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宮部希海の視点

かどくら

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三日月さんと離れて、喜与恵さんとパフェを食べに来ていた。

「これは、映えってやつですね?宮部さん」

「希海でいいですよ!喜与恵さん」

「私も、喜与恵でいいですよ!」

二人で、笑い合う。

私達は、イチゴパフェを頼んだ。

大きなイチゴが、5粒ものっている。

「喜与恵君でもいい?」

「はい、勿論ですよ。希海ちゃんでも、いいですか?」

「いいよ」

私と喜与恵君は、パシャパシャと写真を撮って、いただきますをして食べ始める。

「さっき、三日月さんにすがりついてしまったの」

私の言葉に、喜与恵君は首を傾げていた。

「怒らないの?そういうのは、やめてとかって!」

喜与恵君は、首を横に振った。

パフェをゴクッと飲み込んで、喜与恵君は私を見つめて言う。

「希海ちゃんが、そうしたいって思ったのなら、そうしたらいいんですよ!私は、宝珠が希海ちゃんに向ける優しさを止めたりはしませんよ。だって、二人は愛し合っていたではありませんか…。」

私は、その言葉に泣いてしまった。

「ごめんなさい。」

喜与恵君は、ポケットからハンカチを取り出して渡してくれる。

「こっちこそ、ごめんなさい。多分、怖いだけなの。」

「怖い?」

「三日月さんの記憶がない時に、話したよね。おろすつもりだったけど、生きるのをやめてくれたって…。」

「はい、覚えてます。」

「彼がね、人形を頼んで!今日取りにくるの」

「ひかりちゃんをですか?」

「うん。そうなの」

私の言葉に、喜与恵君は複雑そうな顔を浮かべる。

「それで、怖かったのですね。」

「三日月さんにその話を聞いて、すぐに光珠さんに伝えようと思ったけど、もし止められたらと思うと言えそうになかった。」

「前を向きたいって、ことですよね?」

「そう!いい加減、前を向きたいの、私」

「希海ちゃんは、強いですね。いつでも、一人で歩いてきた。」

「そんな事ないよ」

「私は、最初にお会いした時から希海ちゃんの強さをわかっていましたよ。誰にも頼らずに生きてきていた。女性でありながら、そこに甘んじない強さ。男性に頼って生きていかない強さ。素晴らしいと思いました。そんな希海ちゃんが、宝珠に少しだけ頼りたくなったから恋をした。そして、宝珠に恋をしたから光珠さんに恋が出来たんです。私には、それが見えました。」

喜与恵君の言葉に涙が流れてきた。

「あの日、結婚や子供、普通や当たり前、その迷いを持ち合わせてやってこなければ、希海ちゃんが宝珠の肩を借りることはけしてありませんでした。だから、宝珠も光珠さんも希海ちゃんが掴んだ縁なのですよ!」

喜与恵君は、ニコッと微笑んでくれた。

「私ね、物心ついた時から、女は男を立ててついていかなくちゃいけないって構図が大嫌いだったの」

「はい」

「母親が、父親に偉そうに言われて蔑まれても、あなたのお陰と言って笑ってるのが大嫌いだった。それは、私の家だけじゃなかった。幸せそうな友達の家も同じ。母親が一生懸命頑張っていた。それが、下らなかったの。ずっと、下らなくて…。私の目指す場所は、ここじゃないって思っていた。」

「わかりますよ。」

喜与恵君は、私にそう言って笑いかけた。

「やっぱり、凄いですね」

「私には、あの方の血が入っているからわかります。希海ちゃんの魂は、本当に自立しています。女性は、だいたい半分欠けた魂をしているんです。そして、伴侶と子供を得て丸になる。しかし、希海ちゃんは最初から丸でした。ただ、一部だけ欠けがあの日出来ていたので、宝珠に惹かれたのです。」

「喜与恵君は、魂が見えるんだよね」

私は、手帳を取り出して今の言葉をメモする。

「そうです。男の人も同じですよ。半分欠けた魂の持ち主は、結婚し子を持ちます。宝珠の魂は、ほとんど丸です。しかし、一部分だけ僅かに欠けがあった。それが、希海ちゃんに恋をした理由です。」

私は、喜与恵君の言葉をメモしていく。
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