彩られる作品【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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【身体だけが繋がらない】

【身体だけが繋がらない】①

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きっと、世の中の大多数の人は、私と彼の選択を気持ち悪いと嫌悪の眼差しを向けるだろう…。

それでもいい。

私達は、大多数の人間の選べる道を選べなかったし…。

私達夫婦には、この選択肢しかなかったし…。

これ以外を選べば、私達が崩壊していたのがわかるから…。

常識や当たり前なんて、なくなってしまえばいい。

私達の選択を、おかしいと笑う奴がいるのなら…

片っ端から、ぶん殴ってやりたい。

これは、神様が選ばせた道なのだから…。

.
.
.
.


.

ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…

「うーん」

バンバン。

私は、目覚ましを止める。

私の名前は、三上恵美子。ただいま、38歳!!

隣に眠るのは、夫の三上慎太郎。

私達は、結婚して10年目を今日で迎える。

「目覚ましの止め方、相変わらず五月蝿くて起きたわ!今日、日曜日だろ?」

「あー。ごめん、ごめん。優樹菜と絵里香と約束してたから」

「そっか!ランチ?」

「うん。昼は、適当に食べるでしょ?」

「七草のラーメン食ってくるわ」

「いいねーー。」

私は、慎太郎に抱きついた。

慎太郎の腕の中が好き。

「寝起きのキスは、いやー」

「なんだよ、それ」

「こしょばい、こしょばい。やめてよ。」

子供がいたらパーフェクトなのにとは思っていない。

慎太郎の子供を産めたら、幸せなのにとは思っている。

「気いつけて、行けよ!俺は、まだ寝るから」

「七草のラーメン、感想聞かせて!後、写メね」

「了解」

「じゃあ、もうちょっとポムと寝ときな!」

ポムとは、私達の飼っている猫だ。

「おやすみ~」

「はいはい」

私は、寝室を後にする。

9時過ぎだ!

待ち合わせは、11時だから…。

顔を洗って、歯磨きをする。

優樹菜は、1年半前に結婚して半年前に子供が産まれた。

STANDSTANDと言うSNSで、赤ちゃんの動画や写真をあげまくっている。

STANDSTAND、通称スタスタは、誰もが手軽に5秒動画や写真を上げれるサイトである。

私は、ポムや料理などをたまーに上げてるだけだった。

それを、優樹菜にフォローされたのだ!最初は、気にならないカップルの日常だったが、年齢的に結婚をして、なおかつ子供を授かってからがキツかった。

エコー写真や胎動やお腹の大きな写真や母子手帳や子供用品の写真を載せてくる。

見たくないのに、毎日更新されていて間違って押してしまう位置にいる。

私は、鴨池はやてのスタスタを見たいだけなのにだ。

こう言う事、いうと見なきゃいいと言う野次が飛んでくる。

だから、世の中は嫌いだ。

私は、歯磨きを終えてメイクをする。

絵里香は、結婚7年目で子供はただいま3歳!不妊治療をしていたから、私側かと思っていたが、妊娠してから態度が急変。

私の親戚ばりに、あれを食べたら出来る、これをやったら出来る、と自分に効いたかも知れないが私の身には何もおこらない代物を進めてくる。

そんなのやったわ!なんて言えば喧嘩になるから…。

やってみるねとだけ言っている。

そしたら、どんどんエスカレートしてきて。最後は、占い師まで紹介されてしまった。

会いたくないけど、断れなかった。

鞄の中に、出産祝いを入れる。

おめでとうって思えないのに、送る必要があるのか?そう思った私は、現金にした。

だって、物とか私の念が入ったら怖いし、気持ち悪いわけだから…。


10時過ぎになって、私は、家を出た。

コツコツとヒールを鳴らしながら歩く。

慎太郎とお洒落なデザインの戸建てを買ったのは、結婚してすぐだった。

のちに、慎太郎が会社の先輩に家を買ったら妊娠遠のくらしいぞって言われたと結婚して5年目に泣いていた。

でも、立地もデザインも私達の好みだった。

だから、買う以外の選択肢はなかった。

何で、変な事思い出してるのよ。

私は、駅で電車に乗った。

一駅向こうのレストランで待ち合わせだった。

どうやら、子連れに優しいらしい。

私には、絶対優しくないと思う。
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