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ぬいぐるみ師
吐き出す
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「私はね、ずっと日記を一言でも書いてる。そうやって、乗り越えるしかないとある日知ったんだ。書いて、書いて、書いて、消化していくしかない事を知ったんだ。だから、モカさんも心(ここ)に溜めていないで吐き出すべきですよ。聞いてくれる人がいるなら、話して…。無理なら、書いて!そうやって、消化していくしかないんです。そのうちに、答えを心(ここ)が導いてくれるようになりますから…」
宝珠は、そう言って私とモカ君の頭を撫でた。
「モカさんの師匠も答えが出たようですよ。」
そう言って、宝珠は私とモカ君から離れた。
「あの、宝珠」
「何ですか?」
「ずっと、傷つけてごめん。あの日の宿題の答えがわかった気がするんだ。18時間もかかったんだよ。あの、宿題」
宝珠は、思い出したように笑った。
「だけど、本当。死にたくなくなった。気づいたら、そうなってた。ボタンもだったけど…。」
宝珠は笑って頭を撫でてくれる。
「答え合わせして、光珠が思ってるのと違ったら残念でしょ?光珠が、受け取った答えが正解ですよ。だから、答え合わせはしないでおきましょう。だけど、一つだけ答えをあげるなら…。私の人生に光珠がいなくなると、前に進めなくなります。では、いってきますね。」
私の目から涙がスッーと流れてくる。
「宿題って、何ですか?」
モカ君が、私を見つめる。
「死のうとした私に、デミグラスソースを作ってくれって言ったんだよ。宝珠が…。買い物やレシピを調べたり煮込んだりで、18時間もかかったんだよ。」
「それで、死にたい気持ちは?」
「いつの間にか、消えていた。いつの間にかデミグラスソースの事で、頭がいっぱいになってたんだよ。」
「凄いですね」
「あぁ、宝珠は凄いよ。」
「それも、そうですけど…。デミグラスソースを作る事もですよ。」
「確かにね、凄く時間かかった。」
モカ君は、フフフって笑った。
「思考を別のものに置き換えたって事ですよね?さっき、宝珠さんが話したガーベラの話みたいに…。そこだけに、いかないようにしたのですよね?」
「そうだと思うよ。でも、それだけじゃなくて…。宿題の答え。私なりに、さっき出たんだけどね」
「何ですか?」
「自分と向き合えって事だったのかな?って」
「デミグラスソースですか?」
「うん。煮込んでる間、私は色々考えれたんだよ。自分にとことん向き合ったって感じだった。彼女を亡くしてから、初めて自分と向き合えた気がした。あの後からは、死ぬのを考えなくなった。」
「自分しか、乗り越える方法しかないって話してましたよね。その方法を光珠さんは、デミグラスソースを作りながら見つけたって事ですよね?」
「見つけたってよりは、気づいたら生きていたって感じに近かったかな」
モカ君は、不思議そうな顔をした。
「不思議ですね。デミグラスソースで…。」
「今思えば、何でもよかったんじゃないのかな?私の中から、死にたいを取り除く事が出来たら何でもよかったんだと思うんだ。私は、宝珠が大好きだったから宝珠が作ってくれと言ったから作ろうと思えたんだと思う。だけど、本当に不思議だよ。でも、死ぬなって言われてたら言い争っていただろうね。デミグラスソースって言われたせいで、頭の中はハテナマークが飛び交っていたよ。」
「確かに、死のうとしてる人に言う言葉じゃないですよね」
「そうなんだよ。」
私は、モカ君が笑ってるのを見ていた。
「何か、落ち着きました。本当に、光珠さんのお陰です。」
「私より、宝珠が凄いんだよ。」
「そんな事ないですよ。話を聞いてくれてありがとうございます。私もようやく少しずつでも、前に進めます。生きて答えを探し続けます。コウの為にどうするのが一番よかったのかを私は探しつづけます。」
