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ゐ空の視点
幸せになって
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「ゐ空さん、何でしょう?」
「光珠君、こちらを覚えてますか?」
「まさか、私はこの為に呼ばれたのですか?」
「はい、そうです。彼女のご両親から依頼を受けて造りました。」
「触(ふ)れてもいいですか?」
「どうぞ」
光珠君は、優しく触(ふ)れている。
「もう、前を向いて生きて欲しいと言っていましたよ。お二人とも、光珠君には幸せになって欲しいと言っていましたよ。」
「心音が、聞こえるのですか?」
「はい、耳を当てて下さい」
「本当ですね。いつ、引き取りにこられるのですか?」
「明日です。」
「私は、会えませんね。」
「明日には、もう辿り着けないと思いますよ。」
光珠君は、涙をボロボロと流している。
「もし、君が来たなら会わしてあげて欲しいと言われていました。初めての依頼でした。手探りで、一年間かけて再現しました。ご両親からは、このままの状態を再現して欲しいと頼まれまして。宮部さんには、お話になられたのですね?」
「はい。希海さんは、泣いてくれました。希海さん、自身もお腹の子を亡くした事を話してくれました。自分は、結婚も子供も望んでいないと…。」
「光珠君も同じだったのですよね。彼女を亡くしてから…。」
「はい。ゐ空さんは、全て見えてるのでしょう?」
光珠君は、彼女のお腹に耳を当てる。
「7カ月でしたね。彼女は…。姫野麗奈(ひめのれな)さん。中学生に、階段から突き落とされて亡くなった。光珠君を迎えに行く途中の出来事だった。」
「はい」
「彼は、母親がお腹に宿った赤ちゃんを大切にし、自分は父親と母親から暴行を受けていた。妊婦なら誰でもよかったと言っていたのですね。」
「はい」
「階段から突き落とされて、何度も蹴られ続けた。通行人が、止めに入って通報した。しかし、彼女は搬送途中で死亡した。出血が酷すぎたのですよね。」
「はい」
「今も、自分を責めている。宮部さんと先に進むのが怖いのですよね。」
「はい」
光珠君は、ポロポロと泣き出している。
「何より恐れているのは、宮部さんが妊娠する事。もし、そうなって、また失ったら…。次は、生きていけない。」
「はい」
「宮部さんが、自分と同じで安心したんですよね。結婚も子供も、望んでいなかった。だから、嬉しかった。でも、宝珠君の記憶が戻ってしまった。だから、不安だった。心配するのは、身体を重ねていないからだと思った?」
「そうですね。」
私は、光珠君に首を横に振った。
「身体を重ねたら、よけいに不安になっていたよ。」
「もしかして、麗奈のビジョンを読めたのですか?」
「お母さんがね、見せてくれたんだよ。麗奈さんを再現する時に必要だったから…。」
「麗奈は、不安だったのですか?」
「妊娠していて、精神的に不安定だったのだろうね。常に、不安が付きまとっていた。光珠が、いなくなったらどうしよう。赤ちゃんに何かあったらどうしよう。私が、いなくなったらどうしよう。いつも、いつも、彼女は不安だった。その不安が、とんでもないものを呼び寄せてしまった。」
「私が、もっとケアをするべきでした。麗奈に寄り添って、四六時中傍にいるべきだった。」
「だから、今。宮部さんにしているのですか?麗奈さんは、光珠君に四六時中傍にいて欲しかったわけじゃありませんよ。ただ、不安だっただけですよ。自分もちゃんと向き合えばよかったと…。喧嘩をよくしていたから…。それでも、産みたかった。光珠君の子供を…。」
「私は、あの日から後悔を繰り返していました。迎えに来ないでいいよと言えばよかったんです。あの日は、雨が降りだすからと傘を持って駅にくると言った。コンビニで買って帰ると言った私に、麗奈は、ケーキを取りに行くついでだからとメッセージを送ってきた。あの日は、結婚して三年目の記念日でした。」
光珠君は、ボロボロと泣き出した。
「あの日の朝も、こうやって麗奈のお腹に耳を当てて聞いていた。元々、不安症状が強い子でした。もっと、もっと、寄り添うべきだった。お腹が、大きくなる事も不安だっただろうから…」
