39 / 94
光珠の視点
エネルギー不足
しおりを挟む
「それじゃあ、麗奈はエネルギーが不足して死に向かったって事なのか?」
「はい。三日月では、そう教えられてきました。肉体のエネルギーが不足し、魂のエネルギーを使い始めると、その魂は滅びのカウントダウンを始める。だから、食事で、気力と体力と霊気をあげなさいと教えられてきました。ただ、肉体が食べたくない時は一時的に魂からエネルギーをもらいます。食べれるようになったら、すぐに肉体にエネルギーを注ぎ続けます。食べれなかった日数を越えると肉体は、初めて魂にそのエネルギーを送りはじめるのです。そして、また魂はエネルギーが満タンになります。」
麗奈は、泣いてる。
『私は、気づかないうちに滅びに向かっていたんですね。もっと早く気づいていれば、よかったです。』
「若い魂は、エネルギーが豊富なので、少々磨り減らしても気づきません。だから、気づかなかったのだと思いますよ。麗奈ちゃんが、若いから周りも気づかなかったのでしょう。後悔してもどうにもならない事ですよね。ただ、エネルギーが不足すると悪しきものを呼び寄せやすいのは、事実です。」
『だから、事件が起きた』
「そうなりますね。」
麗奈は、私を見つめる。
『光珠、もうお互いに自分を責めるのはやめよう。宝珠さんに話を聞いてわかった。気づけなかっただけだったんだって。若いからって、過信していたんだと思う。ちゃんとエネルギーになるものを食べていなかったのよね。お母さんに、お菓子ばっかり食べないのって怒られていたのに…。』
「麗奈。私も、食べたいものを食べたらいいって言ってごめん。ちゃんとご飯を食べろって言うべきだった。」
『ううん。知らなかったから仕方ないよ。三日月の教えと三津木の教えは、違う所があったわけだから…。エネルギーの話しなんて知らなかったじゃない。お互いに…。』
「そうだな」
『取り返しのつかない事を、後悔するのは、もうやめよう。私も光珠も、もう未来に進むべきよ』
「生まれ変わりの道に行くのか?」
『お婆ちゃんが、亡くなったらそうするつもりなの。魂の抹消を受ける。』
「そんな……。まだ、いてくれよ。私が、そっちに行くまで」
『光珠が、こっちに来るまで何年だと思ってるの?私たちの時間は、生きている人間と進み方が違う。だけど、その分、濃縮された濃さがあるの。痛みや苦しみや悲しみは、万倍。幸せや楽しみや喜びは、千倍。そんな思いをしながら、光珠を待てないわ。』
「麗奈……」
『二条さんに頼んで、ちゃんとお別れしましょう。』
私は、項垂れて泣いた。
『それと、宝珠さん。これを光珠に後で見せてあげて欲しい』
「はい」
麗奈は、宝珠の手を握りしめた。
「わかりました。きちんと見せます。」
『宜しくお願いします。光珠、もうお願いだから苦しまないで。』
麗奈は、私の頬に手を当てる。
「それでは、失礼します。」
宝珠は、立ち上がって出て行った。
「麗奈、ごめんね。本当に、ごめんね。」
『ううん。私もごめんね』
「指だして」
『はい』
私は、麗奈の指にケースから指輪を出してはめた。
麗奈は、私に何度もキスをしてきた。
「汚れちゃうよ」
『ゐ空さんが、綺麗にしてくれる。』
「二条さんに、頼むから…。最後にきちんとお別れしよう。」
『うん』
心も身体も、もうさよならしなくちゃいけないのだ。
人生には、あの時もこの時もない事を私は、宝珠に何度も聞かされたのだ。
わかっていたのに、私は沢山の後悔を抱えた。
20年間、私が悔やんだ結果。
麗奈も、後悔をしていたのが痛いほどわかった。
万倍の痛みや苦しみを味わうと言うなら、手放してあげなければならないのだ。
それでも、お別れをきちんと出来そうにない自分がいた。
「指輪をはめれたんだね」
ゐ空さんの声に、顔を上げた。
「はい。叩いてしまったり、キスしちゃったり」
「想定内だから、大丈夫。」
もう、麗奈は話さなかった。
「麗奈は?」
「抜けたよ。人形の望みは、指輪をはめてもらう事だったから…」
ゐ空さんは、麗奈を抱えて元の位置に戻した。
「三日月宝珠を呼んだのは、ゐ空さんなのですね?」
私の言葉に、ゐ空さんは目を見開いて私を見つめた。