「わかった」
「本当に、ありがとうございました。」
モカ君は、私をギューっと抱き締めて離れた。
「では、まだ仕事があるので失礼します。」
「はい」
深々と頭を下げて、いなくなった。
私は、暫く宝珠を待とうかな…。
私は、庭の花を見つめていた。
宝珠は、そう言って私とモカ君の頭を撫でた。
「モカさんの師匠も答えが出たようですよ。」
そう言って、宝珠は私とモカ君から離れた。
「あの、宝珠」
「何ですか?」
「ずっと、傷つけてごめん。あの日の宿題の答えがわかった気がするんだ。18時間もかかったんだよ。あの、宿題」
宝珠は、思い出したように笑った。
「だけど、本当。死にたくなくなった。気づいたら、そうなってた。ボタンもだったけど…。」
宝珠は笑って頭を撫でてくれる。
「答え合わせして、光珠が思ってるのと違ったら残念でしょ?光珠が、受け取った答えが正解ですよ。だから、答え合わせはしないでおきましょう。だけど、一つだけ答えをあげるなら…。私の人生に光珠がいなくなると、前に進めなくなります。では、いってきますね。」
私の目から涙がスッーと流れてくる。
「宿題って、何ですか?」
モカ君が、私を見つめる。
「死のうとした私に、デミグラスソースを作ってくれって言ったんだよ。宝珠が…。買い物やレシピを調べたり煮込んだりで、18時間もかかったんだよ。」
「それで、死にたい気持ちは?」
「いつの間にか、消えていた。いつの間にかデミグラスソースの事で、頭がいっぱいになってたんだよ。」
「凄いですね」
「あぁ、宝珠は凄いよ。」
「それも、そうですけど…。デミグラスソースを作る事もですよ。」
「確かにね、凄く時間かかった。」
モカ君は、フフフって笑った。
「思考を別のものに置き換えたって事ですよね?さっき、宝珠さんが話したガーベラの話みたいに…。そこだけに、いかないようにしたのですよね?」
「そうだと思うよ。でも、それだけじゃなくて…。宿題の答え。私なりに、さっき出たんだけどね」
「何ですか?」
「自分と向き合えって事だったのかな?って」
「デミグラスソースですか?」
「うん。煮込んでる間、私は色々考えれたんだよ。自分にとことん向き合ったって感じだった。彼女を亡くしてから、初めて自分と向き合えた気がした。あの後からは、死ぬのを考えなくなった。」
「自分しか、乗り越える方法しかないって話してましたよね。その方法を光珠さんは、デミグラスソースを作りながら見つけたって事ですよね?」
「見つけたってよりは、気づいたら生きていたって感じに近かったかな」
モカ君は、不思議そうな顔をした。
「不思議ですね。デミグラスソースで…。」
「今思えば、何でもよかったんじゃないのかな?私の中から、死にたいを取り除く事が出来たら何でもよかったんだと思うんだ。私は、宝珠が大好きだったから宝珠が作ってくれと言ったから作ろうと思えたんだと思う。だけど、本当に不思議だよ。でも、死ぬなって言われてたら言い争っていただろうね。デミグラスソースって言われたせいで、頭の中はハテナマークが飛び交っていたよ。」
「確かに、死のうとしてる人に言う言葉じゃないですよね」
「そうなんだよ。」
私は、モカ君が笑ってるのを見ていた。
「何か、落ち着きました。本当に、光珠さんのお陰です。」
「私より、宝珠が凄いんだよ。」
「そんな事ないですよ。話を聞いてくれてありがとうございます。私もようやく少しずつでも、前に進めます。生きて答えを探し続けます。コウの為にどうするのが一番よかったのかを私は探しつづけます。」
「わかった」
「本当に、ありがとうございました。」
モカ君は、私をギューっと抱き締めて離れた。
「では、まだ仕事があるので失礼します。」
「はい」
深々と頭を下げて、いなくなった。
私は、暫く宝珠を待とうかな…。
私は、庭の花を見つめていた。
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