三日月宝珠と愛しき幽体

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
27 / 94
人形師

導かれたのは…。

しおりを挟む
「さあ、行こうか」

モカ君が、トントンと身体を叩くと動き出した。


「イチゴぉー。」

「イチゴ」

浜井さんと上條さんが、現れた。

(ニャー)

二人に、ピョンと飛び付いた。

「あー。まさに、イチゴです。あれ、三日月先生に、宮部さんじゃないですか?お久しぶりです。」

「三日月先生は、記憶が戻られたのですね」

「はい、無事に戻りました。イチゴちゃんは、亡くなられたのですね。」

「はい、半年前に。」

「誰から、ここを聞いたのですか?」

「巫女さんに聞きましたよ。こういう場所があるから必要があれば行きなさいと言われたんです。」

上條さんは、そう言って笑った。

「必要が、出来たのですね」

「凌平がね、ペットロスになったんです。イチゴを失って崩壊した。俺には、無理でした。四六時中一緒にいれない。自殺未遂を何度もしようとするんです。伊納に見てもらったりもしていたんですがね。それで、ここを思い出して…。」

「イチゴちゃんは、冴草健斗との想い出の猫ですからね。」

「はい。三日月先生に会わなければ、こちらに来る事もなかった。だから、俺は感謝してます。それと、三日月先生が二条さんに結斗との事を話してくれていたから…。俺は、幸せでした。あの時間は、素晴らしかったです。ありがとう。三日月先生」

「いえ、私は、何もしていませんよ。私こそ感謝しかありません。二人が、肉体を返しに来てくれたおかげで私は今も生きています。」

私は、上條さんに笑いかけた。

「三日月先生、健斗さんとの日々をありがとうございました。お礼を言うのが遅くなってしまいました。」

「いえ、こちらこそ素敵な想い出が残っています。」

「アッ、ハハハ。恥ずかしいね」

「とても、素敵でしたよ。」

「それなら、よかったです。」

浜井さんは、笑ってる。

「イチゴちゃんに、また会えてよかったですね。浜井さん」

「はい」

(ニャー)

「僕は、イチゴが、いないと生きていけないんです。わかりますよね?三日月先生。僕には、イチゴが…」

浜井さんな、情緒が不安定なのがわかる。ポロポロと泣き出してしまった。

「わかりますよ。イチゴちゃんは、二人の大切な想い出だから…。」

「三日月先生、僕はね。やっぱり、健斗さんが必要なんです。三日月先生は、見たからわかるでしょ?僕が、どれだけ健斗さんを愛していたか…。」

「わかってますよ。浜井さん」

「凌平、よかったね」

上條さんは、浜井さんの肩を引き寄せた。

「浜井さん、上條さん、イチゴちゃんは永遠に生きますよ。」

「モカさん、ありがとう」

「いえ、大切にしてあげて下さいね。」

「はい」

浜井さんと上條さんは、頭を下げている。

「三日月先生、また会えますか?」

「はい、いつでも。ここにいますので」

「占い師ですか?」

「はい、再開し始めました。上條さんは、前に進めていますか?」

「ゆっくりですよ。なかなか、難しいです。肌を重ねるのには、まだ辿り着けない。冴草さんと過ごしてから、凌平も駄目になってしまいました。俺達は、俺達のペースで進むしかないですね。」

「それだけが、全てではないですよ。二人で生きて行く事が大切な事ですよ。」

「そうですね。三日月先生。凌平、行こうか」

「うん。三日月先生、またね」

「はい、お気をつけて」

浜井さんと上條さんは、手を振って帰っていった。

私達は、その姿を見送り続けていた。

「では、僕は新しい依頼を仕上げたいので失礼します。」

モカさんは、急いで行ってしまった。

「光珠さん、お話できますか?」

「はい、勿論です。」

「三人は、好きなように過ごして下さいね。庭でも、見て下さい」

「はい」

ゐ空さんは、光珠を連れて行った。

「喜与恵、宮部さんと少し話していいかな?」

「どうぞ!私は、この子達とお庭を見てきますね」

「すまない。」

「いえ」

喜与恵は、そう言っていなくなった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...