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ぬいぐるみ師
従兄弟
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モカ君は、深呼吸をしてゆっくりと私に話す。
「私は、あの時17歳だったんです。従兄弟は、私と10歳違いました。結婚して2年が経ち妊娠をしなかった従兄弟は奥さんと検査に行きました。従兄弟は、精子がありませんでした。悲しいですね。子供を望む従兄弟にはなくて、人形が好きな私には、その能力がある。体を取り替えてあげたかった。神様は、酷いと思った。従兄弟は、本当に子供を望んでいたんです。」
モカ君は、私から離れて手を握りしめる。
「従兄弟は、死のうとしたんですよ。奥さんが、別の誰かとの子を宿し幸せになる未来を見届けるぐらいなら今すぐここから飛び降りると言われました。私は、言ってしまったんです。何とかするからって…。」
「それが、提供する事だったのか?」
「はい、それしかわからなかった。17歳の頭で、考えられる事なんて知れていました。三回程渡して奥さんは、妊娠しました。従兄弟は、喜んだし。本当に、幸せそうでした。私も、嬉しかった。もう、大好きな従兄弟が死のうと思ったりしないと思えたら嬉しかった。」
「でも、従兄弟は、どんどん不幸になっていったんだね。」
モカ君は、ボロボロ泣いて私を見つめる。
「そうなんです。お腹にいる間は、よかったんです。子供が産まれて、成長していくにつれて。だんだんとおかしくなっていきました。」
「それで、一歳を過ぎた頃にとうとう事件が起きた。」
「そうなんです。子供は、奥さんにそっくりだったんですよ。だけど、急に愛せなくなっていったのがわかった。自分の血が繋がっていないからでしょうか?それとも、私のせいだったのでしょうか?」
「万珠さんは、何と言いましたか?」
「全ては、決まっていた事だと言いました。従兄弟は、最初から死ぬのを決めていたと言われました。万珠さんは、従兄弟の幽体に触(ふ)れて言いました。彼は、もうずっと死ぬのを待っていたと…。あの日、自分に子孫繁栄能力がないと突きつけられた瞬間に絶望していたと、毎日、毎日、断崖絶壁に渡された一本の綱を渡り歩いている生活だったと…。いつ谷底に落ちるかわからない日々を必死でしがみついて生きていたと…」
私は、モカ君にハンカチを差し出した。
震える手で、それを受け取った。
「モカのお陰で、夢を見れたといいました。幸せな夢を見れた。」
「あの日、彼は奥さんと喧嘩をした。」
モカ君は、私を見た。
「あなたの遺伝子じゃなくて、本当によかったと言われた」
「光珠さん、何を言ってるのですか?」
「モカ君、今。万珠さんが、見た従兄弟のビジョンが見えてる。聞こえてるんだ。」
「それは、万珠さんが私に聞かしてくれた声の他の部分なのですか?」
「そうだよ。私には、聞こえてる。あの日、彼は妻と喧嘩したんだ。別れてくれと言われたから…。モカを好きだと言われた。モカの子供だから、二人で育てたいと言われた。別れないと言ったら、彼女は俺を哀れな目で見つめこう言った。本当にあなたの遺伝子じゃなくてよかった。そして、留目をさすようにこう言った。私、女の子も欲しいの。あなたには、無理でしょ?あなたの醜い嫉妬にはもううんざりなのよ。いい加減、私を自由にしてよ……。」
「そんな……。」
モカ君は、ふらっとした。
私は、倒れないように支える。
「私は、従兄弟の奥さんに興味はないです。あの子も可愛くなんて思えなかった。なのに、何で…。何で、そんな酷い事を……。」
「いっそ、見ず知らずの他人からもらう方がよかったのかもしれないね。」
「光珠さん」
「奥さんは、君が従兄弟の奥さんだから優しくしてくれてるだけだって気づいてなかったんじゃないのかな?もしも、従兄弟と別れて彼女が現れても君は冷たくあしらっただろう…。でもね、従兄弟は君の事も考えて彼女を道連れにしたんだよ。本当は、一人で死ぬつもりだったんだよ。あの日…」
