理名さん、若手が日曜日でますから、気にしないで」

「緑ちゃん、ごめんね」

あの人の名前が、理名って知った。

もう、俺の中にはあの人がいっぱいで破裂しそうだった。

だから、あの日、声をかけた。

もしかしたら、あの人が言うみたいに母親の代わりにしてたのかも知れない。

でもね、今だって理名さんが好きだよ。

もう、62歳だけどね。理名さん

母親の代わりでもあったけど、初恋の人でもあったんだよ。

俺の20年間は、最初の10年間よりも数億倍幸せだった。

俺、毎日思ってた。

明日、死んじゃうのかな?って…

だけど、気づけば30歳になってた。

理名さんと優生さんに、出会ってなかったら生きてなかった。

それは、今でもハッキリとわかるんだ。

だから、今でも二人には本当に感謝してる。

神様がくれたプレゼントだと思ったよ。

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物思いに、ふけってた俺はインターホンの音で、我に返った。

「はい」

ガチャ

「大河内さん、こちらにサインお願いできますか?」

「ああ、はい」

俺は、宅急便を受け取った。

「茜」

「誰から?」

「あー。理名さんと優生さんじゃんか」

「開けてみる」

俺は、箱を開ける。

「凄い、今どこだっけ?」

「北海道」

「いやー。海の幸。たくさん」

「手紙だ」

【俊、茜ちゃんへ】

元気にしてますか?ただいま、北海道ですよー。

日本一周旅行は、まだまだ始まったばかりです。

また、何か送るね。

新婚生活楽しむんだよー。

理名

ジジイとババアは、元気だよ。

優生


「元気そうだね。二人とも」

「本当に」

理名さんと優生さんは、日本一周旅行がしたいと言って、俺達の結婚式から二週間後に、沖縄に飛んだ。

そして、今北海道だ。

メッセージアプリに、写真は送ってくれていた。

事故がなく、無事に帰ってきて欲しい。

俺は、写真を見ながらいつも思ってる。
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