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宮部希海の視点
話したい
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「人は、不思議だよね。自分の事を認めてくれるのは、一人いればいいと頭で思っていても…。やっぱり、一人だけじゃ寂しいんだよね。」
ゐ空さんの言葉に、私はゐ空さんと三日月さんを見ていた。
「一人じゃ、雑音を書き消す事が出来ない時もあるんだよね。愛する人の愛してるだけじゃ、静まらない痛みもあるって事。だから、宮部さん。同じ場所にいる人に沢山出会うべきだよ。」
私は、ゐ空さんの言葉に頷いていた。
もう、一人で抱えて生きる必要はないんだと言われたのを感じた。
光珠さんは、私の手を握りしめる。
「希海さん、私だけじゃどうにもならない痛みや苦しみや悲しみがあるなら、宝珠や喜与恵さんに話していいんだよ。もっと、自分の事を沢山話していいんだよ。」
光珠さんの言葉に、頷いていた。
ずっと、泥の沼を泳いでる日々だった。
誰にも理解されないと思っていた。
あの日、三日月さんに出会って人生は180度変わった。
それでも、周りの雑音が静まる事はなかった。
「さあ、皆。食べましょう」
モカさんに言われて、振り向いた。
美味しいものを食べる相手がいる。
それだけで、幸せな事だと気づく。
『いただきまーす。』
皆で、晩御飯を食べる。
時刻は、夜の18時を回っていた。
お酒は、飲まないよとか、どんなご飯が好きとか、休みの日は、何をしているの?とか、何も考えなくていい話を沢山する。
色とりどりに並んだ料理を食べながら、笑い合う。
胸が締め付けられる事も、ざわざわする事も、イライラする事も、悲しくなる事も、ない世界にいれてホッとする。
これだけの人数と食事をしているのに、そんな気持ちにならない事が嬉しい。
この世界には、幸せしか落ちてないと錯覚する。
『ごちそうさまでした』
食べ終わった頃には、19時を回っていた。
「20時には、来られるって言っていたから準備をするよ。宮部さんも来る?」
「はい」
私は、ゐ空さんと一緒に出る。
「赤ちゃんを渡すのですか?」
「うん、成長させていくつもりだよ。」
「そうなんですね。」
「宮部さんは、嫌?」
「いいえ。ひかりちゃんが、愛されてるならよかったです。私は、愛していなかったから…。」
私の言葉に、ゐ空さんは優しい笑顔を向ける。
「私は、依頼者から事情を聞いているから言うけど。ひかりちゃんは、産まれなくてよかったと思ってる。そんな言葉を言うと私は、酷い人間かな?」
私は、首を横に振った。
「愛せない事をわかっているのに、産む必要なんてどこにもないんだよ。それを、授かれば産みなさいという。そんな世の中は、おかしいと思う。」
「ゐ空さん、私みたいな人に会った事があるんですか?」
ゐ空さんは、私を見つめて頷いた。
「師匠の病院に行った時にね。24歳の女の人だった。結婚して、子供を産んだ。だけど、お腹の中にいる時から可愛いとも愛しいとも思えなかったと言っていた。それでも、旦那さんが喜ぶから産んだと言った。」
「それで…」
「四六時中泣くし、煩いし、だんだん嫌いな存在になったと言っていた。愛なんて一ミリも芽生えないのを感じたって。彼女は、育児放棄をするようになって…。旦那さんに、精神が異常だと言われて離婚されたと言った。赤ちゃんを向こうが引き取ってくれた時に、心底ホッとしたと言っていた。愛せないものと暮らす事は、苦痛で堪らなかったと話した。」
「彼女は、被害者ですね。妊娠したら、産むべきという。命だから、産まなくちゃいけないという。」
ゐ空さんは、思い出して泣いてる。
「命だ、命だ、って言われなくたって、彼女だって命だってきちんとわかっていたよ。だけど、彼女は私に話した。産まなければ、よかったと…。あの時、誰か一人でも愛せない事を理解してくれていたら違っていたと言っていた。だから、宮部さんの赤ちゃん。産まれていなくてよかったと話したら酷い人間ですよね」
私は、ゐ空さんの言葉に首を横に振った。
「私も思ってます。産まれなくてよかったって!」
彼に会うのが、少し怖くなった。