光珠君は、お腹を触(さわ)りながら耳を当てている。
「光珠君、こちらを覚えてますか?」
「まさか、私はこの為に呼ばれたのですか?」
「はい、そうです。彼女のご両親から依頼を受けて造りました。」
「触(ふ)れてもいいですか?」
「どうぞ」
光珠君は、優しく触(ふ)れている。
「もう、前を向いて生きて欲しいと言っていましたよ。お二人とも、光珠君には幸せになって欲しいと言っていましたよ。」
「心音が、聞こえるのですか?」
「はい、耳を当てて下さい」
「本当ですね。いつ、引き取りにこられるのですか?」
「明日です。」
「私は、会えませんね。」
「明日には、もう辿り着けないと思いますよ。」
光珠君は、涙をボロボロと流している。
「もし、君が来たなら会わしてあげて欲しいと言われていました。初めての依頼でした。手探りで、一年間かけて再現しました。ご両親からは、このままの状態を再現して欲しいと頼まれまして。宮部さんには、お話になられたのですね?」
「はい。希海さんは、泣いてくれました。希海さん、自身もお腹の子を亡くした事を話してくれました。自分は、結婚も子供も望んでいないと…。」
「光珠君も同じだったのですよね。彼女を亡くしてから…。」
「はい。ゐ空さんは、全て見えてるのでしょう?」
光珠君は、彼女のお腹に耳を当てる。
「7カ月でしたね。彼女は…。姫野麗奈(ひめのれな)さん。中学生に、階段から突き落とされて亡くなった。光珠君を迎えに行く途中の出来事だった。」
「はい」
「彼は、母親がお腹に宿った赤ちゃんを大切にし、自分は父親と母親から暴行を受けていた。妊婦なら誰でもよかったと言っていたのですね。」
「はい」
「階段から突き落とされて、何度も蹴られ続けた。通行人が、止めに入って通報した。しかし、彼女は搬送途中で死亡した。出血が酷すぎたのですよね。」
「はい」
「今も、自分を責めている。宮部さんと先に進むのが怖いのですよね。」
「はい」
光珠君は、ポロポロと泣き出している。
「何より恐れているのは、宮部さんが妊娠する事。もし、そうなって、また失ったら…。次は、生きていけない。」
「はい」
「宮部さんが、自分と同じで安心したんですよね。結婚も子供も、望んでいなかった。だから、嬉しかった。でも、宝珠君の記憶が戻ってしまった。だから、不安だった。心配するのは、身体を重ねていないからだと思った?」
「そうですね。」
私は、光珠君に首を横に振った。
「身体を重ねたら、よけいに不安になっていたよ。」
「もしかして、麗奈のビジョンを読めたのですか?」
「お母さんがね、見せてくれたんだよ。麗奈さんを再現する時に必要だったから…。」
「麗奈は、不安だったのですか?」
「妊娠していて、精神的に不安定だったのだろうね。常に、不安が付きまとっていた。光珠が、いなくなったらどうしよう。赤ちゃんに何かあったらどうしよう。私が、いなくなったらどうしよう。いつも、いつも、彼女は不安だった。その不安が、とんでもないものを呼び寄せてしまった。」
「私が、もっとケアをするべきでした。麗奈に寄り添って、四六時中傍にいるべきだった。」
「だから、今。宮部さんにしているのですか?麗奈さんは、光珠君に四六時中傍にいて欲しかったわけじゃありませんよ。ただ、不安だっただけですよ。自分もちゃんと向き合えばよかったと…。喧嘩をよくしていたから…。それでも、産みたかった。光珠君の子供を…。」
「私は、あの日から後悔を繰り返していました。迎えに来ないでいいよと言えばよかったんです。あの日は、雨が降りだすからと傘を持って駅にくると言った。コンビニで買って帰ると言った私に、麗奈は、ケーキを取りに行くついでだからとメッセージを送ってきた。あの日は、結婚して三年目の記念日でした。」
光珠君は、ボロボロと泣き出した。
「あの日の朝も、こうやって麗奈のお腹に耳を当てて聞いていた。元々、不安症状が強い子でした。もっと、もっと、寄り添うべきだった。お腹が、大きくなる事も不安だっただろうから…」
光珠君は、お腹を触(さわ)りながら耳を当てている。
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