彩られる作品【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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シークレット作品②

【温度】⑪

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帰宅した一輝ー

「ただいま」

「おかえり、どっか行ってたの?」

桜は、玄関にウサギみたいに走ってきた。

「ちょっと」

抱きつかれた一輝

「なに?」

「一輝の匂いじゃない」

抱き締めたから、花香のどこか優しいフワッとした香水の香りがついたのだと思った。

一輝は、嫌いじゃなかった。

「そう?欲しい物見に行っただけだから…。気づかなかった」

一輝は、嘘をついた。本当は、歩きながら花香の匂いがしていた事に気づいていた。

でも、その匂いが桜のつけているエキゾチックな香りよりも癒されて心地よくて気にしていなかった。

「誰かつけてたのかな?何か、臭いよ。シャワー、先に浴びたら?」

「電車か服屋かじゃない。そうする」

一輝は、駅のコインロッカーに寄って服を預けて帰ってきてよかったと思っていた。

一輝は、そう言って洗面所に入る。

桜だって、ムスクの香りがきつい香水の匂いをさせていた。多分、花香の旦那さんなのだ。

そもそも、離婚するや酷いことを言っておきながら、今さら匂いを気にされる理由が、一輝には見当たらなかった。

一輝は、洗面所で服を脱ごうとした時だった。

「一輝、浮気してないよね?」

「するわけないだろ」

「チェックさせて」

「はあ?」

そう言って、桜は一輝のスボンを脱がす。

「何してんの?」

「汗臭い」

「当たり前だろ!」

「この感じだとシャワーは、入ってないみたいだね」

「服屋で、シャワーなんか入らないだろ」

「本当だったんだ」

「当たり前だ」

桜とは違う、その言葉は飲み込んだ。

「じゃあ、許してあげる」

「やめろ、まだシャワー入ってない」

「知らない匂いつけてきたお仕置き」

一輝は、桜を見つめていた。

切り替わって、花香…

「いや、何でここ?シャワーも入ってないから」

「浮気してなかったんだな」

孝輔は、立ってる花香の下半身に顔を突っ込んでいた。

「するわけないでしょ」

「花香、お仕置きだよ」

何故、何もしていない自分がお仕置きされなければいけないのだ。

「こんな体制で嫌。ここでも、嫌。シャワー入りたい」

花香の言葉を孝輔は、何一つ聞いてくれなかった。

所有物をとられたくないように、孝輔は花香の嫌がる事をする。

「後ろ向いて」

廊下の壁に手をつけさせられる。

「もっと、お尻こっちにだして」

「嫌」

「嫌じゃない、花香」

身体中が、孝輔を覚えてる。

あんな酷いことを言われたのに、花香は自分の中に孝輔を愛してる部分がある事に泣いていた。

ずっと、繋いでいた一輝の温もりと優しさを思い出すように花香は左指を口に入れた。

「花香、愛してるよ」

その言葉と共に、孝輔は花香の中に入った。

一方、一輝もー

「やめろよ」

「嫌よ」

そう言って、桜は洗面台に手をついてお尻を向けてきた。

「最近は、こっちが好きなんでしょ?早くして」

避妊せずに、花香の旦那としたのではないのか?

何で?俺に、そうさせるんだよ。

それでも、桜をまだ愛してる自分が嫌な一輝

「早く、一輝。」

そう言って、桜は自分でする。

一輝は、動かなかった。

「一輝、愛してる」

その言葉と共に、桜は一輝を自分の中に引き入れた。

一輝は、目を瞑って花香を思い出した。

花香に触(ふ)れていた右手を口に当てて、息さえ漏れないようにする一輝。

「一輝、愛してる、愛してる。」

桜は、そう言い続けた。

花香に切り替わる画面。

「花香、愛してる」

「何で?」

こんな酷いことをするのと言えなかった花香

「愛してるんだよ。花香」

花香は、床に座り込んだ。

孝輔は、一輝の奥さんにそうしたのに、何故花香にまでそうするのかわからなかった。

そして、何故避妊さえもされないのかがわからなかった。

「私が、赤ちゃんが出来ないから!何度こうしたって出来ないのわかってるからでしょ?だから、私にだすんでしょ」

悲しくて、苦しくて、花香はそう言ってしまった。

「そんなわけないよ。俺は、花香を愛してるんだよ」

孝輔は、花香を抱き締めてくる。

花香の首筋に舌を這わせる。

「やめて、ご飯するから」

立ち上がろうとした花香を、押し倒した。

「孝輔、やめて」

「嘘つくなよ!俺を愛してるくせに…」

その勝ち誇ったように笑った目に、花香は涙が流れた。

孝輔は、自分を愛しているわけじゃなく、所有物である自分を誰かに渡すのが惜しくなっただけなんだ。

花香は、それに気づいてしまった。

その事が、悲しくて辛くて…。

何故、自分だけが孝輔をまだ愛しているのかと思っていた。

もう、抵抗すらも花香はしなかった。

ただ、人形(おもちゃ)のように黙って受け入れた。
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