「はい。三日月では、そう教えられてきました。肉体のエネルギーが不足し、魂のエネルギーを使い始めると、その魂は滅びのカウントダウンを始める。だから、食事で、気力と体力と霊気をあげなさいと教えられてきました。ただ、肉体が食べたくない時は一時的に魂からエネルギーをもらいます。食べれるようになったら、すぐに肉体にエネルギーを注ぎ続けます。食べれなかった日数を越えると肉体は、初めて魂にそのエネルギーを送りはじめるのです。そして、また魂はエネルギーが満タンになります。」
麗奈は、泣いてる。
『私は、気づかないうちに滅びに向かっていたんですね。もっと早く気づいていれば、よかったです。』
「若い魂は、エネルギーが豊富なので、少々磨り減らしても気づきません。だから、気づかなかったのだと思いますよ。麗奈ちゃんが、若いから周りも気づかなかったのでしょう。後悔してもどうにもならない事ですよね。ただ、エネルギーが不足すると悪しきものを呼び寄せやすいのは、事実です。」
『だから、事件が起きた』
「そうなりますね。」
麗奈は、私を見つめる。
『光珠、もうお互いに自分を責めるのはやめよう。宝珠さんに話を聞いてわかった。気づけなかっただけだったんだって。若いからって、過信していたんだと思う。ちゃんとエネルギーになるものを食べていなかったのよね。お母さんに、お菓子ばっかり食べないのって怒られていたのに…。』
「麗奈。私も、食べたいものを食べたらいいって言ってごめん。ちゃんとご飯を食べろって言うべきだった。」
『ううん。知らなかったから仕方ないよ。三日月の教えと三津木の教えは、違う所があったわけだから…。エネルギーの話しなんて知らなかったじゃない。お互いに…。』
「そうだな」
『取り返しのつかない事を、後悔するのは、もうやめよう。私も光珠も、もう未来に進むべきよ』
「生まれ変わりの道に行くのか?」
『お婆ちゃんが、亡くなったらそうするつもりなの。魂の抹消を受ける。』
「そんな……。まだ、いてくれよ。私が、そっちに行くまで」
『光珠が、こっちに来るまで何年だと思ってるの?私たちの時間は、生きている人間と進み方が違う。だけど、その分、濃縮された濃さがあるの。痛みや苦しみや悲しみは、万倍。幸せや楽しみや喜びは、千倍。そんな思いをしながら、光珠を待てないわ。』
「麗奈……」
『二条さんに頼んで、ちゃんとお別れしましょう。』
私は、項垂れて泣いた。
『それと、宝珠さん。これを光珠に後で見せてあげて欲しい』
「はい」
麗奈は、宝珠の手を握りしめた。
「わかりました。きちんと見せます。」
『宜しくお願いします。光珠、もうお願いだから苦しまないで。』
麗奈は、私の頬に手を当てる。
「それでは、失礼します。」
宝珠は、立ち上がって出て行った。
「麗奈、ごめんね。本当に、ごめんね。」
『ううん。私もごめんね』
「指だして」
『はい』
私は、麗奈の指にケースから指輪を出してはめた。
麗奈は、私に何度もキスをしてきた。
「汚れちゃうよ」
『ゐ空さんが、綺麗にしてくれる。』
「二条さんに、頼むから…。最後にきちんとお別れしよう。」
『うん』
心も身体も、もうさよならしなくちゃいけないのだ。
人生には、あの時もこの時もない事を私は、宝珠に何度も聞かされたのだ。
わかっていたのに、私は沢山の後悔を抱えた。
20年間、私が悔やんだ結果。
麗奈も、後悔をしていたのが痛いほどわかった。
万倍の痛みや苦しみを味わうと言うなら、手放してあげなければならないのだ。
それでも、お別れをきちんと出来そうにない自分がいた。
「指輪をはめれたんだね」
ゐ空さんの声に、顔を上げた。
「はい。叩いてしまったり、キスしちゃったり」
「想定内だから、大丈夫。」
もう、麗奈は話さなかった。
「麗奈は?」
「抜けたよ。人形の望みは、指輪をはめてもらう事だったから…」
ゐ空さんは、麗奈を抱えて元の位置に戻した。
「三日月宝珠を呼んだのは、ゐ空さんなのですね?」
私の言葉に、ゐ空さんは目を見開いて私を見つめた。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる