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宝珠の視点
大好きでした。
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「宮部さんも、怖くて悲しかったんですね。急に、気持ちがなくなった事。私も、宮部さんに再会して気持ちがない事に気づいた時、驚きと悲しみと恐怖が襲ってきました。確かに、昨日まで存在していた愛がそこにはないと思った時、怖くて悲しくて立ち直れない気がしていた。」
宮部さんは、私から離れた。
「三日月さん、同じですよ。私も、同じでした。心(ここ)から、三日月さんへの気持ちだけがスッポリと抜け落ちてしまって…。悲しいを通りすぎて怖かったんです。私は、三日月さんを愛していたのか…。あの、一日は何だったのか…。頭と心がアンバランスで、止めようがない悲しみと恐怖が沸き上がってきたのを感じました。」
私は、宮部さんの気持ちに共鳴して泣いていた。
「光珠さんへの愛してるの気持ちが、横でパチパチと燃えてるのを感じていた。抜け落ちた場所に、その火をうつすことが堪らなく怖かった。それが、やってくると三日月さんへの気持ちはもう完全になくなるのがわかっていたから。でも、その炎には勝てなくて…。燃え移りそうだった日に、三日月さんに再会した。」
宮部さんは、私の手をとった。
「ホッとしたんです。そこに燃え移らなくてよかったと…。三日月さんは、私にとって特別だったから…。それを何者にも奪われたくなかった。駄目だと言われても、失いたくなかった。」
宮部さんの目から、ポトリポトリと涙が落ちていく。
「三日月さんと、どうにかなりたいわけじゃない。ただ、その空間は三日月さんの場所で。他の誰かがやってきて座る場所じゃないって思ったんです。」
宮部さんの手が震えている。
「三日月さんの愛が、もうそこにない事が悲しくて怖かった。それでも、前に進んでいく自分の強さが嫌になった。三日月さんと、どんな形でも傍にいる事を望んだ自分が嫌になった。」
「宮部さん……。私も、同じですよ。宮部さんの気持ちが抜けた穴を、宮部さんで埋めたいと思った。その場所は、宮部さんの場所だと思った。同じです。欲深い人間です。私は…。」
宮部さんは、首を横に振った。
「愛してるとか、必要とか、そんな言葉じゃないんです。わかりますか?三日月さん」
「わかりますよ。」
「そんな簡単に、捻り出せる言葉なら苦労しないんです。三日月さんとの事は、そんな簡単な事じゃないんです。だって、私もあの時に…。」
私は、首を横に振った。
「三日月さんと、生きていく未来を取ることは絶対に出来ない事だとちゃんとわかっています。」
「今は、少しだけ絡まっています。きっと、今、麗奈さんが現れたのだと思います。だから、宮部さん。少しだけ、不安定なだけです。それに気づいているから、私を好きだった事を思い出そうとしてるだけです。宮部さんは、察しがいい人だからです。」
「三日月さんは、わかってるんですね。覗かなくても、見えている。私の縁の糸が今、どうなっているか…。」
「はい、全て見えていますよ。」
宮部さんは、私に抱きついてきた。
「どうしました?」
「最後に、抱き締めて下さい。」
私は、宮部さんの涙が止まっているのをわかっていた。
宮部さんは、察しがいい。
だから、私との恋愛の縁がもうない事に気づいている。
いずれ、抜け落ちた場所に光珠への想いが溢(あふ)れていくのに気づいている。
それは、彼と向き合った後に起こることだとわかっている。
宮部さんは、誰の力も借りずに自分の心に向き合って生きてきた人だから、直感に優れている。
宮部さんの中で、私を取ることはもう二度とないし、私が宮部さんを取ることも二度とない。
ちゃんと再会した日から、わかっていたけれど…。
こうやって、向き合ってお互いに聞きたかっただけなのがわかる。
私も、宮部さんも、ちゃんと向き合って確かめたかっただけなのだ。
私は、宮部さんを抱き締める。
「大好きでした。宝珠」
「大好きでした。希海」
暫く、宮部さんを抱き締めていた。
「三日月さん、甘いもの食べに行きませんか?」
宮部さんは、私から離れて笑ってそう言った。
宮部さんは、私から離れた。
「三日月さん、同じですよ。私も、同じでした。心(ここ)から、三日月さんへの気持ちだけがスッポリと抜け落ちてしまって…。悲しいを通りすぎて怖かったんです。私は、三日月さんを愛していたのか…。あの、一日は何だったのか…。頭と心がアンバランスで、止めようがない悲しみと恐怖が沸き上がってきたのを感じました。」
私は、宮部さんの気持ちに共鳴して泣いていた。
「光珠さんへの愛してるの気持ちが、横でパチパチと燃えてるのを感じていた。抜け落ちた場所に、その火をうつすことが堪らなく怖かった。それが、やってくると三日月さんへの気持ちはもう完全になくなるのがわかっていたから。でも、その炎には勝てなくて…。燃え移りそうだった日に、三日月さんに再会した。」
宮部さんは、私の手をとった。
「ホッとしたんです。そこに燃え移らなくてよかったと…。三日月さんは、私にとって特別だったから…。それを何者にも奪われたくなかった。駄目だと言われても、失いたくなかった。」
宮部さんの目から、ポトリポトリと涙が落ちていく。
「三日月さんと、どうにかなりたいわけじゃない。ただ、その空間は三日月さんの場所で。他の誰かがやってきて座る場所じゃないって思ったんです。」
宮部さんの手が震えている。
「三日月さんの愛が、もうそこにない事が悲しくて怖かった。それでも、前に進んでいく自分の強さが嫌になった。三日月さんと、どんな形でも傍にいる事を望んだ自分が嫌になった。」
「宮部さん……。私も、同じですよ。宮部さんの気持ちが抜けた穴を、宮部さんで埋めたいと思った。その場所は、宮部さんの場所だと思った。同じです。欲深い人間です。私は…。」
宮部さんは、首を横に振った。
「愛してるとか、必要とか、そんな言葉じゃないんです。わかりますか?三日月さん」
「わかりますよ。」
「そんな簡単に、捻り出せる言葉なら苦労しないんです。三日月さんとの事は、そんな簡単な事じゃないんです。だって、私もあの時に…。」
私は、首を横に振った。
「三日月さんと、生きていく未来を取ることは絶対に出来ない事だとちゃんとわかっています。」
「今は、少しだけ絡まっています。きっと、今、麗奈さんが現れたのだと思います。だから、宮部さん。少しだけ、不安定なだけです。それに気づいているから、私を好きだった事を思い出そうとしてるだけです。宮部さんは、察しがいい人だからです。」
「三日月さんは、わかってるんですね。覗かなくても、見えている。私の縁の糸が今、どうなっているか…。」
「はい、全て見えていますよ。」
宮部さんは、私に抱きついてきた。
「どうしました?」
「最後に、抱き締めて下さい。」
私は、宮部さんの涙が止まっているのをわかっていた。
宮部さんは、察しがいい。
だから、私との恋愛の縁がもうない事に気づいている。
いずれ、抜け落ちた場所に光珠への想いが溢(あふ)れていくのに気づいている。
それは、彼と向き合った後に起こることだとわかっている。
宮部さんは、誰の力も借りずに自分の心に向き合って生きてきた人だから、直感に優れている。
宮部さんの中で、私を取ることはもう二度とないし、私が宮部さんを取ることも二度とない。
ちゃんと再会した日から、わかっていたけれど…。
こうやって、向き合ってお互いに聞きたかっただけなのがわかる。
私も、宮部さんも、ちゃんと向き合って確かめたかっただけなのだ。
私は、宮部さんを抱き締める。
「大好きでした。宝珠」
「大好きでした。希海」
暫く、宮部さんを抱き締めていた。
「三日月さん、甘いもの食べに行きませんか?」
宮部さんは、私から離れて笑ってそう言った。
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