三日月宝珠と愛しき幽体

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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宝珠の視点

宮部さんの想い

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喜与恵が、去ったのを見つめていた。

「ここに、呼ばれたのは理由があったのですよね。三日月さん」

「まだ、言わないでおこうと思いましたが、宮部さんはやはり察しがいい方ですね。」

私の言葉に、宮部さんは笑った。

「光珠さんも、そうだったのですね?麗奈さんと再会できるのですか?」

「宮部さんは、やはり察しがいいですね。光珠が、彼女ともし関係を結んだらどうしますか?」

「いいと思います。私は、光珠さんの痛みを聞きました。麗奈さんを亡くして20年間、前に進めなかった事も知ってます。私ね、三日月さんと色んな幽体の声を届けて思っていたんです。前に進めないのは、お互い同じだって!だから、光珠さんが前に進む為に必要ならやるべきですよ。私なんかの事を気にしないで」

「ヤキモチ妬いたりしないのですか?」

宮部さんは、フフフと笑って空を見てる。

「妬いてどうなりますか?彼女は、生きていないのですよ。彼女は、もう光珠さんと一緒に歩いて行く事は出来ないのですよ。例え、人形になったとしても…。」

「そうですね。その通りですね」

「光珠さんは、麗奈さんと赤ちゃんと生きて行きたかったんですよ。ずっと…。なのに、亡くなってしまった。後悔しない日なんて一日もなかったと思います。それが、わかるからこそ。もう一度会えるなら、私は応援したいです。身体中に彼女を刻み付けて欲しいです。あの日、私が三日月さんに望んだように…。」

「宮部さん、やっぱり素敵な人ですね。宮部さんは…」

私の言葉に、宮部さんは笑っている。

「三日月さん、ひかりちゃんが人形になるのですか?」

「そちらも、気づきましたか。」

「はい、なんとなくですが…。」

「本日の夜に引き取りに来られるようですよ。彼に、お会いしますか?本当は、ゐ空さんにはいつか宮部さんが乗り越えた時に伝えて欲しいと言われたのですが…。宮部さんは、察しがいいと思ったので、宮部さんと話して決めようと思いました。」

「会いたいです。私、彼に会います。乗り越えれたか、どうかわかりません。ただ、前に進みたいです。駄目でしょうか?三日月さん」

「いえ、いいと思いますよ。」

「奥さんも来るのでしょうか?」

「いえ、奥さんは体調を崩して入院をしているようです。明日が退院のようで、ひかりちゃんを連れて帰りたいという連絡が私達が来る前にきたそうですよ。」

「乗り越えなさいって、メッセージですね」

宮部さんは、そう言って笑っていた。

「怖いなら、光珠と一緒に…」

宮部さんは、首を横に振る。

「一人で行けますか?」

「だって、ひかりちゃんは私と彼の子ですよ!向き合いますよ。私は、少しでも前に進みたいんです。」

「私は、宮部さんを好きになれてよかったです。宮部さんは、本当に素敵な人ですよ。普通は、前に進む事が怖いんです。過去を振り替えるのは簡単だけど、未来に歩いて行くのは難しい。」

宮部さんは、私の腕を掴んだ。

「どうしました?」

「本当は、三日月さんを失いたくないって思っていたんです。光珠さんとデートをしていた時は、ずっとそう思っていた。今は、こうやって三日月さんの腕を掴んでも何とも思わないのにね。でも、それが驚く程…悲しかった。」

宮部さんは、涙を浮かべながら私を見つめる。

「前に、ベビー用品売り場の近くを通った時に幽体さんの話をしてくれたのを覚えてますか?」

「はい、覚えていますよ。」

「私ね、その話が理解できたんです。」

「色褪せたって事ですか?」

宮部さんは、私の腕をギュッと掴んだ。

「いや、光珠に怒られちゃうからね」

「色褪せたんです。三日月さんが…。」

宮部さんは、泣いてしまった。

宮部さんは、私がいなくなって光珠に出会い、すぐにそっちに気持ちがいったのだと思っていた。

でも、そうじゃなかったのだ。

今の私は、宮部さんを抱き締めてあげる事も出来る。

でも、光珠や喜与恵に申し訳ない。
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