桜の季節に失くした恋と…【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
36 / 65
お腹いっぱい、召し上がれ

自己紹介

しおりを挟む
「いただきます。」

彼女は、ケーキを平らげてくれた。

「ありがとう」

嬉しくて、ずっと頬が緩みっぱなしだった。

「俺の名前は、村井美鶴むらいみつる二十歳です。よろしくね」

「私は、荻野美花おぎのみかです。十八歳です。来年から、大学生です。よろしくお願いします」

「敬語はやめてよ。よろしく。一人暮らし?」

「はい、この近くで」

「今度、行っていい?」

「今からでも、どうぞ」

「襲っちゃうよ」

「いいですよ」

俺は、荻野さんの家にその日のうちにやってきた。

「コーヒーいれます」

「はい」

もっと、お家は汚いのかと思っていた。

とても、綺麗だった。

俺のタッパも、流しにいれられた。

「コーヒーどうぞ」

「ありがとう。荻野さん」

「はい」

「付き合うで、いいんだよね?」

「はい、もちろんです」

「よかった。」

俺は、ホッとしていた。

「でも、本当に私なんかでいいんですか?」

「私なんかじゃない。荻野さんだからいいんだよ。美花って呼んでいい?どんな字を書くの?」

彼女は、綺麗な文字で美花と書いた。

「綺麗な名前だね。美花にピッタリだよ」

彼女は、首を横に振った。

「俺と同じ漢字入ってる」

「綺麗な名前ですね。」

「美鶴で、いいよ。」

「美鶴」

「ありがとう」

俺は、コーヒーを飲む。

「あの、その、私。こんな見た目だから、付き合った事もなくて」

「俺も同じだから、気にしないで」

「えっ、そんなわけないですよね」

「決めつけは、よくないよ。」

「そうですよね」

「うん。ご両親は?」

「父は、物心ついた時からいなくて、高校卒業してすぐに母親は妹を連れて出ていきました。こんなデブは、私の子供じゃないって。妹は、ご馳走。私は、レトルトやカップ麺やお弁当ばかりだった。」

「お母さんは、一回も料理を作ってくれなかったの?」

「はい、一度も」

愛されていなかった目をしていた。

俺と同じだった。

「俺も同じだよ。これからは、俺が作ってあげる。仕事終わったら来てもいい?」

「はい、もちろんです。」

「じゃあ、買い物は出来るかな?」

「駅前のスーパーが、12時まで開いてるので、そこに行きます。」

「買ってきて欲しいものは、前日に言うね。じゃあ、明日はカレーの材料を買ってきてくれる?これ、お金。そういえばどうやって、生活してるの?」

「そういうお店で、働いてるわけではないですよ。掃除のお仕事に行ってます。23時までです。」

「そうなんだね。よかった。安心した」

俺は、美花を抱き締めていた。

「腕、回らないですよね」

「関係ないよ。」

「どうして?」

「ヤキモチ妬いてた。おじさん相手にそうしてるのかと思ったりしたら、嫌だったから」

「フフフ、美鶴は可愛いですね」

「そうかな?」

「そうですよ」

「美花も俺をいつか好きになって」

「わかりました」

「約束だよ」

「はい」

美花は、想像通りで可愛い人だった。

「痩せます、頑張ります」

「別に、痩せなくていいよ。俺は、気にしないから」

「痩せられないんです。」

「だったら、無理しないでいいよ。俺は、気にしないから」

「私みたいなの、抱けます?」

「抱けるって、ああ、そっち?全然、いけるよ。俺は。だって、美花が好きだから。美花は、無理だよね?」

美花は、首を横に振った。

「いけるの?」

「当たり前です。こんな、綺麗な人」

「好きな人に褒められるのは、嬉しいよ。ありがとう。美花も可愛いよ。もっと、可愛い姿をみたいって思う。でも、ゆっくり進もう。焦らなくていい。」

「はい」

「前髪は、切るかピンでとめなよ。可愛い目が、見えないのは残念だよ」

「わかりました」

「いや、やっぱり俺にだけ見せて」

「はい、いいですよ」

「俺は、ヤキモチ妬きみたいだね」

「いえ、嬉しいです」

俺は、美花とこの日付き合う事になった。

好きな人と一緒にいるだけで、こんなに幸せな事を初めて知ったんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

さようなら、初恋

芙月みひろ
恋愛
彼が選んだのは姉だった *表紙写真はガーリードロップ様からお借りしています

一途な恋

凛子
恋愛
貴方だけ見つめてる……

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

【完結/番外追加】サリシャの光 〜憧れの先へ〜

ねるねわかば
恋愛
彼女は進む。過去に囚われた者たちを残して── 大商会の娘サーシャ。 子どもの頃から家業に関わる彼女は、従妹のメリンダと共に商会の看板娘として注目を集めていた。 華々しい活躍の裏で、着実に努力を重ねて夢へと向かうサーシャ。しかし時には心ないことを言う者もいた。 そんな彼女が初めて抱いた淡い恋。 けれどその想いは、メリンダの涙と少年の軽率な一言であっさり踏みにじられてしまう。 サーシャはメリンダたちとは距離をおき、商会の仕事からも離れる。 新たな場所で任される仕事、そして新たな出会い。どこにあっても、彼女が夢を諦めることはない。 一方、光に囚われた者たちは後悔と執着を募らせていき── 夢を諦めない少女が、もがきながら光を紡いでいく軌跡。 ※前作「ルースの祈り」と同じ世界観で登場人物も一部かぶりますが、単体でお読みいただけます。 ※作中の仕事や制作物、小物の知識などは全てフィクションです。史実や事実に基づいていないことをご理解ください。

処理中です...