私は、その女の人の気持ちがわかる。
【俺達の赤ちゃんが、死んだんだよ。何で、何で、希海は笑ってるんだよ。悲しくないのかよ】
ゐ空さんの言葉に、私はゐ空さんと三日月さんを見ていた。
「一人じゃ、雑音を書き消す事が出来ない時もあるんだよね。愛する人の愛してるだけじゃ、静まらない痛みもあるって事。だから、宮部さん。同じ場所にいる人に沢山出会うべきだよ。」
私は、ゐ空さんの言葉に頷いていた。
もう、一人で抱えて生きる必要はないんだと言われたのを感じた。
光珠さんは、私の手を握りしめる。
「希海さん、私だけじゃどうにもならない痛みや苦しみや悲しみがあるなら、宝珠や喜与恵さんに話していいんだよ。もっと、自分の事を沢山話していいんだよ。」
光珠さんの言葉に、頷いていた。
ずっと、泥の沼を泳いでる日々だった。
誰にも理解されないと思っていた。
あの日、三日月さんに出会って人生は180度変わった。
それでも、周りの雑音が静まる事はなかった。
「さあ、皆。食べましょう」
モカさんに言われて、振り向いた。
美味しいものを食べる相手がいる。
それだけで、幸せな事だと気づく。
『いただきまーす。』
皆で、晩御飯を食べる。
時刻は、夜の18時を回っていた。
お酒は、飲まないよとか、どんなご飯が好きとか、休みの日は、何をしているの?とか、何も考えなくていい話を沢山する。
色とりどりに並んだ料理を食べながら、笑い合う。
胸が締め付けられる事も、ざわざわする事も、イライラする事も、悲しくなる事も、ない世界にいれてホッとする。
これだけの人数と食事をしているのに、そんな気持ちにならない事が嬉しい。
この世界には、幸せしか落ちてないと錯覚する。
『ごちそうさまでした』
食べ終わった頃には、19時を回っていた。
「20時には、来られるって言っていたから準備をするよ。宮部さんも来る?」
「はい」
私は、ゐ空さんと一緒に出る。
「赤ちゃんを渡すのですか?」
「うん、成長させていくつもりだよ。」
「そうなんですね。」
「宮部さんは、嫌?」
「いいえ。ひかりちゃんが、愛されてるならよかったです。私は、愛していなかったから…。」
私の言葉に、ゐ空さんは優しい笑顔を向ける。
「私は、依頼者から事情を聞いているから言うけど。ひかりちゃんは、産まれなくてよかったと思ってる。そんな言葉を言うと私は、酷い人間かな?」
私は、首を横に振った。
「愛せない事をわかっているのに、産む必要なんてどこにもないんだよ。それを、授かれば産みなさいという。そんな世の中は、おかしいと思う。」
「ゐ空さん、私みたいな人に会った事があるんですか?」
ゐ空さんは、私を見つめて頷いた。
「師匠の病院に行った時にね。24歳の女の人だった。結婚して、子供を産んだ。だけど、お腹の中にいる時から可愛いとも愛しいとも思えなかったと言っていた。それでも、旦那さんが喜ぶから産んだと言った。」
「それで…」
「四六時中泣くし、煩いし、だんだん嫌いな存在になったと言っていた。愛なんて一ミリも芽生えないのを感じたって。彼女は、育児放棄をするようになって…。旦那さんに、精神が異常だと言われて離婚されたと言った。赤ちゃんを向こうが引き取ってくれた時に、心底ホッとしたと言っていた。愛せないものと暮らす事は、苦痛で堪らなかったと話した。」
「彼女は、被害者ですね。妊娠したら、産むべきという。命だから、産まなくちゃいけないという。」
ゐ空さんは、思い出して泣いてる。
「命だ、命だ、って言われなくたって、彼女だって命だってきちんとわかっていたよ。だけど、彼女は私に話した。産まなければ、よかったと…。あの時、誰か一人でも愛せない事を理解してくれていたら違っていたと言っていた。だから、宮部さんの赤ちゃん。産まれていなくてよかったと話したら酷い人間ですよね」
私は、ゐ空さんの言葉に首を横に振った。
「私も思ってます。産まれなくてよかったって!」
彼に会うのが、少し怖くなった。
私は、その女の人の気持ちがわかる。
【俺達の赤ちゃんが、死んだんだよ。何で、何で、希海は笑ってるんだよ。悲しくないのかよ】
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