死を望む君に捧げるI love youー死神の恋ー【仮】

ルカの話

回収作業

「あー！忙しかったのを覚えてる。今のように、皆が慌ただしくしていた」

「思い出しましたか！あれは、下界にいた神のしもべの男が、自分を神様だと思い込んだ結果起きた超過死でした」

「殺人罪で、抹消された筈だね」

「そうです！しかし、その男のせいで沢山の人ではない魂が放出されました」

「バランスですね」

「はい！この世界の人数は、決められています。一人死ぬのならば、一人産まれなければならないのです。だから、あの日100万人のプロミスリング保持者が殺された結果！100万の魂が生を受けた。その魂の多くが人ではなかった。大転換期を迎えたので、いっきにふるいにかけ選別をし死神界(あちら)に返えそうという事になりました」

その言葉にルシア様と俺は、頷いていた。

「今回の放出された魂もいずれは回収されるのですか？」

「はい！その予定を神はたてています。ただ、今回は死産や流産などにして早めに回収作業を行っていると聞いています」

「それは、どうしてですか？」

「神のお考えは、理解出来ない事が多いです。ですが、人ではない魂が人を演じて生きるのは限界があると思ったのではないでしょうか？」

「精神を病んでしまったりする場合もあるらしいね」

「そうです！人ではない魂がまともに生きられる可能性は、僅か0.01%であると言われています。皆、生きていても地獄の苦しみを味わっています」

「その魂にとって、死は幸せなものって事でしょうか？」

「さあ？どうでしょうか！ルシア、お時間です」

「わかった！ルカ、準備はいいかい？」

「あっ！はい」

男は、俺の肩を叩いた。

「死が幸せか不幸かは、貴方が経験してきて下さい」

そう言って、ニコッと微笑まれた。

「じゃあ、ルカ！入れ替えを始めるよ」

「はい」

ルシア様は、彼の背中を撫でる。まるで、チャックでもついていたように背中が開いた。男は、小瓶を手にしていた。ルシア様は、スルスルとそれを取り出した。

「やはり、犬だった」

小瓶に入れられた魂は、犬の形をしていた。

「ルカ、入ってくれ」

「はい」

俺は、その中に入る。チャックがゆっくり閉められた。

「ルカ、どうだ？」

「体がダルいので寝ます」

「わかった！リゼは、探せそうか？」

「わかりませんが、やってみます」

「じゃあ、また一ヶ月後に再会しよう」

「はい」

俺は、ルシア様と男が去ったのを見つめていた。あの小型犬が、よくこんな体に耐えていたものだ。こんなにも、ダルくて疲れる。

「はぁー」

「体がしんどいですか？」

「はい」

「ルカ！どうしているんだ？」

その言葉に俺は、その人を見つめていた。