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リゼとルカの話

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俺は、どうやら入院をしているらしい。色々な場所を歩く。塩野風磨と書かれた個室の部屋で立ち止まった。何故かって?これが、光ってるんだ。
俺は、左の掌が青く光っているのを見つめていた。声をかける。
紛れもなく、その顔はルカだった。俺の言葉に、ルカは俺の手を握りしめた。

「温情判決だろ?」

「それで、人間か?」

「そうらしい!」

「どれぐらいいる予定だ?」

「俺は、余命一ヶ月らしい!そっちは?」

「余命三ヶ月だってさ」

「桜木杏柰には?」

「まだ、会っていない」

「会いたいんだろ?」

「まあな!」

「で、その人は何だ?」

「桜木杏柰を助けた相手らしい」

「へー。じゃあ、桜木杏柰がやってくるわけだな」

ルカは、そう言ってニコニコ笑った。ルカは、いつだって俺の味方でいてくれた。なのに、俺は…。桜木杏柰の為に、死神としての命を捨てた。

「ルカ、ごめんな」

「今は、ルカじゃない」

「いいだろ?二人の時ぐらい」

「まあな!」

「俺、ちゃんと終わらせてくるから」

「桜木杏柰の事か?」

「うん!ちゃんと終わらせて、死神界に戻るよ」

【いい心がけだ】

「ブタ」

「何だ、お見舞いか?」

ルカは、ブタの顔を撫でている。

【ルカとリゼがいない、死神界(あっち)は寂しい】

「可愛いとこあるな!」

ルカは、ブタを撫でている。

【リゼ、きちんと終わらせてこい】

「わかってるよ!ブタ」

【また、この三人でやりたい】

「そうだな!」

ルカは、そう言って笑ってくれる。

「ルカ」

「何だ?」

「一緒に、下界に来てくれてよかった」

「ハハハ、しゃあねーな!」

「明日も必ず来るから!毎日必ず来るから」

「ありがとな!リゼ」

「体は、痛くないのか?」

「痛いよ!死ぬ程痛い!焼けついてるみたいに痛い」

「俺もそうなるのかな?」

「さあ?どうだろうな?魂の回収の話しは聞いたか?」

「ああ!聞いてる」

「この体にいた人は、犬だったんだよ」

「俺の体は、猫だった」

「そうか!やっぱり、人間には人間の魂じゃなきゃ具合が悪いんだな」

「どうやら、そうらしいね」

「なあ?何で、俺だってわかったの?」

「だって!顔がルカだから」

「やっぱり、そうだよな!俺も顔がリゼだから気づいたよ」

「俺達は、魂が見えるからって事だよな?」

「そうかもな」

ブタは、ルカにイチゴを渡していた。

「ありがとな!ブタ」

【大好物だろ?】

「ああ!」

「人間なら、牛肉食えるんじゃないか?」

「そうだな!」

ルカは、目をキラキラさせている。

【残念だが、アレルギー。牛肉だ】

ブタは、引き出しから紙を取り出してルカに見せる。
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