死を望む君に捧げるI love youー死神の恋ー【仮】

リゼとルカの話

死神か…

「そこは、しっかり死神なんだな！」

ルカは、その紙を受け取って笑った。

「確かにそうだな！」

俺達、下級の死神は牛肉を食べられない。

「って事は、リゼも牛肉アレルギーじゃないか」

「そうなのかな？」

【リゼは、死ぬ前に食べたからどうだろうか】

ブタは、そう言いながら首を傾けていた。

「リゼ」

「何だ？」

「桜木杏柰とは、ずっと一緒にいれないみたいだな」

「そうだな」

「よかったのか？もっと人間寿命があるやつにしてくれって言えばよかったのに…」

俺は、ルカの頭を撫でる。

「何だよ」

「こうやって、生きてるだけで奇跡なんだよ！」

「リゼ」

「ちゃんと皆の元に帰るから」

「必ず戻ってこい」

俺は、ルカと握手を交わした。

【リゼ、一ヶ月ルカを頼む】

「ブタは、もう下界に来れないのか？」

俺の言葉に、ブタは少しだけ目を伏せて話す。

【リゼとルカがいなくなったせいで、ローズの精神が不安定になっている。だから、ローズについていてあげたい】

「それって、俺も死んだと思ってるのか？」

【そうだ！教えるわけには、いかないから】

「そういう事か…」

【リゼが下界にいる事は知らなかったけど！】

「ブタ、向こうに帰ったら…。俺は、もう一度ローズと向き合ってみるよ」

【そうしてあげて欲しい】

ブタは、そう言って俺とルカを見つめる。

【次に会った時、リゼとルカが成長してるのを楽しみにしている。それじゃあな！】

「バイバイ」

「気を付けて」

ブタは、死神界に帰っていった。

「ルカ…。病室に戻るよ」

「リゼ」

「何だ？」

「俺は……。嫌、何でもない」

「何だよ！言えよ」

「死ぬのが怖いと思うのかな？」

「今の話か？」

「そう！死ぬのが怖いって人間だった時に思った事なかったと思うんだ」

「愛されてると思ったら、死ぬのが怖くなるらしい」

俺は、ルカの隣に座った。

「愛されてるか…。難しいね」

「そうだよな」

ルカは、俺の手を心臓に持っていく。あの時と違って生身の人間の鼓動を感じる。

「リゼを愛してるのかな？」

俺は、その言葉に反射的にこう答えた。

「キスしたかったか？」

「したいわけないだろ」

ルカは、そう言って笑った。

「一ヶ月あるわけだから、色々と考えてみたらどうだ？もしかしたら、その肉体が誰かを愛してる可能性だってあるわけだろ？」

「まあ、そうだろうね」

「それか、ルカが俺を愛してる可能性だってあるわけだろ？」

ルカは、俺の言葉にフッと鼻で笑った。

「キスしてみるか？」

「いいよ！ルカ」

「するわけないだろ」

ルカは、そう言って俺の手を強く握りしめてくれる。