彩られる作品【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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それぞれの思い

僕を書いて

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僕は、しんに抱きつく。

「お願いだから、僕を書いて」

しんに出会うずっと前だった。

僕は、いつも体の熱や疼く気持ちを押さえられなかった。

そんな時に、従兄弟からセフレにならないかと言われた。

本当は、罪悪感が少しあったんだ。

でも、それよりも体の熱や疼く気持ちを消したかった。

従兄弟は、久々の僕との交わりを喜んだ。

それは、子供が二歳になるまで続いた。

何度も、何度も繰り返されて…。

最近会った時も、誘われた。

しんには、話さなかった。

だけど、しんがこれだけ悩んでるなら、力になりたい。

「しん、僕を書いて。ビッチな話でいいから」

しんは、僕の涙を拭ってくれる。

「優依は、ビッチじゃないよ」

「ビッチだよ。僕は、セックスが大好きなんだよ。だから…。」

「優依は、ビッチじゃない。セックスが好きだって思い込まされただけだろ?従兄弟の玩具だったからだろ?こんなに綺麗な男(ひと)を手放したくない。従兄弟の気持ちが俺にもわかるよ。最近も、セフレになって欲しいって言われたんだろ?」

しんの言葉に、僕は泣いていた。

「優依は、本当は嫌だったんだよ。従兄弟の玩具は、嫌だったんだよ。だから、俺とする度によく泣いていたの知ってるよ」

「しん」

僕は、昌也と同じだった。

しんは、とても丁寧に優しく僕を愛してくれた。今だって、そうするんだ。

僕は、そんなに優しくされた事は初めてだった。

ビッチだって思われていたから、無理やりされたりもした。

それが、快感だって思い込んでた。

なのに、しんに出会ってしんに愛されてしんと肌を重ねあったら、違うって気づいたんだ。

僕は、感じていたフリをしていたんだって…。

本当は、痛いのも酷いのも辛いのもいらなかったんだって…。

しんの優しいのが好き。

正直、物足りなくなるかと思ってた。でも、ならなかった。

「しん、お願い。次の作品は僕を書いて」

「書いたら、優依は救われる」

「梨華さんと同じで、救われるよ。だって、しんの作品は最後は小さくてもハッピーエンドにしてくれるから…。」

「優依、全部話してくれる?」

「しんが、僕を嫌いにならないなら全部話すよ。」

「ならないよ、優依」

「でも、怖いよ。」

僕は、しんにしがみつく。

「ゆっくり話してくれたらいいよ」

「しんに、嫌われるのが怖いんだ。しんにいらないって言われるのが怖いんだ。」

「言わないよ。ここまで、二人でやってきたじゃないか…。だから、言わないよ」

しんは、僕の髪を優しく撫でてくれる。

「しんは、不倫は悪だって思ってるでしょ?」

「それは……。」

「僕だって、思ってる。だけど、ここが疼いて止められなかったんだ。ずっと…」

僕は、しんの手を握りしめた。

「覚えた熱を、消し去りたかったのか?」

しんは、僕の下半身を撫でる。

「しん、僕はずっとビッチだよ」

「今は違う。優依は、俺しかいらないだろ?」

僕は、しんの膝の上に乗った。

「こうなるのは、しんだけだよ」

「今までだって、なってたんだろ?」

「違うなってない。何故か、ならなかった。」

「それは、こっちを知ってるからだろ?」

「それもあるけど、違う。しんの事は、本当に欲しいんだよ。身体も心も、しんが欲しいんだよ。信じて」

しんの両頬に手を当てる。

「優依、必死だね」

「当たり前だよ。必死に決まってるよ。」

「可愛いね、優依」

「浮気したら怒るからね」

「ハハハ、しないよ。ここ以外わ!」

「そこが、一番ダメでしょ?」

僕は、おでこをトントンしたしんの手を掴んだ。

「でも、物書きだから」

「ビッチと童貞書いた店員さんに会わせてよ」

「まだ、働いてるかな?」

「働いてたらでいいから、見に行きたい」

「わかった。じゃあ、明日行こう」

「その前に、これ見よう。RINさんとの作品。」

「うん、再生して」

僕は、Blu-rayを交換して再生をした。

しんの隣に並んで、僕はテレビ画面を見つめる。

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