彩られる作品【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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【身体だけが繋がらない】

【身体だけが繋がらない】②

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電車に乗ってすぐに、妊婦さんを三人も見る事になってしまった。

最悪だ。

妊婦さんは、視界にいれたくなかった。

悲しくなるから…。

惨めになるから…。

一駅で、降りた。

助かった。

私は、コツコツとヒールを鳴らして歩いた。

改札を抜けると絵里香が立っていた。

「恵美子、こっち」

「おはよう」

「おはよう!しーくん、おはようは?」

「あよ」

可愛いと思えないけど、笑っておいた。

無条件に、他人の子供が可愛いと思える人の母性を私にも少し恵んで欲しいものだ。

「こっちだよ」

そう絵里香に言われて歩く。

「実はさ、二人目出来たんだ」

「よかったね」

「そうなの、しーくんに兄弟欲しかったからよかった!来月までに出来なかったら治療しようと思ってたし。恵美子は?」

「まだかな…ハハ」

その恵美子は?ってのは、一体なんなのだ。

どうせ、お前は出来ていないんだろう?と言いたいのか…。

「でもさ、子供なんかほんと大変だよ。旦那が、見てくれないからワンオペでしょ!二人目出来たけど、どうなるかわからないよね。協力するとは言ってくれてるんだけど…。」

「そうなんだー。」

それを聞いて、私は、どう返せばいいの?

お前には、わからないって言われるのが落ちなんだろうけど…

「恵美子、絵里香、久しぶり」

店の前で、優樹菜が立っていた。

「元気だった?恵美子、忙しそうだし。ほら、柚奈抱いてよ。」

私は、優樹菜の赤ちゃんを抱かされる。

「可愛いでしょ?」

「ハハハ、可愛いね」

全然、可愛くないし。

こいつは、昔から嫌みだわ!

「じゃあ、行こう」

そう言って、店に入った。

予約していたようで、扉はないけれど、区切られている個室に通された。

「ランチなに食べる?」

「ステーキ食べていいかな?」

「いいよ!恵美子、ステーキ食べなよ」

ランチなのに、3000円もするステーキランチを頼んだ。

わざとだったと思う。

「私、ハンバーグランチにする。」

「私もそれにする。」

二人は、1200円のハンバーグランチを頼んだ。

私も一つぐらい優位に立ちたかったのだろうか?

惨めすぎるから、そう思ったのだろうか?

「ランチに、3000円も出せるってすごいよねー。」

優樹菜にそう言われた。

「パートしてるから」

「へぇー。そうなんだ!やっぱり、子供はいらないの?」

優樹菜は、私の心臓を昔から刺してくる。

「いらないわけじゃないけど…」

「だって、出来たらランチに3000円なんか払えないよ!」

「そうだね!今のうちに、楽しんどくわ」

泣きたくないし、イライラしたくなかった。

「これ、出産祝い。柚奈ちゃんに何か買ってあげて」

「えぇ、ありがとう」

優樹菜は、そう言ってニコニコ笑って受け取っていた。

早く帰って、慎太郎と映画みたいわ。

注文したランチがやってきた。

私は、イライラを隠しながらお肉に食らいついた。

黙々と食べた。

食べ終わって、デザートと紅茶がおかれた。

「カフェインレスだって!あっ、恵美子はカフェインレスじゃない方がよかったんじゃない?変えてもらう?」

「嫌、いいよ。カフェインレスで!寝る前とか飲んでるし」

「ごめんね。絵里香二人目だし、私も授乳中だから…。」

「いいの、いいの。気にしないで」

どうして、そんな嫌みが言えるのだろうか?

嫌みだと思う、私の心が汚すぎるのかな?

「でも、恵美子はいいよね。夜泣きとかもないし、旦那さんと平和な夜を過ごせて」

「確かに、それは私も思うよ!平和な夜、羨ましいよ」

「そうかな?いびきで寝れない日もあるよ!」

「そんなの赤ちゃんの声よりマシだよ」

「ホントにそうだよ」

そう言われて、泣きそうになる弱い私。

「恵美子は、赤ちゃんいないからわかんないよね。ごめんね」

「ううん」

赤ちゃんが、いない事がこんなに惨めだと思わなかった。

「ケーキとかも乳腺によくないから、久々に食べる」

「わかる」

子供がいる人のあるある会話が、繰り広げられている。

私は、蚊帳の外だ。

お金まで払って嫌な思いをしなければならないなんて
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