三日月宝珠と愛しき幽体

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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光珠の視点

同じだから…

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宝珠は、麗奈を見つめている。

「ハンカチをどうぞ」

『ありがとう』

「どうやら、結婚して似た者同士になってしまったのがよくなかったのですね」

『縁が、薄くなった原因ですか?』

「はい。磁石と同じ原理です。」

「それって、反発しあったって事?」

「そうです。赤子もまた似た魂の形がはいったのですね。それで、外も中も反発していたから。麗奈ちゃんは、不安だったんだね。二条さんか、師匠に会いに行っていたらよかったね。反発を弱めてくれただろうから…。」

『自分のせいだとばかり思っていた。』

「違いますよ。」

宝珠は、麗奈に笑いかけた。

「私も会えていなかったので、申し訳なかった。会えていたら、見つけてあげられたのに…。MOONをしていたので、会えなかったですから…。光珠から、子供が出来たと聞いて、もっと気に止めるべきでした。」

『宝珠さん、人生にはないんですよね?』

「そうでしたね。いつも、言っていましたね。これが、運命(さだめ)だとは言いたくはないです。」

『でも、そうだったんです。前に言ってくれたでしょ?終わりは、同じだって!どれを選んでも結末は、変わらないって。私の中にある何かがひっくり返らない限り。辿り着く結末は、同じだよって』

「はい、言いましたね。」

『だから、私はどれを選んでも死を選んでいたんだと思った。結末を変えるほどに、ひっくり返す力が私にはなかったから…。』

私は、その言葉に泣いていた。

「死にたいと舵を切った心は、どんどんそちらに傾いていきます。例え、一日、一日、生き延びてもいずれ死ぬのです。しかし、何かがきっかけで、生きたいにひっくり返った魂に私は出会った事があります。その人は、確かお米が美味しいと思ったからと話していました。きっかけは、小さくともその方の心(なか)は、大きくひっくり返りました。そして、生きたいに舵を切った。その方は、99歳まで生きましたよ。私が、MOONとして働いてる時に出会ったのでよく覚えています。麗奈ちゃんも、ひっくり返る何かがあればよかったですね」

『きっかけは、小さくても。見つけられたら、よかったです。死にたいが、手繰り寄せたのは、殺したいと思ってる殺人犯だったから…。』

「そこには、強いエネルギーが、発生したのですね。引き寄せの法則だと占い師は使います。私は、魂の共鳴だと麗奈ちゃんに話しましたね。同じエネルギーに共鳴する。それで、彼は麗奈ちゃんを殺した。麗奈ちゃんの死にたいと自分の殺したいが、共鳴した結果だった。もしかすると、赤ちゃんがいなければ違ったかもしれませんね。赤ちゃんにエネルギーをあげるぶん、自分のエネルギーは、消耗してしまうから…。」

『補う方法を見つけられなかったのね。私は…。』

「本来なら、ギリギリでも回っていけたのですが…。反発をした事で、さらにエネルギー不足になったのでしょう。命を磨り減らし始めたから、心はどんどん悲鳴をあげだした。その声しか、聞かせない程に…」


「私が、麗奈とちゃんと向き合えばよかったのだ。そうだろ?宝珠」

宝珠は、ゆっくりと首を横に振った。

『ここまでになってしまったら、無理だったんでしょ?宝珠さん』

「はい。三日月の教えです。命とは、本体である。魂の事を言います。命を磨り減らしエネルギーを使うものは、死を待つのみです。だから、麗奈ちゃんは死ぬことしか残っていなかったのです。生きている人間は、普段、命を磨り減らしエネルギーを使う事は滅多にありません。病におかされた時などに、一時的に魂からのエネルギーを使います。肉体に力がないので。しかし、それは一時的なものでずっとではありません。それをずっと続けると死ぬことがわかっているので、私達は回復をするとすぐに肉体からエネルギーを得るようになるのです。肉体にエネルギーを送る存在は、食事です。」

「麗奈は、食事はとっていた。やつれたりもしていなかった。」

「足りなかったのですよ。二人だったから、麗奈ちゃん。ご飯を食べれるようになってから、少しだけ量を増やしたりしていましたか?」

『いえ、いつもと変わりませんでした。』

「それは、よくなかったです。一人分の食事で、1.5人分を賄うのは不可能です。母親は、赤ちゃんを優先します。麗奈ちゃんは、いつもエネルギー不足だったのです。」

私と麗奈は、顔を見合わせていた。
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