モカ君は、私を泣きながら見つめていた。
三日月万珠が、モカ君に聞かせた声の裏側を私は、彼を通して聞いていた。
「私は、あの時17歳だったんです。従兄弟は、私と10歳違いました。結婚して2年が経ち妊娠をしなかった従兄弟は奥さんと検査に行きました。従兄弟は、精子がありませんでした。悲しいですね。子供を望む従兄弟にはなくて、人形が好きな私には、その能力がある。体を取り替えてあげたかった。神様は、酷いと思った。従兄弟は、本当に子供を望んでいたんです。」
モカ君は、私から離れて手を握りしめる。
「従兄弟は、死のうとしたんですよ。奥さんが、別の誰かとの子を宿し幸せになる未来を見届けるぐらいなら今すぐここから飛び降りると言われました。私は、言ってしまったんです。何とかするからって…。」
「それが、提供する事だったのか?」
「はい、それしかわからなかった。17歳の頭で、考えられる事なんて知れていました。三回程渡して奥さんは、妊娠しました。従兄弟は、喜んだし。本当に、幸せそうでした。私も、嬉しかった。もう、大好きな従兄弟が死のうと思ったりしないと思えたら嬉しかった。」
「でも、従兄弟は、どんどん不幸になっていったんだね。」
モカ君は、ボロボロ泣いて私を見つめる。
「そうなんです。お腹にいる間は、よかったんです。子供が産まれて、成長していくにつれて。だんだんとおかしくなっていきました。」
「それで、一歳を過ぎた頃にとうとう事件が起きた。」
「そうなんです。子供は、奥さんにそっくりだったんですよ。だけど、急に愛せなくなっていったのがわかった。自分の血が繋がっていないからでしょうか?それとも、私のせいだったのでしょうか?」
「万珠さんは、何と言いましたか?」
「全ては、決まっていた事だと言いました。従兄弟は、最初から死ぬのを決めていたと言われました。万珠さんは、従兄弟の幽体に触(ふ)れて言いました。彼は、もうずっと死ぬのを待っていたと…。あの日、自分に子孫繁栄能力がないと突きつけられた瞬間に絶望していたと、毎日、毎日、断崖絶壁に渡された一本の綱を渡り歩いている生活だったと…。いつ谷底に落ちるかわからない日々を必死でしがみついて生きていたと…」
私は、モカ君にハンカチを差し出した。
震える手で、それを受け取った。
「モカのお陰で、夢を見れたといいました。幸せな夢を見れた。」
「あの日、彼は奥さんと喧嘩をした。」
モカ君は、私を見た。
「あなたの遺伝子じゃなくて、本当によかったと言われた」
「光珠さん、何を言ってるのですか?」
「モカ君、今。万珠さんが、見た従兄弟のビジョンが見えてる。聞こえてるんだ。」
「それは、万珠さんが私に聞かしてくれた声の他の部分なのですか?」
「そうだよ。私には、聞こえてる。あの日、彼は妻と喧嘩したんだ。別れてくれと言われたから…。モカを好きだと言われた。モカの子供だから、二人で育てたいと言われた。別れないと言ったら、彼女は俺を哀れな目で見つめこう言った。本当にあなたの遺伝子じゃなくてよかった。そして、留目をさすようにこう言った。私、女の子も欲しいの。あなたには、無理でしょ?あなたの醜い嫉妬にはもううんざりなのよ。いい加減、私を自由にしてよ……。」
「そんな……。」
モカ君は、ふらっとした。
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「私は、従兄弟の奥さんに興味はないです。あの子も可愛くなんて思えなかった。なのに、何で…。何で、そんな酷い事を……。」
「いっそ、見ず知らずの他人からもらう方がよかったのかもしれないね。」
「光珠さん」
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モカ君は、私を泣きながら見つめていた。
三日月万珠が、モカ君に聞かせた声の裏側を私は、彼を通して聞いていた。
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